小型限定普通二輪免許とAT小型限定普通二輪免許の違い
小型限定普通二輪免許とAT小型限定普通二輪免許は、いずれも排気量125ccまでの「原付二種」バイクを運転するために必要な免許だ。法規上の主な決まりは以下の通りとなる。
【小型限定普通二輪免許】
・運転できるバイク:排気量125cc以下(原付二種)
・取得可能な年齢:16歳以上
・2人乗り:可
・高速道路の走行:不可
【AT小型限定普通二輪免許】
・運転できるバイク:排気量125cc以下(AT限定)
・取得可能な年齢:16歳以上
・2人乗り:可
・高速道路の走行:不可
いずれも、取得が可能な年齢は16歳以上で、高速道路や自動車専用道路は運転できないが、2人乗りは一般道であれば可能。ただし、詳しくは後述するが、排気量が同じ125cc以下の新基準原付とは、運転できる免許や最高速度、二段階右折など、法規上の違いも多いので注意したい。

AT小型限定普通二輪免許で運転できるバイク
AT小型限定普通二輪免許は、小型限定普通二輪免許と比べると、自動車教習所に通う場合の教習時間が短いなどで、比較的取得しやすいといえる(これも詳しくは後述)。ただし、オートマチック車のみしか運転ができない。スクーターを中心に、クラッチ操作を必要としない2輪車に限定されるのだ。
運転できるバイクの例は、たとえば、スクータータイプであれば、ホンダの「PCX」「リード125」「ディオ110」など。

ヤマハであれば、2026年4月24日に発売予定の新型「ファツィオ」をはじめ、「NMAX」「シグナス グリファス」「アクシスZ」「ジョグ125」などがある。さらに、3輪バイクの「トリシティ125」も該当する。


一方、スズキでは、「バーグマンストリート125EX」「アヴェニス125」「アドレス125」などを揃える。

また、ビジネス系やレジャー系でも、ホンダが「スーパーカブC125」「スーパーカブ110」「CT125・ハンターカブ」「クロスカブ110」などを用意。いずれも高い人気を誇っている。

さらに、近年では、100%電気で走るEVバイクにも、原付二種モデルが増えてきた(走行用モーターの定格出力が0.6kWを超え1.0kW以下のモデル)。たとえば、スクータータイプならホンダ「CUVe:」。また、カワサキの「ニンジャ e-1」「Z e-1」は、スタイル的にはスポーツタイプだが、クラッチやシフト操作は不要なので、同じくAT小型限定普通二輪免許でも乗ることが可能だ。



小型限定普通二輪免許で乗れるバイク
一方、小型限定普通二輪免許を取得すると、クラッチ操作を使ってシフトチェンジをするMT(マニュアル・トランスミッション)車も運転可能。小排気量ながら、バイクを操る醍醐味を味わえるのだ。
対応するモデルには、たとえば、ホンダであれば「CB125R」「モンキー125」「グロム125」が挙げられる。

ちなみに、モンキー125と同じ排気量125ccエンジンを搭載し、レトロでかわいいスタイルのモデルには「ダックス125」もある。だが、こちらは自動遠心クラッチを採用するため、ギアチェンジの際に左手のクラッチ操作が不要。法令上はAT(オートマチック・トランスミッション)車扱いとなり、AT小型限定普通二輪免許でも運転可能だ。

また、ヤマハでは、「MT-125」「YZF-R125」「XSR125」といったロードスポーツに加え、最新のオフロードモデル「WR125」にも乗ることが可能だ。


さらに、カワサキでは「Z125プロ」を用意。現在販売されているカワサキ車のなかで、最小排気量となるストリートファイター系のロングセラーモデルだ。

自動車教習所に通う場合の流れ
小型限定普通二輪免許やAT小型限定普通二輪免許を取得するには、自動車教習所に通うか、運転免許試験場(運転免許センター)などで直接受験するいわゆる「一発試験」を受けるといった2つの方法がある。
まず、自動車教習所に通う場合の主な流れは以下の通りだ。
【自動車教習所に通う場合の主な流れ】
学科教習・技能教習
↓
卒業検定
↓
適性検査・学科試験
↓*技能試験は免除
免許証の交付
自動車教習所に通う場合は、学科教習と技能教習を、後述する所定の時間で受講したのち、卒業検定に合格すれば卒業できる。その後、運転免許試験場(運転免許センター)へ出向き、適性検査と学科試験をパスすることで免許の取得が可能となる。

一発試験で取得する場合の流れ
一方、一発試験で取得する場合の主な流れは以下の通りだ。
【一発試験を受ける場合の主な流れ】
適性検査・学科試験
↓
技能試験
↓
取得時講習・応急救護講習
↓
免許証の交付
一発試験の場合は、運転免許試験場(運転免許センター)で適性検査や学科試験、技能試験をパスした後、取得時講習や応急救護講習を受けることで交付される。なお、取得時講習や応急救護講習は、都道府県の公安委員会から委託を受けている指定自動車教習所で実施することが一般的だ。技能試験に受かったのち、指定自動車教習所へ予約を取り受講すると、免許証の交付を受けることができる。

自動車教習所へ通う場合と比べると、一発試験の方がスムーズにいけば、取得に必要な日数が比較的短く、費用も安くなる傾向だ(この点も詳しくは後述)。ただし、運転免許試験場などで行う技能試験は難易度が高いといわれている。受験1回目で合格するケースは少ない傾向のため、何度も落ちると取得の日数や費用的にもかかってしまうので注意したい。
教習所での教習時間は?
小型限定普通二輪免許やAT小型限定普通二輪免許では、自動車教習所に通う場合の学科教習や技能教習の教習時間は異なる。クラッチやシフトの操作がないAT限定の方が、より運転に必要な操作が少ないぶん、教習時間も短くなるのだ。

