ESPERIENZA FERRARI ON SNOW
顧客を対象にしたスノードライブ体験

この光景には、誰もが驚くだろう。北海道・ニセコの雪原の上には何台ものフェラーリが。それだけで十分なインパクトなのだが、その中にはなんと純レーシングマシンの296チャレンジと488チャレンジの姿もある。他にもアマルフィや849テスタロッサといった発表されて間もないニューモデルも並んでいるし、もちろん12チリンドリやプロサングエの姿も見える。
ここはフェラーリが開催した「エスペリエンツア・フェラーリ・オン・スノー」の会場だ。フェラーリの顧客に向けたドライビング体験企画で、今回は主にシンガポールと日本のフェラーリオーナーが、雪上ドライブを通して通常の道では体験できないフェラーリの運動性能を試す目的で開催されたのである。
会場となったニセコの広場には特設のドライビングコースが設けられ、前記の最新フェラーリで1日タップリと雪上の跳ね馬を楽しむことができる。今回は私もその仲間に入れていただき、私自身も初めてとなるフェラーリでのスノードライブを体験することができた。
クローズドの広場に特設コースを設置

まずは座学でコースの説明や雪上ドライブの注意点、オーバーステアに持ち込む走り方などを聞いたのち、いよいよ実車でのドライブとなる。この日のためにマラネッロからインストラクターも来日、他にも数名のレーシングドライバーがマンツーマンでコーチをしてくれるので、実に心強い。
まずは1周300mほどの周回コースにアマルフィでチャレンジ。実はアマルフィをドライブするのはこの日が初めて。まさか初アマルフィ体験が雪上ドライブになるとは思わなかった。ちなみにクローズドコースを走行する車両はすべてピレリのスパイクタイヤを装着しており、私にとって初めてのスパイクタイヤ体験にもなった。この歳(還暦だ)になって人生初が1日に2回も体験できるとは、感動である。
まずはインストラクターの横に乗ってコースを走り、その後ステアリングを託される。クローズドコースということもあり、やや思い切って加速していくと、さすがスパイクタイヤ、しっかりと雪を噛んで強烈にアマルフィを前に押し進める。だがちょっとしたステアリングの動き、雪面の荒れでテールを左右にズルズル振り出すのは、やはり後輪駆動であることを実感。コーナーではフロントに荷重をかけてノーズを入れた後にアクセルを大きめに開けると、いとも簡単にテールが流れ出す。勢い余って回りすぎたりもしたが、横でインストラクターのアンドレアはテールが流れた後のアクセルの戻しが重要だと教えてくれる。
何度か周回するうちに、それなりのドリフト姿勢でコーナーをクリアできるようになった。アマルフィのV8ツインターボは微妙なアクセルの動きに対してもきちんと反応してくれるので、雪道でも扱いやすい。アンドレアも「グッド!」と笑顔で褒めてくれる。
コントローラブルなプロサングエ



続けてプロサングエに乗りかえて走る(ちなみにチャレンジマシンはフェラーリチャレンジの参戦ドライバーにしか運転が許されなかった)。こちらはAWDなので直進での姿勢は安定している。そしてコーナーでは明らかにアマルフィよりもドリフトがやりやすかった。テールが流れることでフロントにトルクが多めに配分され、テールが過度に振られることなくドリフト姿勢が維持しやすくなるのだろう。もちろんそれはプロサングエのトルク配分が安定志向ではなく積極的なスポーツドライブを楽しめるようにセッティングされているのも理由だ。いずれにしても、素人ドライバーであれば、雪上でカウンターを当てて振り回しやすいのは、アマルフィよりもプロサングエであるのは間違いない。
一般道の試乗プログラムも


プログラムはこの周回コース以外にパイロンスラロームや一般道でのドライブ体験もあった。パイロンスラロームは流しすぎると遅くなってしまうので、自制したアクセルとステアリングの操作がポイントなのだが、これもなかなか難しい。タイム計測も行われたのだが、トップタイムはフェラーリチャレンジ参戦ドライバーだった。やはりさすがだ。一般道のドライブは会場周辺を80kmほど走行。参加者は雄大な北海道の冬景色の中のドライブを満喫した。
ドライビング体験企画というとサーキットでの開催が多いが、雪の上は低速でクルマの限界が体験できるので、より安全にテクニックの向上が見込める。このような広い場所で思い切りアクセルを踏むことは、フェラーリというクルマの特性をより深く理解することにつながるだろう。もちろん、このプログラムに参加できるのはオーナーのみ。フェラーリを所有する価値は、こういうところにもあるのである。



REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/FERRARI JAPAN
MAGAZINE/GENROQ 2026年5月号
【オフィシャルサイト】
フェラーリ・ジャパン
https://www.ferrari.com/ja_jp/

