華々しい日本参入から1年……QJモーターが再び出展

2026年3月27日(金)~29日(日)にかけて開催された『第53回東京モーターサイクルショー』に、昨年に引き続き中国の大手オートバイメーカー・QJモーターが参加した。

日本発売を予定しているSRK400RS。

前回はブランドが日本初上陸した記念ということもあったのだろう、顔見世興行として日本未発売モデルを含めて18台のオートバイを一堂に並べたが、今回はブースの面積を半分程度に縮小し、近日発売を開始するニューモデルのほか、参考出品車、そして『日本バイクオブザイヤー2025外国車部門・最優秀金賞』を受賞したSRVシリーズを中心に、日本市場で展開する車両に絞った展示となった。

ZX-4RやCBR400R FOURとガチンコバトル!?
スペックで国産スポーツを上回るSRK400RS

まずはミドルクラスのフルカウルスポーツのSRK400RSからチェック。このバイクは海外ではSRK450RRとして販売を開始しているが、日本仕様は普通二輪免許で乗れるように排気量を縮小したモデルである。

SRK400RSのリヤビュー。展示車両の仕上げは丁寧で、製品クオリティは国産や欧米のオートバイと大きな差はない。

心臓部には最高出力77.6ps/14000rpm、最大トルク3.9kg-m/13200rpmを叩き出す、399ccの水冷4ストローク並列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載する。ラムエア過給こそないものの、この数値はライバルとなるカワサキZX-4Rを0.6ps上回る。ボア×ストロークを57.0mm×39.1mmとショートストロークエンジンなので、高回転まで淀みなく吹け上がる気持ちの良いエンジンフィールであると予想される。

ボディサイズは全長2020mm×全幅755mm×全高1170mmと、カワサキZX-4Rに比べて若干車体は大柄になるようだが、車重は4気筒車でありながら176kgとZX-4Rに比べて14kgも軽い。実際に乗り比べて見ないと優劣はつけられないが、単純にパワーウェイトレシオを比べれば、ZX-4Rの2.46(ラムエア加給時は2.375)に対し、SRK400RSは2.27とスペックの上では上回る。

SRK400RSの心臓部。最高出力77.6ps/14000rpm、最大トルク3.9kg-m/13200rpmを発揮する399ccの水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジン。

サスペンションはマルゾッキ製のアウターチューブを採用した倒立式フロントフォークに、同じくマルゾッキ製のリンクレスのモノショックの組み合わせで、これにフロント120/70ZR17、リヤR160/60ZR17のタイヤを組み合わせる。さらにブレーキキャリパーはブレンボ製のラジアルマウントを標準装備する。

SRK400RSのサスペンション。前後ともイタリアのマルゾッキ製で、倒立式フロントフォークに、リヤはリンクレスのモノショックの組み合わせている。タイヤサイズは前が120/70ZR17、後は160/60ZR17。ブレーキはブレンボ製キャリパーが奢られる。

デザインはフロントマスクに太いLEDが縁取られた個性的で存在感のある二眼ヘッドランプを備え、さらにGPテクノロジー由来の大型のウイングレットを備えることで峠からサーキットまで楽しめるスポーツバイクであることを自己主張する。また、メーターは視認性の良いフルカラーのディスプレイを採用している。

太いLEDが縁取られた二眼ヘッドランプを備えたフロントマスク。個性的なルックスで遠くからでもSRK400RSだと判別できる。

ボディカラーは展示車のレッド/ブラックのほかに、レッド/シルバー、ブラック、ホワイトの4色展開が予定されているという。
気になる価格は現時点では発表されていない。ただし、QJモータージャパンのスタッフに尋ねると「ZX-4Rなどの同クラスの国産車より安価に提供できることでしょう」との答えが返ってきた。

SRK400RSのステムまわり。最近のトレンドに従ってメーターは視認性の良いフルカラーの液晶ディスプレイを採用する。

発売されれば、ZX-4Rやコンセプトモデルが発表されたホンダCBR400R FOURの良いライバルになることは必定。ミドルクラスの4気筒スポーツの購入を考えている人は、選択肢のひとつとしてQJモーターを加えるべきだろう。

サイドカウルに躍るSRK400RSのロゴステッカー。

ありそうでなかった原付二種アドベンチャー
SRT125DXは初心者やお小遣いの少ないお父さんにオススメ?

