ヤマハ・XSR125 ABS……506,000円(2025年4月16日発売)

2025年4月に車体色の変更を実施したXSR125 ABS。このブラックメタリック12は継続色であり、現行3種類のカラーバリエーションのうち、これのみ倒立式フロントフォークのアウターチューブがゴールドとなる。
新色として登場したライトブルーイッシュグレーメタリック9。トーンを抑えたシルバーとマットブラックの組み合わせが引き締まった印象を与える。
同じく新色のベリーダークオレンジメタリック1。かつてのSR400を彷彿させるグラフィックが特徴的で、このカラーのみタンクに音叉マークを配する。
標準装着タイヤはIRC・トレイルウィナーGP-211F/Rで、指定空気圧は1名/2名乗車時ともフロント225kPa/リヤ250kPaだ。フロントタイヤはプラットフォームを共有するMT-125よりも1サイズ太く、指定空気圧が低い(MT-125は250kPa)という点が興味深い。
フレームはデルタボックスと名付けられたスチール製ツインスパーで、これは海外で展開しているXSR155をはじめ、国内で販売されているMT-125やYZF-R125/R15らと共通だ。

操縦を学ぶための教材になり得るヤマハ流のハンドリング

ホンダのCT125・ハンターカブの値上げが顕著だ。2020年6月のリリース以来、長らく44万円で販売されていたが、2024年12月に47万3000円、そして2026年2月には49万5000円と、限りなく50万円に近付いた。こうなると、相対的に安く感じられるのがヤマハのXSR125である。搭載される水冷シングルは可変バルブタイミング機構のVVAを採用し、ハンターカブより65%もハイパワーな15PSを発生。足周りはφ37mm倒立式フォークにリンク式モノショックの組み合わせで、丸型LCDディスプレイにはタコメーターやギヤポジションインジケーター、瞬間&平均燃費計まで備えている。加えて、燃料タンク容量はハンターカブのほぼ2倍となる10Lを公称。これで価格は1万1000円差の50万6000円だ。

CT125・ハンターカブは、CT110まで連なる往年のトレールカブシリーズをモチーフに誕生したので、ホンダ流のネオクラシックという言い方もできる。画像は2026年2月に登場した新色のアステロイドブラックメタリック。価格は49万5000円だ。
XSR125とプラットフォームを共有するMT-125 ABS。シートレールは専用設計で、LEDプロジェクターヘッドライトを採用。さらに、XSR125にはないトラクションコントロールを備えながら、価格はCT125・ハンターカブと同じ49万5000円となっている。筆者のインプレッション記事はこちら

XSR125は、国内販売がスタートした直後に試乗しており、今回はあらためて王道ネイキッドとしてのバランスの良さに気付かされた。筆者が最も感心しているのはハンドリングで、一言で表現するなら「扱いやすい」なのだが、ライダーが操縦した以上のことは決してすることがない。車体のピッチングはやや多めであり、それを生かしてハンドルの押し引きや体重移動を加えると、高い旋回力を引き出すことができる。マシン任せで曲がれるといったイージーさはないものの、ライダーの意のままに操れるこの操縦性はまさに「ヤマハハンドリング」の最たるものだ。

加えてXSR125は、MT-125よりもフロントタイヤがワイドな上に指定空気圧が低いので、舵角の付き方がわずかに穏やかなのも美点だ。高いフロント荷重を生かして俊敏に向きを変えるMT-125も愉快だが、XSR125には王道ネイキッドらしい大らかさがあり、バイクの操縦を学ぶための教材になり得る1台と言えるだろう。

ブレーキは、入力初期からグッと効力を発揮するフロントに対し、リヤはどの領域でもコントローラブルで、どちらも非常に扱いやすい。惜しむらくはブレーキレバーに調整機構がないことだが、どうしても遠いと感じる人は純正アクセサリーのアジャスタブルブレーキレバー(1万8700円)を試してみてはいかがだろうか。

あらためて感じる、ヤマハのVVA付き水冷シングルの優秀性

搭載されているパワーユニットは、124cc水冷SOHC 4バルブ単気筒だ。欧州におけるA1免許の上限である15PSを発揮し、トランスミッションは6段となっている。

操作力の軽いクラッチレバーを握り、1速にシフトしてスタートする。発進した瞬間のダッシュ力こそハンターカブに及ばないが、スムーズな回転上昇に比例してパワーが伸び上がり、中~高回転域にかけて圧倒的な力量差を実感する。吸気側のカムがローからハイへと切り替わるのは7,400rpmで、2速なら40km/h付近となる。このVVAによるパワーフィールの変化は極めてシームレスであり、ビギナーを慌てさせるようなことはない。

