独自の技術で急成長を遂げるKun yuan Automotive Technologyの造形部門「上海SKY」

右が営業の朱鎮東(Zhu Zhendong)

Kun yuan Automotive Technology(昆元汽車科技)は、天津にエンジニアリング・製造部門を設けているほか、上海の玄関口である虹橋空港からクルマで30分ほどにモデル開発制作拠点として「上海SKY社」を置く。スタイリングデザイン、CAS(Computer Aided Styling)設計、モデル製作、クラスAデータや構造設計など、自動車開発における一連の工程を社内で完結できる体制を構築。工場面積は約1万1000平方メートルにおよび、国家認定のハイテク企業資格も取得している。代表は王分氏。

同社の競争力を支えるのは、充実した製作・評価設備である。イタリア製の五軸加工マシンをはじめ、各種CNCマシン、無塵塗装ブース、単腕三次元測定器、さらにはビデオ中継システムを導入し、国内外の顧客によるオンラインでの審査にも対応可能だ。

また、研磨や塗装、手作業による仕上げ、革やスエード素材によるラッピング、PVD・水めっき・UVプリントなど、外装および内装の高精度仕上げにも対応。透光性表皮や反射防止素材などの新素材の研究開発も行っている。施設内には自社開発による自循環式の水研ぎ作業台を設置するなど、省エネかつ環境にも配慮した設備が整えられている。

デザイン開発・造型部門には、日本・イタリア・イギリス出身のベテランデザイナーを擁する一方、モデル製作部門や構造設計チームは主に中国人スタッフで構成されており、現地生産・現地開発の即応性も高い。

Kun yuanは近年、数多くの中国大手自動車メーカーのコンセプトモデルやショーモデルを製作している。2024年広州モーターショーでの「奇瑞 勁雲SMVP」、北京モーターショーでの「奇瑞星途E08」や「フォード Rangerショーモデル」、2021年には「Ford EVOSコンセプトカー」など、実績は枚挙にいとまがない。また欧州ブランドのデザイン開発段階でのインテリアモックアップの制作なども請け負っている。

Kun yuanで特筆すべきは、大型トラックに特化した製品企画チームの存在である。市場分析、製品戦略の立案、性能要件の策定からプラットフォームの分類・設計、インテリアデザイン・CMFのサポートまで、トラック開発における一連の企画プロセスを社内で完結可能となっている。

上海SKYでの課題も、クォリティの向上と維持、そして何より従業員の定着率の向上だ。

<最後に>

2024年は約3,440万台の販売台数を記録し、世界最大の自動車マーケットである中国。販売競争も苛烈であり、約150と言われるブランドが競ってニューモデルを投入する。そのような状況の中でモデルメーカーが担う役割も日々拡大しており、MOTIVOや上海SKYのように、豊富な設備と多様な人材を武器に、高い技術力に裏打ちされた提案力と実行力の両面でOEMの開発スピードを支える存在は、今や不可欠な戦力となっている。

そして自動車メーカー同様に彼らも新たに生まれる同業メーカーとの厳しい戦いの中にいる。