大型二輪免許とAT限定大型二輪免許の違い

大型二輪免許とAT限定大型二輪免許は、いずれも排気量400ccを超えるバイクを運転するために必要な免許だ。それぞれに関し、法規上の主な決まりは以下の通りだ。

【大型二輪免許】
・運転できるバイク:排気量の制限なし
・取得可能な年齢:18歳以上
・2人乗り:可
・高速道路の走行:可

【AT限定大型二輪免許】
・運転できるバイク:排気量の制限なし(AT限定)
・取得可能な年齢:18歳以上
・2人乗り:可
・高速道路の走行:可

二輪免許には、原付免許、小型限定普通二輪免許、AT小型限定普通二輪免許、普通二輪免許、AT限定普通二輪免許もあり、これらは16歳以上で取得できる。だが、大型二輪免許やAT限定大型二輪免許の場合は、18歳以上でないと取得できない。

また、2人乗りは可能だが、高速道路や自動車専用道路での2人乗りについては、

・年齢が20歳以上
・大型自動二輪車免許又は普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算3年以上

といった制限もあるため注意したい。

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速道路を走るには一定の規定がある

AT限定大型二輪免許で運転できるバイク

乗ることのできるバイクの排気量はいずれも無制限。ただし、AT限定大型二輪免許の場合は、オートマチック車のみしか運転できない。スクーターなどクラッチ操作を必要としない2輪車に限定される。ちなみに、AT限定大型二輪免許は、以前まで排気量が650cc以下に制限されていたが、2019年12月1日の道路交通法の改正によって、上限なしへと変更されている。

AT限定大型二輪免許で運転できるバイクとしては、たとえば、ホンダの「ゴールドウイング ツアー」「CRF1100アフリカツイン」「NT1100」「レブル1100/T DCT」「NC750X DCT」「X-ADV」などがある。これらは、いずれも独自のAT機構「DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)」を搭載(レブル1100/TとNC750XにはMT車もある)。クラッチ操作が不要なので、AT限定の免許でも運転可能なのだ。

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ホンダ・CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES。2026年モデルではDCT車のみの設定となった

また、ヤマハでは、根強い人気を誇るスポーツスクーターの「TMAX560/テックマックス」がある。加えて、近年は、クラッチやシフト操作を不要とする自動変速機構「Y-AMT(ワイ・エーエムティ)」を搭載し、AT限定の免許でも乗ることができるモデルもリリース。たとえば、大型ツアラーの「トレーサー9GT+ Y-AMT」、ストリートファイターの「MT-09 Y-AMT」「MT-07 Y-AMT」などが該当する。

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ヤマハ・TMAX560テックマックス
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ヤマハ・MT-09 Y-AMT

ほかにも、カワサキの「ニンジャ7ハイブリッド」や「Z7ハイブリッド」もAT限定大型二輪免許に対応するモデルだ。これらは、451ccのエンジンとモーターで走行する二輪車では世界初のストロングハイブリッド車。クラッチ操作が不要な電子制御6速オートマチックを採用するため、AT車と同じ扱いとなる。

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カワサキ・ニンジャ7ハイブリッド

大型二輪免許で運転できるバイク

一方、大型二輪免許を取得すれば、クラッチレバーやシフトペダルを駆使して走るMT(マニュアル・トランスミッション)車の運転も可能だ。しかも、このクラスには、かなり多様なタイプが用意されており、好みや使い方に応じた車種選びをできる。

たとえば、ネイキッド系なら、大型バイククラスで長年根強い人気を誇るカワサキの「Z900RS/SE/カフェ」や、その対抗馬として2025年に登場したホンダ「CB1000F/SE」がある。

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カワサキ・Z900RS SE
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ホンダ・CB1000F SE

また、1000cc超のストリートファイター系なら、ホンダ「CB1000ホーネット/SP」、ヤマハ「MT-10」、スズキ「GSX-S1000」、カワサキ「Z1100」なども選べる。

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カワサキ・Z1100

一方、ツーリングを楽しめる機能や装備が満載のツアラーやアドベンチャーモデル。ヤマハなら「トレーサー9GT」、スズキなら「Vストローム1050/1050DE」や「GSX-S1000GT/GX」、カワサキであれば「ニンジャH2 SX SE」「ニンジャ1100SX」「ヴェルシス1100 SE」などが選択できる。

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スズキ・GSX-S1000GT
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カワサキ・ヴェルシス1100 SE

加えて、MotoGPマシンを彷彿とさせる1000ccのスーパースポーツも運転できる。たとえば、ホンダ「CBR1000RR-Rファイヤーブレード/SP」、ヤマハ「YZF-R1/R1M」など。2026年には、スズキも「GSX-R1000/R」の国内仕様を復活させることを発表しており、久々にスズキ伝統のスポーツモデルを堪能できることになる。

