SUPER FORMULA
2025年も激戦の様相が日本最高峰フォーミュラ

1973年のスタートから半世紀以上を数える全日本スーパーフォーミュラ選手権。FIA-F2と並び、世界選手権フォーミュラワン(F1)への登竜門と目されており、国際的な注目度も年々高まっている。現在アジア圏で最高峰と称される存在である。
マシンは全チーム共通のSF23シャシーを使用し、タイヤは横浜ゴムのワンメイク。エンジンはトヨタとホンダ製の2機種が存在するが、性能は調整により拮抗しており、勝敗はドライバーの実力とチームの総合力に委ねられる。1000分の1秒を争う戦いは、世界屈指のハイレベルと称されても過言ではない。
2レース制が始まった2025年シーズン


2025年シーズンは、2月の鈴鹿サーキットで行われた公式テストから幕を開けた。だが、厳冬期の開催に加え、2日目は降雪により走行が全キャンセル。各チームとも不完全燃焼のまま開幕戦に挑むこととなった。
今季は全12戦。第5戦のオートポリスと第8戦のSUGOを除くすべての大会で1大会2レース制が導入された。これはドライバーに多くの走行機会を与えることが目的だが、戦略性の変化や体力面への影響など、シーズン全体に新たな雰囲気をもたらしている。
絶対王者ダンデライアンと台頭する新星



ディフェンディングチャンピオンの坪井翔を筆頭に、タイトル争いの軸は今季もダンデライアン・レーシングとチーム無限が中心となって展開している。中でもダンデライアンの強さは際立っていた。開幕ラウンド鈴鹿(Rd1・2)では太田格之進と牧野任祐がそれぞれ優勝。続くもてぎ大会(Rd3・4)でもこの2人がそれぞれ勝利を収め、両レースともにワンツーフィニッシュ。まさに“完全支配”ともいえるスタートダッシュを見せた。
一方で注目のルーキーたちの活躍も見逃せない。スーパーフォーミュラ ライツ王者の小出峻を筆頭に、元ウイリアムズ育成のザック・オサリバン、FIA-F2出身のオリバー・ラスムッセンらが名を連ねる。そして何より、グランツーリスモ界から飛び出した異色の存在、イゴール・オオムラ・フラガが、Rd3もてぎで見事初表彰台を獲得。その潜在能力の高さを証明した。
さらに、現役女子大生ドライバーとして2年目の挑戦を続けるJUJU(野田樹潤)も着実に経験を重ねている。新体制に苦戦しつつも、進化の兆しを随所に感じさせている点も印象的だ。
風雲急を告げるオートポリスと、富士での再起動


第3大会(Rd5)の舞台は阿蘇・オートポリス。例によって天候に翻弄された週末となり、豪雨・強風・濃霧により土曜の走行は全キャンセル。日曜日に予選と決勝を詰め込む異例のスケジュールとなった。
こうした状況に苦しめられたのが、他ならぬ王者チーム=ダンデライアン。太田・牧野両選手が振るわぬ中、勝機を掴んだのは坪井翔。今季初勝利でチャンピオンの意地を見せた。
その後、6月上旬には富士スピードウェイにて公式テストが実施された。ここでは、後半戦のキーポイントとなる富士2大会に向け、各陣営が2日間・計10時間のロングランを敢行。坪井は好調を維持し、岩佐歩夢や野尻智紀も上位タイムを記録。フラガも着実に手応えを掴んでいる様子だった。
真夏の富士、勢力図はどう動く?

次戦は第4大会、富士スピードウェイでのRd6・7(7月19・20日開催)。全12戦中すでに5戦を消化し、いよいよシーズンは折り返しを迎える。
ここまで抜きん出た成績を見せているダンデライアンだが、富士テストでの他陣営の巻き返しを鑑みるに、後半戦は一転して混戦模様となる可能性も高い。チャンピオン争いの主役たちは、どこで牙を剥き、どこで踏みとどまるのか──。いま、全日本スーパーフォーミュラは例年以上に面白い。
PHOTO/田村弥(Wataru TAMURA)

