

デュアルヘッドライト&ブロックタイヤがたまらない!
1990年代の名車&迷車にスポットライトを当てる当コーナー。オフロード系のスクーターと聞いて真っ先に浮かぶのは……そう、ヤマハBWS’(ビーウィズ)だ。これに異論を唱える人は多くないはず。では他社なら? コアなスクーターフリークからは「DioXR BAJA(バハ)も忘れるな!」と怒号を浴びるかもしれない。1990年発売のモンキーバハと同様にホンダの遊び心がぎっしり詰まった原付であり、市販車ではトレール車に先んじてXRの名を冠し、〝BAJA〟をイメージしたラリーレイドな丸目二灯ヘッドライトをセット。バーハンドルにはナックルガードを添えてブロックパターンのタイヤも履き、ついでにキャリアも太くして完成したのがこの『オフファッションイメージを取り入れた原付byホンダ』である。
良く言えば既存のスーパーDioの魅力をスポイルすることなくオフテイストに、あえて悪く言うならば取って付けたような雰囲気(それもまた魅力だけど)。なぜなら当初はトリコロールカラーでグラフィックなども差別化していたのだが、翌95年にはプレーンなスタイルになってしまったものだから余計にそう感じてしまう……。そんな〝ディオバハ〟は、わずか二年で市場から姿を消してしまうのだけれど、混沌とした90年代を反映したユーモラスな原チャリとして今では根強い人気(!?)を獲得している。中古車で購入する際はタマ数が極端に少ないので程度をしっかり見極めたい。
デザートレーサーの息吹を感じる!原付界のデュアルパーパス

大胆なグラフィックは名車XR BAJAの末弟を感じる箇所。
ベースはAF28スーパーディオSRだった
Dio XRバハは型式も同じAF28(スーパーDio)のSRグレードがベース。フロントディスクブレーキで制動力もしっかりと確保されている。
なおデビュー時はすでに後継機のAF34/35(ライブDio)が発売されていたタイミング。両車の大きな違いはエンジン形式で、縦型シリンダーのスーパーDioに対して新型ライブDioは横型を採用している。シート下収納スペースを広く取れるほか、オイル潤滑、吸気パーツや位置の兼ね合いなどでパワーアップさせやすいというメリットもあり、速さや機能性を意識するならライブDio、それも上級グレードのZXを求めるだろう。
しかし、絶対的なパワーやチューニング前提でない場合、旧型の縦型エンジンでも問題はない。むしろ筆者には2スト6.8㎰は十分すぎるほどで、ラフにスロットルを開けようものなら吹っ飛んでいく勢いだ!
ダート系スクーターの先駆けといえばコレ!

1989年の東京モーターショーに「EZ-90」として参考出品された後、90年に発売されたホンダのオフ系ATコミューター「EZ-9」
公道走行不可のレジャー仕様で、近未来的
なフルカバードボディに2スト89.7
㏄エンジンを搭載。オフロードでの下り坂などでエンジンブレーキ効果が得られるよう、後輪からの逆駆動力を自動的にエンジンに伝えるための専用クラッチをVベルト式オートマチック車として初めて採用している。
ハンドル位置が高いから操作しやすい!

ハンドルはスーパーディオよりも位置が高いうえ、ハンドル幅も100mm以上ワイド!(スーパーディオ:625mm/ディオバハ:755mm)。まるでオフ車のように大胆に舵取りできるから一般的なスクーターよりも操作しやすいと感じた。試乗車は足周り及びオンロードタイヤに変更されていたが、オーナーによると「純正タイヤも結構食いつくんだよ、これが!」とのこと。
純正のセミブロックタイヤはスリッピーな砂利道でもグイグイ走れそうだし、骨太なリヤキャリアは荷物の積載もしやすそう。NS-1や後のズーマーと同じ15W/15Wの二灯ヘッドライトはお世辞にも明るいとは言えないけれど雰囲気を高めてくれるのに一役買ってくれる。これで河原を走ったら気分はラリーレーサーだ!

シート高は715mm。身長179cm、靴のサイズ26.5cmの眼鏡男性(筆者)が跨ってみた。一般的なスクーターと変わらないポジションに見えるが、ハンドル位置& 幅が異なるのでコンパクトな車体サイズながら、ゆったりと構えられる。
専用装備をチェック

ブレース& バーパッドを備えてオフイメージを高めたハンドル周り。ポスト一体なので社外品のようにハンドルバーだけの交換は不可。

指針式の丸形メーターは左に速度計、右上に燃料計を配し、右下は警告灯となっている。なおデザインは異なるがメーターユニットはイブパックスと同一。

左ハンドルにはパーキングブレーキを装備する。小型タイプのレバーを採用。

シート下の収納はベースのAF28と同様フルフェイスヘルメットが入る大きさを確保。インナーボックス、キャリアを合わせれば日常使いで困ることはないだろう。

リヤキャリアは通常のDio 用などと取り付け位置や形こそ同じだが、積載部の外枠が太くなっているヘビーデューティな作りなのだ!


ホワイトの駆動系カバーが爽快! キャブレターはオーバーフローホースを2本備えて詰まりにくい構造となっている。
主要諸元

SPECIFICATIONS
▪型式:A-AF28
▪全長×全幅×全高(㎜):1650×755×1045
▪軸距:1150㎜
▪最低地上高:95㎜
▪シート高:715㎜
▪車両重量:72㎏(乾燥67㎏)
▪排気量:49㏄
▪エンジン:空冷2スト単気筒
▪内径×行程:39×41.4㎜
▪圧縮比:7.1:1
▪最高出力:6.8㎰/7000rpm
▪最大トルク:0.73㎏ m /6500rpm
▪始動方法:セル/キック
▪燃料タンク容量:5ℓ
▪タイヤサイズ:3.00-10(前後)
▪ブレーキ:ディスク(前)ドラム(後)
▪車体価格:16万5000円
※スペックは1994年時のものです
※この記事は月刊モトチャンプ2024年4月号を基に加筆修正を行っています





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