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2026年に国内でも復活するスズキ・GSX-R1000R(写真は欧州仕様)

さらに、最近は、1000cc未満のミドルクラスも充実。さまざまなスタイルや排気量のバイクが百科繚乱だ。

たとえば、ホンダでは、「CB750ホーネット」「XL750トランザルプ」「CBR650R」「CB650R」「CBR600RR」などを用意する。CB750ホーネットとXL750トランザルプは、2026年の新型モデルで、発進から停車時までクラッチレバーとシフトペダルの操作が不要な「ホンダE-クラッチ」搭載車となった。また、CBR650RとCB650Rでは、通常のMT車とホンダE-クラッチ車を選択可能だ。

ちなみに、ホンダE-クラッチ車の場合は、クラッチなどの操作こそ不要だが、通常のマニュアル操作もできることで、運転できるのはMT車を運転できる大型二輪免許のみとなっている。

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ホンダ・CB750ホーネット E-クラッチ
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ホンダ・XL750トランザルプ E-クラッチ

一方、他メーカーでは、ヤマハの「XSR900/GP」「XSR700」「YZF-R9」「YZF-R7」「テネレ700」など、スズキでは「GSX-8T/8TT」「Vストローム800/DE」「GSX-8R」「GSX-8S」、カワサキの「Z900」「Z650」「Z650RS」「ニンジャ650」「ニンジャZX-6R」などが該当する。

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ヤマハ・YZF-R9(写真は70th Anniversary Edition)
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スズキ・GSX-8T
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カワサキ・Z650RS

さらに、カワサキは、2026年新型として「ニンジャ500」「Z500」も国内投入。ラインアップの充実も図っている。

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カワサキ・ニンジャ500
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カワサキ・Z500

そして、これらミドルクラスのバイクは、いずれも、ちょうどいいパワーと扱いやすい車体などが魅力。ベテランライダーをはじめ、大型二輪免許を取得したばかりの若い世代などから大きな支持を受けている。

自動車教習所に通う場合の流れ

大型二輪免許やAT限定大型二輪免許を取得するには、自動車教習所に通うか、運転免許試験場(運転免許センター)などで直接受験するいわゆる「一発試験」を受けるといった2つの方法がある。

まず、自動車教習所に通う場合、大まかな流れは以下の通りとなる。

【自動車教習所に通う場合の主な流れ】
学科教習・技能教習

卒業検定

適性検査・学科試験
↓*技能試験は免除
免許証の交付

自動車教習所では、交通法規や安全運転のマナーなどを学ぶ学科教習と、教習所のコースを使って実際にバイクを運転しながら、知識と技術を学ぶ技能講習がある。後述する所定の時間をそれぞれ受講したのち、卒業検定に合格すれば卒業だ。

その後は、運転免許試験場(運転免許センター)へ出向き、適性検査と学科試験をパスすることで免許の取得が可能となる。

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大型二輪免許やAT限定大型二輪免許の取得は、自動車教習所に通う方法がある

一発試験で取得する場合の流れ

一方、一発試験で取得する場合、大まかな流れは以下の通りだ。

【一発試験を受ける場合の主な流れ】
適性検査・学科試験

技能試験

取得時講習・応急救護講習

免許証の交付

一発試験の場合は、運転免許試験場(運転免許センター)で適性検査や学科試験、技能試験に合格した後、取得時講習や応急救護講習を受ければ免許証が交付される。ちなみに、取得時講習や応急救護講習は、一般的に都道府県の公安委員会が委託する指定自動車教習所で実施することが多い。技能試験に受かったのち、指定自動車教習所へ予約を取り受講すると、免許証の交付を受けることができる。

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大型二輪免許やAT限定大型二輪免許の取得には、運転免許試験場で一発試験を受ける手もある

一発試験の方が、自動車教習所へ通う場合と比べ、取得に必要な日数が比較的短く、費用も安くなる傾向だ(詳しくは後述)。ただし、それは、もしスムーズにいけばの話。運転免許試験場などで行う技能試験はかなり難易度が高いといわれている。とくに、大型二輪免許やAT限定大型二輪免許の場合は、普通二輪免許などと比べ、より高い運転技術が要求される。そのため、受験1回目で合格するケースは少ない傾向で、何度も落ちると取得の日数や費用的にもかかってしまうので注意したい。

教習所の教習時間はどれくらい?