今回展示されたもう1台のニューモデルが、これまでありそうでなかった125ccクラスのアドベンチャーバイク・SRT125DXだ。ただし、サンプル車の輸入が間に合わなかったらしく、ショー会場には同型の姉貴分であるSRT250DXが展示されていた。

フロントに21インチホイールを採用した本格的アドベンチャーバイクのSRT250DX。フロントマスクはLEDを用いた二眼ヘッドランプを備える。この車両は参考出品車で、日本には原付二種クラスのSRT125DXが導入される予定だ。

SRT125DXはもともとヨーロッパ市場投入を前提に開発されたバイクで、彼の地のA1免許(排気量が125cc以下かつ出力が11kW以下の自動二輪と出力が15kWである自動三輪)に合わせて、搭載される125ccの水冷4ストローク単気筒は最高出力15ps/9500rpm、最大トルク1.27kg-m/7500rpmとなる。組み合わされるトランスミッションは6速MTだ。

SRT250DXのサイドビュー。日本に導入されるSRT125DXとはエンジン以外はほぼ同じ外観となる。迫力あるルックスだがシートタカは若干高く、小柄な人は実際に試乗してから購入すると良いだろう。

ボディサイズは全長2050mm×全幅830mm×全高1320mmと、125ccとしてはかなり立派な車格だが、これはロングツーリングとフラットダートの走行を視野に入れた結果で、チューブラー鋼製のクレードルフレーム、倒立フォーク、プリロード調整可能なリアショックとその成り立ちは本格派だ。

前後ABS付きのブレーキは、フロントにデュアルピストンキャリパーを備えた11.8インチディスク、リヤに8.7インチディスクを採用している。

さらにLEDライト、大型ウインドスクリーン、ハンドガード、リアキャリア、デュアルUSBポート、接続機能付き5インチTFTディスプレイなどを標準装備。車重は147kgと少々重めだが、ゆったりとツーリングを楽しむバイクなので問題はないだろう。

SRT250DXのリヤビュー。原付二種クラスとしては唯一の本格的なアドベンチャーバイクに期待は高まる。オプションとしてパニアケースの設定を希望したいところ。

大柄な車体に、背の高いフェアリング、直立したウインドスクリーン、スポークホイール、そしてデュアルヘッドライトの組み合わせは、紛れもなくアドベンチャーバイクのそれだ。製品としてのクオリティも高く、高級感もあり、125ccクラスとしては所有する喜びを感じさせる数少ない1台となっている。

任意保険にファミリーバイク特約が使え、維持費は安く、おそらく燃費性能にも優れることだろう。排気量の問題から高速道路こそ乗れないが、ハンターカブやクロスカブで下道ツーリングの面白さにハマった人の買い替え需要として、ベテランライダーのセカンドバイクとして、初心者の最初の1台としてふさわしいマシンだ。SRT125DXは参考出品モデルとのことだが、ぜひ早い段階での発売を期待したい1台である。

今や希少となったミドルクラスのVツインクルーザー
鼓動感とサウンド、アメリカンらしいスタイリングを求めるならコレ!

現在発売中のSRV250。国内市場では選択肢が少ないVツインエンジンを搭載したミドルクラスクルーザーだ。

ホンダ・レブル250やカワサキ・エリミネーター400の登場により、昨今250~400ccクラスのクルーザーの人気が再び盛り返しているが、クルーザーの心臓部といえば単気筒やパラツインではなく、やはりVツインという人は少なくないと思う。そんな人にオススメしたいのがQJモーターのSRVシリーズだ。

今回のショーには現在発売中のSRV250とSRV250A (AMT)のほか、排気量385ccのSRV400VSとSRV400A (AMT)、大型クルーザーのSRV600V2を出展した。

同じく現在発売中のSRV400VS。Vツインエンジンらしい鼓動感やサウンドを求めるエリミネーターでは飽きたらない普通自動二輪免許しか持たないライダーにオススメしたい。

SRV250とSRV400VSは日本導入済みの人気のミドルサイズクルーザーだ。最高出力はそれぞれ27.9psと34ps。どちらも軽量な車体にボバー風のデザイン、ベルトドライブ(2026年型からSRV250もベルトドライブ化)により、クルーザーらしい魅力的なスタイリングだけでなく、上質なVツインの鼓動と走行性能を楽しめるモデルとなっている。

新たに日本上陸を果たしたSRV400A。SRV400VSをベースにAMTを採用したミドルクルーザー。妹分のSRV250Aと同じくクラッチレバーとミッションを操作するシフトレバーが存在せず、ハンドル左右のペダルで前後ブレーキを操作する。

新型のSRV400AはSRV250Aと同じく、クラッチレバーとミッションを操作するシフトペダルが存在しないAT限定免許でも乗れる中型クルーザーだ。ステップまわりに操作系がなく、リヤブレーキはハンドル左側のレバーで操作することが特徴となる。

近年、オートバイの世界でもイージーライド志向が高まっている。妹分のSRV250Aよりもゆとりのある排気量を生かしてゆったりクルーズするのに最適な1台だ。

イージーライディング派から支持を集めているSRV250A。AMTの採用によりAT限定免許でも乗ることができる。

SRV600V2は最高出力は52ps/8000rpm、最大トルク5.4kg-m/6500rpmを発揮する550ccの水冷4ストロークV型2気筒DOHC8バルブエンジンを搭載した新型クルーザーだ。QJモーターのフラッグシップモデルだけあって、TFTメーター、ABS、TCSなどの装備も充実し、大型クルーザーらしい迫力あるルックスとゆとりのある走りが魅力のマシンである。

