大阪モーターサイクルショー2026で公開されたヤマハ「JOG ONE」は、従来の原付の概念を大きく塗り替える存在として注目を集めた。2026年3月19日に発売された本モデルは、2025年に施行された新制度「新基準原付」に対応した第一弾モデルであり、排気量124ccながら原付一種として扱われるという、これまでにないポジションを担う。

この新基準原付は、排気量125cc以下かつ最高出力4.0kW以下に制御された車両であれば、原付免許や普通自動車免許で運転可能という制度であり、従来の50cc原付に代わる新たなスタンダードとして期待されている。

JOG ONEは、その制度変更を背景に誕生した“生活密着型モビリティ”であり、通勤・通学といった日常用途を主軸に据えながらも、従来の原付では得られなかった余裕ある走行性能を手に入れたモデルだ。

JOG125ベースがもたらす扱いやすさと実力

ベースとなるのはグローバルモデル「JOG125」。このプラットフォームを活用することで、軽量95kgの車体とシート高735mmという優れた取り回し性を実現している。

特筆すべきは、その扱いやすさだ。低重心かつコンパクトな車体は、初心者でも安心して扱える設計となっており、街中でのストップ&ゴーや狭い路地での取り回しでもストレスを感じさせない。

一方で、エンジンは124ccのBLUE COREユニットを採用。出力は新基準に合わせて制御されているものの、低回転域から十分なトルクを発揮し、従来の50cc原付では難しかった余裕のある加速と安定した巡航を可能にしている。

単なる“扱いやすいだけの原付”ではなく、「余裕を持って走れる原付」という新しい価値を提示している点こそ、このモデルの本質だ。

実用性を徹底追求した装備群

JOG ONEは日常の足としての使い勝手を徹底的に磨き上げている。約21.3Lのシート下収納やフロントトランクスペースなど、日常使いに直結する装備が充実し、通勤や買い物といったシーンで高い利便性を発揮する。

さらに、スマートモータージェネレーター(SMG)を搭載することで、エンジン始動時の静粛性とスムーズさを確保。騒音や振動を抑えた快適な始動は、早朝や住宅街での使用にも配慮されたものだ。

制動面ではUBS(前後連動ブレーキ)を採用し、安定した減速を実現。操作に不慣れなライダーでも安心して扱える設計となっている。

また、新基準原付の規定により1人乗り専用となり、シート形状も専用設計へと変更。結果として快適性と安全性の両立が図られている。

“原付”の未来を提示する価格と立ち位置

メーカー希望小売価格は25万9600円。原付としては高価格帯に位置するが、125ccクラスの性能と装備、そして制度上のメリットを考えれば、単純な価格比較では測れない価値を持つ。

従来の50cc原付が環境規制や市場縮小により終焉へ向かう中で、JOG ONEはその後継となるべく開発されたモデルであり、単なる新型車ではなく“カテゴリーそのものの再定義”を担う存在と言える。

大阪モーターサイクルショー2026での公開は、その象徴的なタイミングだった。原付という最も身近なモビリティが進化し、より安全に、より快適に、そしてより現代的な形へと変わっていく。その第一歩として、JOG ONEは確かなインパクトを残した。

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