大型二輪免許とAT限定大型二輪免許では、自動車教習所に通う場合の学科教習や技能教習の教習時間は異なる。クラッチやシフトの操作がないAT限定の方が、より運転が楽なぶん、教習時間も短くなる傾向だ。

また、すでにほかの免許を持っているかどうかでも教習時間は異なる。特に、免許なしまたは原付免許のみしか所有していない場合は、教習時間が長い。ただし、教習所によっては、いきなり大型二輪免許やAT限定大型二輪免許に挑むのではなく、まずは普通二輪免許などを取得し、その後にステップアップすることをすすめるケースもある。

そこで、ここでは、免許なし又は原付免許のみの場合と、すでに普通二輪免許を持っている場合の例を紹介する。

【免許なし/原付免許を持っている場合】
・大型二輪免許:学科教習26時限 技能教習36時限
・AT限定大型二輪免許:学科教習26時限 技能教習29時限

【普通二輪免許を持っている場合】
・大型二輪免許:学科教習なし 技能教習12時限
・AT限定大型二輪免許:学科教習なし 技能教習9時限

このように、普通二輪免許を持っていれば、まったく免許がない場合と比べ、圧倒的に教習時間は短くなる。

ちなみに、受講できる一日あたりの教習時間は、教習所や本人のスケジュールなどによって異なるため、実際に卒業できるまでの日数はさまざま。詳しくは、自分が通う予定の自動車教習所へ直接相談して欲しい。

運転免許試験場でかかる費用は?

自動車教習所を卒業した後に学科試験や適性検査を受ける場合、また、一発試験を受ける場合は、それぞれ運転免許試験場で手数料などが掛かる。

とくに、2025年3月24日からは、マイナンバーカードと免許証が一体となったマイナ免許証が導入されている。これにより、所持できる免許について、「従来の免許証」「マイナ免許証」「従来の免許証+マイナ免許証の2枚持ち」といった3つの方法を選べることもあり、必要な手数料には幅がある。

主な手数料は以下の通り(すべて新規取得の場合)。なお、これらは、大型二輪免許とAT限定大型二輪免許で違いはない。

【教習所を卒業し学科試験を受ける場合】
・受験料1850円
・免許証交付料:従来の免許証2350円/マイナ免許証1550円/2枚持ち2450円
*合計3400円〜4300円

【一発試験の場合】
・受験料:2800円
・試験車使用料:1750円
・免許証交付料:従来の免許証2350円/マイナ免許証1550円/2枚持ち2450円
*合計6100円〜7000円

なお、一発試験の場合、合格後に取得時講習と応急救護講習を受講する必要がある。受講料の合計額は以下の通りだ。

・大型自動二輪免許(AT限定含む)の取得時講習と応急救護講習の受講料:合計1万8450円

ちなみに、自動車教習所に通う場合の教習費用については、自分が通う教習所などによって違うため、一概にいえない。ただし、教習時間の少ないAT限定大型二輪免許の方が比較的安くなる傾向だ。たとえば、ある教習所では、ほかの免許なしか原付免許のみの場合で、大型二輪免許が30万円程度。それに対し、AT限定大型二輪免許の場合は26万円程度に設定しており、4万円近く安くなるようだ。

視力検査や年齢制限にも注意

大型二輪免許やAT限定大型二輪免許の取得には、受験資格にも注意したい。

まず、受験できる年齢は、前述の通り、18歳以上。ほかの二輪免許が16歳以上であるのに対し、より技量が求められることもあり、取得年齢も高くなっている。

また、自動車教習所に入学する際や一発試験を受ける際に受ける適正検査では、たとえば、視力などに以下のような規定がある。

・視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること
・一眼の視力が0.3に満たない人、もしくは一眼が見えない人については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること

なお、視力検査については、メガネやコンタクトレンズを使用してもOKだ。ほかにも、適正検査では、色彩識別検査、運動能力検査、聴力検査などが実施されることが多い。

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受験資格には視力などに一定の基準がある

初めての二輪免許で「いきなり大型二輪免許」はOK?

大型二輪免許やAT限定大型二輪免許は、ほかの免許を持っていなくても、基本的には取得可能だ。ただし、大型バイクは、ほかのクラスと比べ車体が重くて大柄、パワーもある。操るにはかなりの技量が必要だ。

そのため、初めて取る二輪免許が大型二輪免許やAT限定大型二輪免許というより、まずは普通二輪免許を取り、400cc以下のバイクで腕を磨いてからステップアップするほうがおすすめだ。

なお、自動車教習所によっては、はじめて二輪免許を取る場合、まずは小型限定普通二輪免許(またはAT小型限定普通二輪免許)か、普通二輪免許(またはAT限定普通二輪免許)を取得することをすすめるところもあると聞く。

さらに、一発試験の場合も、いきなり大型二輪免許やAT限定大型二輪免許を取るのはかなりの難関。より取りやすい小型限定普通二輪免許か普通二輪免許を取った後、ある程度バイクに慣れた後にチャレンジする方がいいだろう。

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教習所の教習車や一発試験の試験車は750ccなど大型バイクを使う(写真はホンダ・NC750L MT教習車仕様)

なお、ここで紹介した内容は、あくまで一般的な例だ。地域や場所によっては内容が異なる場合があるので、具体的な不明点や気づいた点などは、自動車教習所や運転免許試験場などに直接確認して欲しい。