新たに日本導入を予定しているSRV600V2。QJモーターのフラッグシップらしい堂々とした佇まいで、TFTメーター、ABS、TCSなどの装備も充実している。

成長を続けるQJモーター
日本市場攻略の鍵は既存の車種にはない個性と魅力

昨年の東京モーターサイクルショーでの華々しい日本上陸から1年。現在、日中関係は難しい状況にあるが、こうした世相がどの程度QJモーターの日本での展開に影響があるのかをスタッフに尋ねると、そのような中にあっても、幸いなことにQJモーターは着実に成長を続けているという。

『第53回東京モーターサイクルショー』のQJモーターのブース。今回はスペースを絞って日本で販売の主力となるSRVシリーズを中心に新型車と参考出品車を展示していた。

昨年、QJモータージャパンのスタッフが語っていた「弊社の調査によると40歳以下の年齢層のユーザーには中国製品に対する忌避感がほぼなく、コストパフォーマンスに優れ、自分の価値観にフィットした製品であれば生産国にこだわらず購入する人が多いようです。日中関係が良好であることがビジネスをする上での前提とはなりますが、QJモーターが日本市場に参入するに当たって、中国ブランドであることがことさら障害になるとは考えていません」という言葉が裏付けられたカタチだ。

はたしてQJモーターのバイクは日本で売れるのか?2025年夏に発売される普通免許モデルが試金石【東京モーターサイクルショー2025】 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

満を持して参入したQJモーターは日本市場で成功するのか? 2025年3月28日(金)~30日に(日)にかけて開催された『第52回東京モーターサイクルショー』に初出展した「QJ MOTOR(以下、QJモーター)」は、企業出 […]

https://motor-fan.jp/article/143551/
2025年の東京モーターサイクルショーでのQJモーターのレポート。

おそらくは中国に対する差別意識や偏見がない若者や、政治は政治、個人は個人、製品は製品で個別に評価できる良識あるユーザーから支持を集めているのだろう。

2025年の『第52回東京モーターサイクルショー』のQJモーターのブース。日本初上陸記念ということで広いスペースに18台のバイクを並べていた。ブース面積の縮小は業績不振というわけではなく、日本市場で堅実なビジネスを続ける上での選択のようだ。

もちろん、QJモーターが少しずつ業績を伸ばしているのには、バイクとしての魅力や製品クオリティの高さだけでなく、綿密な市場調査による車種選定やサービス網の拡大、日本市場参入と同時に開設した国内のエンジニアリングセンターによる製品のローカライズなどの努力があればこそだ。

同じく2025年の『第52回東京モーターサイクルショー』のQJモータースのステージ。発表会は大勢の来場者で賑わっていた。

今回、ショー会場で話を聞いたスタッフは
「日本でビジネスを展開するにあたり、QJモータージャパンは従来の日本市場にはない製品……すなわち、ニッチな製品を積極的に展開するように心がけています。性能面で自信のあるミドルクラスのフルカウルスポーツのSRK400RSを投入する一方で、国産バイクになりVツインエンジンを搭載したミドルクラスクルーザーのSRVシリーズを販売の主力として置いているのはそのためです。また、近く販売開始を予定しているSRT125DXは、日本市場で唯一の125ccアドベンチャーバイクです。税金や保険料などの維持費が安く、下道ツーリングを楽しむライダーにオススメな1台です。当社ではこれからもこうしたユニークで個性と魅力に富んだオートバイを販売していきたいと考えています」
と話してくれた。

SRV600V2。QJモーターは浙江省温嶺市に本社を置く銭江(チェンジャン)モーターサイクル・グループ(浙江銭江摩托股分有限公司)が製造するモーターサイクルのブランド名であり、中国の大手自動車メーカーの吉利(GEELY=ジーリー)ホールディングス(浙江吉利控股集団)傘下にある。

成熟した日本市場に参入する上で、従来の国産車や輸入車とは異なる個性で勝負をかけるこの戦略はおそらく正しい。これからもQJモーターは既存の車種に飽きたらないユーザーをターゲットに、斬新で個性的なマシンを展開して行くことだろう。

SRV250。銭江モーターサイクル・グループは、イタリアの名門メーカーであるベネリやモルビデリなどを傘下に収め、「バイク界のフェラーリ」ことMVアグスタと戦略的パートナーシップを結ぶなど、世界のバイク業界の中で近年急速に存在感を強めている。特にイタリアメーカーとの提携は、技術面や品質の面で大きなプラスになっているようだ。