Morgan Plus Four
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Caterham Super Seven 2000

独特の粘っこいハンドリングが魅力のモーガン

ケータハムの最新モデルは、軽エンジンの600の本体価格が900万円弱、今回連れ出したスーパーセブン2000が1146万2000円。日本の公式サイトには、他にいくつかのセブンも掲載されるが、いずれの本体価格も1000万円プラスマイナス200万円。さらにいうと、雰囲気や機能性を高めるオプションをたっぷりトッピングした今回の試乗車でも、合計価格は1300万円台。今回の企画にはまさにドンピシャだ。

一方のモーガン・プラスフォーは、2021年の日本導入時の本体価格は1155万円だった。ただ、その後の円安も絡んだ輸入車の価格高騰はご存じの通りで、今や1800万円近いが、おおまかには“1500万円前後”ということで、今回は連れ出すことにした。いずれにしても、2026年3月現在、1500万円付近の予算で探すと、こんな英国スパルタンスポーツカーがヒットするのだ。

もっとも、大メーカー製の量産車しか見ていないと、「こんな簡素で古典的なクルマが1500万円!?」とツッコミを入れたくなるかもしれない。しかし、そうした量産車の価格は極限まで洗練された大工場で大量生産されてこそ。職人が1台1台丁寧に手造りするケータハムやモーガンは、まさに対極的な存在である。誤解を恐れずにいえば、これがポルシェやBMWのミドルスポーツと同等価格なら逆に割安かも……といったら、ひいき目にすぎるだろうか。

これぞライトウエイトの真骨頂、スーパーセブン2000

わずか車両重量560kgとスーパーライトウエイトなスーパーセブン2000。ゴーカートのような超軽快なハンドリングを味わえる現代において貴重なスポーツカーだ。
わずか車両重量560kgとスーパーライトウエイトなスーパーセブン2000。ゴーカートのような超軽快なハンドリングを味わえる現代において貴重なスポーツカーだ。

今回の2台は、見た目は間違いなくクラシカルだ。オーナーでもなければ、モーガンは1955年に出た4/4のシリーズ2、ケータハムは1967年のロータス・セブン・シリーズ3と区別がつかないだろう。

しかし、今のプラスフォーの実体は、今から5年前に全身新開発で世に出た最新スポーツカーである。その基本構造は、この先の数十年も生きることを想定したアルミパネルを接着(とリベット打ち)した下まわりに、四輪ダブルウイッシュボーンや電動パワステを組み合わせる。コクピットの居住性も、外から見るよりはるかに広く、人間工学的にも齟齬はなく、エアコンまで用意される。

必要にして十分なパワートレイン

そんな現代のモーガンは最新プラットフォームに、あえてトネリコ木材製のフレームを組み合わせている。トネリコは大昔のモーガンから使われてきた素材で、「堅いのに加工しやすく、軽くてサビない」のが利点というが、今もあえてそれを使うのは、正直いって技術的理由よりロマンの方が大きいだろう。

実際、直進性や安定性は十二分に高いのに、走行中のボディの微妙な歪みに起因すると思われる独特の粘っこいハンドリングは、お世辞にも今風とはいえないが、これぞまさにモーガン、いかにもトネリコ……というほかない。

このように中身は最新鋭のモーガンに対して、ケータハムの基本構造は、前身となった1960〜70年代のロータスと大差ない。しいてあげれば、デフをバネ上化したリヤのドディオンアクスルはケータハムになってからの特徴だが、これとてモデルによっては現在もリジッドアクスルのままである。

仕上がりが非常に美しいプラスフォーのインテリア

ただし、品質は確実に昔とは違う。現在のケータハムは日本のVTホールディングス傘下となっており、2023年には新社屋に移転して、生産能力も増強された。ひとりの職人が1台ずつ責任をもって最後まで仕上げる「ワンマン・ワンカー」の生産体制を敷く。この種のクルマとしてはもともと高品質だったケータハムだが、この2000のビルドクオリティは輪をかけて高い。

どちらも見た目にはヒストリックカー然としていても、普通に走らせるのに特別な儀式やコツはまったく不要。パワートレインがどちらも最新だからだ。プラスフォーはZ4/GRスープラでもお馴染みだったBMWの2.0リッター直噴ターボで、しかも今回の試乗車は最新の8速ATだった。スーパーセブン2000はその名のとおり、2.0リッターのフォード・デュラテックエンジンに、定番のマツダ製5速MTを組み合わせている。

どちらもエンジンスペックはそこそこだが、高速料金所からムチを入れれば、そこいらのスポーツカーは軽々と置き去りにする。ご想像のとおり、車重がすこぶる軽いからだ。プラスフォーは同等エンジンを積むZ4やスープラより約400kg軽く、ケータハムにいたっては、車検証重量でも600kgを切るのだ!

ドライビングシューズで運転したいスーパーセブン2000

ともに履くエイボン製タイヤもさほどとんがった性格ではないが、軽いので少なくともドライであれば、グリップは十二分。どちらもターンインではしっかりとした減速と前荷重が必要となるものの、いったんヨーが発生すれば、リヤタイヤの直前に座る古典的パッケージのおかげで、なにより重要な駆動輪のゴキゲンが手に取るように……というか、お尻に触れているかのように分かるから、まさに自由自在に振り回せる。

他のモデルでは味わえない濃厚な英国車の味

ワインディングを攻めるのではなく街なかをのんびり流すだけでも、ちょっとした冒険気分を味わえるのがモーガン、ケータハムともに通じる特徴だ。
ワインディングを攻めるのではなく街なかをのんびり流すだけでも、ちょっとした冒険気分を味わえるのがモーガン、ケータハムともに通じる特徴だ。

もっとも、モーガンもケータハムも、そうやって青筋を立てて走り込まなくても、すこぶる楽しい。トップやサイドウインドウ、ドアまですべて開け放って、さらにモーガンならドンピシャ形状のドアエッジにヒジを乗せて走り出せば、それこそ街中で流すだけでも冒険気分だ。これだけは5000万円超のスーパーカーでも味わえない快楽である。

 REPORT/佐野弘宗(Hiromune SANO)
PHOTO/佐藤亮太(Ryota SATO)
MAGAZINE/GENROQ 2026年5月号

 SPECIFICATIONS

モーガン・プラスフォー

 ボディサイズ:全長3830 全幅1650 全高1250mm
ホイールベース:2520mm
乾燥重量:1009kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1998cc
最高出力:190kW(258PS)/4400rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1000-4400rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前ディスク 後ドラム
タイヤサイズ:前後205/60R15
最高速度:240km/h
0-100km/h加速:4.8秒
車両本体価格:1789万7000円

ケータハム・スーパーセブン2000

 ボディサイズ:全長3380 全幅1575 全高1111mm
ホイールベース:2225mm
乾燥重量:560kg
エンジンタイプ:直列4気筒DOHC
総排気量:1999cc
最高出力:126.5kW(172PS)/7250rpm
最大トルク:174Nm(17.7kgm)/6500rpm
トランスミッション:5速MT
駆動方式:RWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後ディ・ディオン
ブレーキ:前後ディスク
タイヤサイズ:前後185/60R14
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:5.0秒以下
車両本体価格:1146万2000円

 【問い合わせ】
モーガン・カーズ・ジャパン エスシーアイ
https//www.morgan-cars.jp

ケータハムカーズ・ジャパン
TEL 03-5754-2227
https://www.caterham-cars.jp

 

 

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