
新設計999cc水冷Vツインを搭載
スカウトシリーズは同ブランドの中では排気量や価格的にも手軽に乗れる、エントリーモデル的な位置づけのミドルクルーザーである。そこに今回新たに加わったのが999ccVツインエンジンを搭載した「Sixty(シックスティ)」シリーズだ。従来モデルは排ガス規制により一時中断されていたが、数年ぶりにフルモデルチェンジして復活した形だ。ちなみにシックスティの名前の由来は排気量を表す「60」キュービックインチからきている。
従来からの水冷60度VツインDOHC4バルブのレイアウトは踏襲しつつ新設計のスピードプラス999ccエンジンを搭載、最高出力も85psに強化された。車体のメインパートはシンプルなスチール鋼管製とすることで、しなやかなハンドリングと多様なカスタムニーズにも対応。ロー&ロングなボディにキャストホイールに前後16インチのファットタイヤを装着し、前後フェンダーを切り詰めたボバースタイルが特徴になっている。また、オプションによりクルコンやライドモードなどの電子デバイスを追加することも可能だ。ちなみに「Sixty(シックスティ)」シリーズにはディープフェンダーを装着したクラシカルな雰囲気の「Scout Sixty Classic」もラインナップされるなど選択肢を広げている。
排ガス規制により一時生産休止していた「Sixty(シックスティ)」シリーズが装いも新たに2025モデルとして復活。水冷Vツイン999ccエンジンの基本レイアウトは踏襲するが、新設計となり出力アップ。車体デザインやフレームも新設計となりマフラーも2本出しから1本に変更された。カスタム感あふれる正統派ボバースタイルが魅力だ。
インディアンScout Sixty Bobber……1,690,000円






足つきチェック
大きすぎないサイズで乗り味もフレンドリー
他の水冷スカウトの排気量は1250ccなので、ちょうど8掛け程度のスケールということになる。車重も243kgと国産ビッグネイキッド並みで、シート高も649mmとクルーザーの中でも一段と低いため、取り回しも楽で足着きの良さも抜群である。
ポジションはハンドルが手前に軽くプルバックされ、ステップ位置もミッドコントロールにセットされるため自然な姿勢でバイクを操れるのが良い。その意味でもエントリーユーザー向けと言っていい。とはいえ、リッタークラスのVツインを積んだスポーツクルーザーである。Vツインらしい小気味よい鼓動感とともに吹け上る、ツインカム4バルブらしい伸びやかな加速感が気持ちいい。アクセルレスポンスも穏やかで扱いやすく、全体的にスムーズなパワーの出方が印象的だ。見た目からはもっとワイルドなイメージがあったが、実際は街乗りから都市部での通勤・通学でもこなせる感じ。一点、5速ミッションということで高速レンジでのドライブフィールが気がかりだったが、十分なトルクに加えトップギアがオーバードライブ気味ということもあり、回転数を抑えながらも悠々とクルーズを楽しめた。
正統派ボバーでありながら走りは現代的

ハンドリングはクルーザーらしい安定感の中にも軽快感があり、意のままに曲がっていける安心感がある。クルーザーとしては軽量でコンパクトな車体が奏功していると思う。ミッドコントロールのステップ位置はやや高めの位置にセットされていて、普通にコーナーを曲がる程度では接地しないので安心。低速ターンも苦も無くこなせて走りは現代的だ。
味付けとして、フロント130/90-16サイズのビンテージ風タイヤ独特の横にゴロっと転がるような旋回フィールが楽しい。
スタイルも本格的で、小ぶりな丸目ヘッドライトや単眼アナログメーター、サドル型シングルシートなども含め、「ボバー」のエッセンスが詰まったモデルである。ちなみに「ボバー」とはシティクルーズに特化した削ぎ落とし系カスタムのこと。米国発祥でその歴史は古くビンテージカスタムの主流派でもある。なお、スタンダード仕様にはABS を標準装備。リミテッド仕様には ABSの他、トラクションコントロールやライディングモード、クルーズコントロール、USB充電ポートなど一連の電子デバイスも搭載される。
正統派ボバーのスタイルを体現しつつも、軽量・コンパクトな車体と低いシート、扱いやすいエンジンと素直なハンドリングなど、他の巨大クルーザーにはない親しみやすさが大きな魅力と思う。そして、なんといっても国産車並みのプライスが素敵。初めての大型バイク、初めてのクルーザーにもおすすめしたい一台である。

アメリカンクルーザーらしくゆったりと街を流すのも気持ちいいが、軽量スリムな車体を生かした軽快な走りも得意。日本の峠道でも楽しく走れそうだ。
ディテール解説










主要諸元
エンジン
| エンジン型式 | 水冷Vツイン(60度) |
|---|---|
| 排気量 | 999 cc |
| ボア x ストローク | 93mm x 73.6mm |
| 圧縮比 | 11.0:1 |
| 電子制御燃料噴射システム | クローズドループ燃料噴射/54mmボア |
パフォーマンス
| Horsepower | 85 HP |
|---|---|
| 最大トルク発生回転数 | 6200 rpm |
| 最大トルク (995/1/EC Nm) | 87 Nm |
ドライブトレイン
| プライマリードライブ | ギアドライブ湿式クラッチ |
|---|---|
| ドライブ/ドリブンクラッチ | 湿式多板クラッチ |
ギア比 (全体)
| 変速比(1速) | 2.769:1 |
|---|---|
| 変速比(2速) | 1.882:1 |
| 変速比(3速) | 1.500:1 |
| 変速比(4速) | 1.273:1 |
| 変速比(5速) | 0.966:1 |
| 変速比(6速) | N/A |
| ファイナルドライブ | 2.276:1 |
サスペンション
| サスペンション: フロント – タイプ/トラベル | テレスコピックフォーク/120 mm |
|---|---|
| サスペンション: リア – タイプ/トラベル | デュアルショック/51 mm |
シャーシ
| ブレーキ/フロント | シングル/298mmローター/2ピストンキャリパー |
|---|---|
| ブレーキ/リア | シングル/298mmローター/1ピストンキャリパー |
| タイヤ/フロント | Kenda K673 130/90B16 67H |
| タイヤ/リア | Kenda K673 150/80B16 77H |
| ホイール | キャスト 16 in x 3.5 in / キャスト 16 in x 3.5 in |
| 排気システム | 2イン1 |
ディメンション
| ホイールベース | 1,562 mm |
|---|---|
| シート高 | 649 mm |
| 最低地上高 | 109 mm |
| 全長 | 2,206 mm |
| 全幅 | 855 mm |
| 全高 | 1,071 mm |
| リーンアングル | 31° |
| レーク | 29.4° |
| トレイル | 125.2 mm |
| 燃料タンク容量 | 13.0 L |
| 定格車両総重量 | 449 kg |
| 車両重量(燃料非搭載時/搭載時) | 234 kg / 243 kg |
Features
| カラー/グラフィックス | Black Metallic |
|---|---|
| メーカー保証 | 2年間、走行距離無制限 |
スタンダード
| 標準装備 | Standard : ABS / Limited : ABS、ライディングモード、USB充電ポート、 クルーズコントロール、トラクションコントロール |
|---|---|
| 灯火類 | ヘッドライト、テール/ブレーキライト、ターンシグナル、ナンバープレートライト、 スピードメーター、インジケーターライト |
エレクトリカル
| 計器類 | 4インチ アナログメーター(スピードメーター、インジケーターランプ、 マルチファンクションディスプレイ付き) |
|---|---|
| インフォテイメント | N/A |







