ドゥカティがついにモトクロス界に参戦

ボルゴパニガーレのドゥカティファクトリーで、同社史上初となるモトクロスバイク「デスモ450 MX」の生産がスタートした。最初の1台が工場からラインオフした直前の週末、MXGP世界選手権フランスGPでジェレミー・シーワーが2度目の表彰台を獲得。実戦での高いポテンシャルを証明した格好だ。

生産開始の祝賀イベントには、9度のワールドチャンピオンに輝いたトニー・カイローリと、イタリア選手権で初勝利と年間タイトルを獲得したアレッサンドロ・ルピーノが出席。開発段階から貴重な経験を提供してきた両名の存在が、このバイクの本格性を物語っている。

デスモドロミックエンジン搭載の革新性

世界唯一のバルブ駆動システム

デスモ450 MXは、単気筒449.6ccのデスモドロミックエンジンを搭載することで、本格的オフロードモデルの世界でユニークな存在となった。このバルブ駆動システムにより、低中回転域ではセグメントのベンチマークとなる豊かなトルクを発生し、スタート時とコーナーで各ギアをより有効活用できる。

軽量なアルミニウム製フレームは、堅牢な構造と軽さ、剛性を最大限に高めるため、溶接ヵ所ができるだけ少なくなるよう設計されている。実際のレースをテストの場として開発されたシャシーは、プロからアマチュアまで、ライダーのスキル向上と限界の拡大をサポートする。

革新的エレクトロニクス技術

デスモ450 MXは、エレクトロニクス面でもこのセグメントで革新的存在だ。実際のリヤホイールのスライドを正確に把握し、バイクのパフォーマンスを制限しないよう、トラクションコントロールが作動すべきでない状況を識別できるシステムを搭載した世界初のモトクロスバイクである。

CEO語る新市場への挑戦

ドゥカティCEOのクラウディオ・ドメニカーリは、新モデルについて次のように語る。「私たちの周囲を見回したとき、ドゥカティの企業文化の重要な独自性とは、おそらくどの企業よりも、レースの世界と量産バイクの世界がより緊密につながっているということです」

さらに、「当社の様々な部門には数多くのオフロードファン、つまりすばらしい人材がいるということです。これらすべてにより、アマチュアとプロライダーの両方にとって、扱いやすくハイパフォーマンスなバイク、デスモ450 MXを発表することができました」と続けた。

本格カスタムパーツも同時展開

MXGP仕様に近づけるアクセサリー群

ドゥカティパフォーマンスカタログには、デスモ450 MXをMXGP世界選手権でジェレミー・シーワーとマッティア・ガダニーニが乗るバイクに近づけるための、様々なアクセサリーが用意されている。

提供パーツには以下が含まれる

  • ホイールハブ、トリプルクランプなどのビレットアルミニウム削り出しファクトリーコンポーネント
  • コンプリートエグゾーストシステム
  • アクラポヴィッチ製チタニウムスリップオンサイレンサー
  • ブレンボ製レーシングブレーキキャリパー

利用可能なアクセサリーは段階的に拡大される予定だ。

専門ブランドとのコラボアパレル

ファクトリールックを完成させるため、ドゥカティ純正アクセサリーには、専門アパレルブランドとのコラボレーションで作成されたテクニカルアパレルコレクションも掲載。アルパインスターズのジャージ・パンツ・グローブ・ブーツセット、アライのヘルメット、ウィンドベスト、ソフトシェル、レインジャケットなどが含まれている。

発売スケジュールと今後の展開

デスモ450 MXは、2025年7月からヨーロッパと北米の一部ディーラーに登場し、その後は順次世界中に販売が拡大される。日本での発売は2026年春を予定している。

デスモ450 MXのプレゼンテーションビデオは、ドゥカティYouTubeチャンネルで視聴可能。技術情報およびその他の写真を含むプレスキットは、ドゥカティメディアハウスから入手できる。

ドゥカティを新たな世界へと導き、これまでとは異なる新しいライダーに訴求し、ドゥカティコミュニティを拡大することを目的として設計されたデスモ450 MX。本格的オフロードバイクのフルラインナップを構築する最初のモデルとして、今後の展開にも注目が集まる。