FORD GT Mk Ⅳ
ニュルブルクリンクで達成した歴史的ラップ

全長約20.8kmにおよぶノルドシュライフェは、数多くの高速コーナーや急激なアップダウンが連続する、世界屈指の難易度を誇るサーキットである。周囲を取り巻く森の緑とその過酷さから“グリーンヘル”(緑の地獄)と呼ばれ、数々の伝説的な記録が生まれてきた。フォード レーシングにとっても、このコースは車両性能を極限まで引き出し、その真価を測る重要な舞台となっている。
「フォード GT マークIV(Mk IV)」が記録したタイムは6分15秒977。同車はニュルブルクリンクにおけるアメリカOEM最速記録を樹立しただけでなく、歴代総合でも3番目に速いラップタイムを記録した。さらに、プロトタイプカテゴリーに分類されるサーキット専用車としては現在購入可能なモデルの中で最速であり、内燃機関のみで駆動する車両としてもトップの座を獲得した。
同じプロトタイプカテゴリーに属する「シボレー コルベット ZR1X」を上回り、アメリカの自動車メーカーとして最速の座を獲得。すべてのモデルを含めても歴代で総合3位という位置付けとなる。
最終モデルにふさわしい性能と技術

フォード GTは、伝説的な「フォード GT40」のル・マン24時間参戦から60年、さらにフォード GTのクラス優勝から10年の節目を迎えている。こうした歴史の積み重ねが、GT Mk IVという最終モデルに凝縮されている。
GT Mk IVは67台の限定生産モデルであり、第3世代のフォード GTとして究極のパフォーマンスを追求して設計された。パワートレインには800PSを超える専用ツインターボEcoBoostエンジンを搭載。Multimatic(マルチマティック社)と共同開発したAdaptive Spool Valve(ASV)レース用サスペンション、延長されたホイールベース、専用レーシングギアボックスを組み合わせることで、極限領域での性能を引き出す構成となっている。
カーボンファイバー製のロングテールボディは最大限のダウンフォースと圧倒的な高速性能を実現するとともに、機能美も追及した設計が施されている。
ドライバーとチームが引き出した極限性能

この記録達成において重要な役割を果たしたのが、フォード レーシングのファクトリードライバー、フレデリック・ヴェルヴィッシュである。彼はニュルブルクリンク24時間レースで2019年と2022年に優勝を果たしており、この難コースに対する豊富な経験と深い理解を持つ。さらに2025年のデイトナ24時間では新型「マスタング GT3」で勝利を収めるなど、さまざまなカテゴリーで実績を重ねている。
ヴェルヴィッシュは、「このクルマはまさに武器のような存在で、ドライバーの意思をそのまま反映する。あらゆる操作に即座かつ正確に応答し、コースのあらゆる区間で自信を与えてくれる」と語り、その高い完成度を強調した。
また、今回の挑戦はフォード単独ではなく、マルチマティックやミシュランといったパートナー企業の支援によって実現したものである。こうした極限環境で得られた知見は、市販車開発にも活かされていくとフォードは語っている。
フォードの挑戦を象徴する1台

フォードは今回の成果について、単なるラップタイムの更新にとどまらず、モータースポーツへの揺るぎない取り組みと技術革新への姿勢を示すものだとしている。フォード レーシングは、専用開発の電動実証車からサーキット志向の市販モデルまで、多様な車両をニュルブルクリンクに持ち込み限界に挑んでいる。こうした取り組みを通じて得られた技術は、市販車の進化にも直接つながっているという。
GT Mk IVのニュルブルクリンクでの記録は、フォードの意欲を力強く示すとともに、高性能車の未来を示唆する成果といえるだろう。