また、すでにほかの免許を持っているかどうかでも教習時間は異なる。ここでは、免許なしまたは原付免許のみ所有している場合と、4輪の普通自動車免許を持っている場合の例を紹介する。
【免許なし/原付免許のみを持っている場合】
・小型限定普通二輪免許=学科教習:26時限 技能教習:12時限
・AT小型限定普通二輪免許=学科教習:26時限 技能教習:9時限
【普通自動車免許を持っている場合】
・小型限定普通二輪免許=学科教習:1時限 技能教習:10時限
・AT小型限定普通二輪免許=学科教習:1時限 技能教習:8時限
実際に受講できる一日あたりの教習時間は、教習所や本人のスケジュールなどによって異なる。そのため、卒業できるまでの日数もさまざまだ。詳しくは、自分が通う予定の自動車教習所へ直接相談して欲しい。
また、自動車教習所の教習費用は、小型限定普通二輪免許とAT小型限定普通二輪免許のどちらを取得するかや、すでにほかの免許を持っているかどうかでも変わる。一般的にAT小型限定普通二輪免許の方が、教習時間の少ないぶん、安くなる傾向だ。たとえば、ある教習所では、免許なしまたは原付免許のみ所有している場合、小型限定普通二輪免許は15万円台、AT小型限定普通二輪免許は14万円台に設定しているようだ。

なお、具体的な金額については、教習所によっても価格は変わる。そのため、この件に関しても、詳しくは自分が通う予定の自動車教習所へ直接問い合わせて欲しい。
運転免許試験場で必要な費用
自動車教習所を卒業した後に学科試験を受けたり、一発試験を受ける場合、運転免許試験場で免許証の交付に関して手数料などが必要となる。
とくに、2025年3月24日からは、マイナンバーカードと免許証が一体となったマイナ免許証が導入された。そのため、所持できる免許について、「従来の免許証」「マイナ免許証」「従来の免許証+マイナ免許証の2枚持ち」といった3つの方法を選べることとなり、どれを選ぶかでも必要な手数料は変わってくる。

なお、主な手数料は以下の通りだ(すべて新規取得の場合)。また、これらは、小型限定普通二輪免許とAT小型限定普通二輪免許で違いはない。
【教習所を卒業し学科試験を受ける場合】
・受験料1850円
・免許証交付料:従来の免許証2350円/マイナ免許証1550円/2枚持ち2450円
*合計3400円〜4300円
【一発試験の場合】
・受験料:2800円
・試験車使用料:1750円
・免許証交付料:従来の免許証2350円/マイナ免許証1550円/2枚持ち2450円
*合計6100円〜7000円
なお、一発試験で合格後は、取得時講習と応急救護講習を受講する必要がある。受講料の合計額は以下の通りだ。
・小型限定普通自動二輪免許(AT限定含む)の取得時講習と応急救護講習の受講料:合計1万8150円
受験資格にも注意
小型限定普通二輪免許やAT小型限定普通二輪免許を取得する場合は、受験できる資格や場所などにも注意したい。
まず、一発試験はもちろん、自動車教習所を卒業後の学科試験などを受ける場合は、自分が居住する都道府県にある運転免許試験場に行かないと受け付けてもらえない。また、取得できる年齢は、前述の通り、基本的には16歳以上だ。
さらに、自動車教習所に入学する際や一発試験を受ける際に受ける適正検査では、例えば、視力などに以下のような規定がある。
・視力が両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上であること
・一眼の視力が0.3に満たない人、もしくは一眼が見えない人については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上であること
なお、視力検査については、メガネやコンタクトレンズを使用してもOKだ。ほかにも、適正検査では、色彩識別検査、運動能力検査、聴力検査などが実施されることが多い。
同じ125cc以下でも新基準原付とは違う
小型限定普通二輪免許やAT小型限定普通二輪免許は、前述の通り、排気量125cc以下のバイクに乗ることができる。一方、2025年4月1日からは125cc以下ながら最高出力を4.0kw(5.4PS)以下に制御した「新基準原付」も導入された。
ここで注意したいのが、排気量が同じ125cc以下でも、法規が違うことだ。新基準原付は、従来の50cc以下のバイク、いわゆる原付一種と同じ扱いとなる。これは、2025年11月から適用された新排出ガス規制に従来の50cc以下のバイクは対応が難しく、生産終了となったことで、新基準原付はその代替機種となっているためだ。

そのため、同じ排気量125cc以下のバイクでも、新基準原付は学科試験と適性検査にパスするか、4輪の普通自動車車免許を取得すれば運転可能。一方、原付二種に該当する125cc以下のバイクを運転するには、技能試験もある小型限定普通二輪免許またはAT小型限定普通二輪免許を取る必要があるのだ。
そのぶん、法規上の規制では、原付二種の方がやや緩い。新基準原付は速度制限のない道路では最高速度30km/h、2人乗り禁止、二段階右折も必要。対して原付二種は、速度制限のない道路で最高速度60km/h、2人乗り可能、二段階右折も不要となっている。
110ccなど同じ排気量ながら、法規も異なる原付二種と新基準原付(原付一種)だけに、その違いは十分に理解しておきたい。
なお、上記内容は、あくまで一般的なバイク免許についての説明だ。教習所などによっては、内容が異なる場合があるので、具体的な不明点や気づいた点などは、自動車教習所や運転免許試験場などに直接確認して頂きたい。