アルミ鍛造ピストンやアルミ製ダイアジルシリンダー、1軸バランサーなどを採用する124cc 水冷SOHC 4バルブ単気筒エンジン。ボア×ストロークは52.0mm×58.7mmとロングストローク比であり、これが粘り強さの源になっている可能性大。最高出力15PS/10,000rpm、最大トルク12Nm/8,000rpmを発生する。短い暖機運転に貢献するバイパス式サーモスタットや、過度なエンジンブレーキを抑制するアシスト&スリッパークラッチなども採用。

このエンジン、124ccという小排気量ながら1軸バランサーが備わっており、不快になるような微振動がかなり抑えられている。それもあって、中~高回転域を多用することに何らストレスがない。その一方で、勾配のきつい上り坂を3速2,000rpmでスルスルと進めるほど粘り強く、総じてフレキシブルなエンジン特性と言えるだろう。スロットルレスポンスは良質であり、シフトフィールもスムーズと、実に完成度の高いパワーユニットだ。

現状のXSR125に対して改善を望む点は二つあり、これは前回試乗した際に感じた内容と同じだった。一つめは足着き性だ。とあるメーカーの開発担当者に聞いたところ、シート高が800mmを超えると、その数字を見ただけでディーラーでまたがることすらためらう人が多いという。XSR125は810mmであり、しかもこの数値以上に腰高に感じられることから、選ぶ際のマイナス要素になる可能性も。なお、純正アクセサリーでシート高が約20mm下がるローダウンリンク(8250円)が販売されているが、バランスの良いハンドリングに少なからず影響が出るのではと邪推してしまう。

二つめは丸型LCDメーターだ。デザインを優先したために表示される数字が小さく、しかもネガポジ反転なので瞬時に読み取れないのだ。これは次のマイナーチェンジでぜひ改善してほしい。

丸型のLCDメーターを採用。MT-125にない機能としては、平均速度表示やフューエルトリップメーター、バックライトの照度調整など。反対に省略されているのは、電源オン/オフ時のメッセージ表示とその変更機能、シフトタイミングインジケーター、水温警告表示などだ。

小型二輪免許を取得したばかりのビギナーの1台目として、またベテランライダーのセカンドバイクとしてもお勧めなXSR125。CT125・ハンターカブとはキャラクターが異なるものの、ここまで価格が接近している今、あらためて検討してみるのはいかがだろうか。

ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)

シート高は810mmで、筆者の体格であれば両足のかかとがうっすらと接地する。ハンドルとステップの位置関係はネイキッドとしてバランスが良く、Uターンも楽にできる。

ディテール解説

フロントフォークはφ37mm倒立式で、ホイールトラベル量は130mmだ。ホイール径は前後とも17インチで、フロントのブレーキディスク径はMT-125のφ282mmよりも小径なφ267mmを選択。これにピンスライド片押し式2ピストンキャリパーを組み合わせる。
スタイリッシュなスイングアームはアルミ鋳造製。リヤキャリパーはシングルピストンだ。ネオクラシックな外観に調和する3段膨張構造の円筒形のマフラーを採用する。
リンク式モノクロスサスペンションを採用。ショックユニットは前後とも調整機構はなし。
ブラックで統一されたコックピット。トップブリッジはアルミ鋳造、アンダーブラケットはスチール製だ。インナー式タンクの容量は10Lで、メインスイッチはシャッター付きだ。
シンプルさを極めた左右スイッチボックス。ハザードスイッチはなし。
クラシカルなタックロールシートは座面が前後に長く、ライディングポジションの自由度に貢献。
シートはキーロックを解除することで取り外すことができ、その底板にはヘルメットホルダーと書類入れが設けられている。
丸型のヘッドライトにはLEDを採用。ヘッドライトステーやサイドカバーにはアルミの素材感を生かしたパーツを使用している。
ヘッドライトやメーターと共通のイメージを持たせたテールランプもLEDで、前後ウインカーとナンバー灯はフィラメント球だ。

XSR125 ABS 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BJ-RE46J/E34LE
全長/全幅/全高 2,030mm/805mm/1,075mm
シート高 810mm
軸間距離 1,325mm
最低地上高 170mm
車両重量 137kg
燃料消費率 国土交通省届出値 
定地燃費値 60.3km/L(60km/h)2名乗車時
WMTCモード値 49.4km/L(クラス1)1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 124cm3
内径×行程 52.0mm×58.7mm
圧縮比 11.2:1
最高出力 11kW(15ps)/10,000rpm
最大トルク 12N・m(1.2kgf・m)/8,000rpm
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.05L
燃料タンク容量 10L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V、5.0Ah(10HR)/YTZ6V
1次減速比/2次減速比 3.041(73/24)/3.714(52/14)
クラッチ形式 湿式、多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.833 2速:1.875 3速:1.363 4速:1.142 5速:0.956 6速:0.840
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°30′/88mm
タイヤサイズ(前/後) 110/70-17M/C 52P(チューブレス)/140/70-17M/C 66S(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED
乗車定員 2名

製造国 インドネシア