Volvo XC60

最新世代のグリルに換装

近年、ヨーロッパ系モデルのライフサイクルが長期化している。これはEV関連の投資を優先し、エンジン車の新規開発にあまりリソースを避かないことが関係しているのだが小改良も積み重ねれば決して悪くない結果をもたらすわけで……。
外観はフロントグリルの意匠変更、リヤコンビランプのダークカラー化、ホイールのデザイン変更など。

デビューから8年といえば一般的にはフルモデルチェンジの時期。だが、この「XC60」はマイナーチェンジ版だ。実はこのXC60、昨年の世界販売が過去最高を更新。だからボルボが「まだ商品力は衰えていない」と考えるのもごく自然なことかもしれない。

そんなわけで? 進化のポイントはそう大胆ではない。エクステリアでは、フロントグリルが左右2方向から斜めに伸びる新しいデザインに変更。リヤコンビランプは内部の色調がダークになって引き締まった印象を強めている。ホイールのデザインもすべてのグレードで刷新。でも、この程度。XC90のようにボディパネルにまで手は及んでいない。

だが、変化はインテリアに顕著だ。まず、センターディスプレイが9インチから11.2インチに大型化された。内部のコンピューターもクアルコムの次世代型になり、情報処理やグラフィックの成生速度が高まっている。またGoogleベースのインフォテインメントシステムは健在ながら、ホーム画面がより使いやすくなった。その他にもセンターコンソールのデザイン変更、素材のレザーフリー化などが実施されている。

実はターボが刷新されている

ラインナップは従来通りで、ベーシックな2.0リッター直4ターボのFF「プラスB5」をボトムに、AWDの「ウルトラB5 AWD」、前後にモーターが追加された「ウルトラT6 AWDプラグインハイブリッド」の3種類。価格はそれぞれ789万円、879万円、1029万円となる。

その中から試乗したのはウルトラB5 AWD。販売の約半数を占める人気グレードだ。走り出してすぐに気が付くのは中間加速の力強さ。クルーズ状態からアクセルを踏み増していくような際、加速のキレと伸びが以前とは段違いなのだ。試乗後に広報さんに確認したところ、ターボが可変ノズルタイプ(VNT、VGT)に変更されているとのこと。リリースには「エンジンがミラーサイクル化されて燃費が5%向上」としか書かれていなかったのだが……。

変わらないからこそ

エンジンはジーリーとルノー、ボルボのエンジン部門が統合した「ホース・パワートレイン」社から調達するという形を採る。B5 AWDの燃費は12.2km/Lから12.8km/Lに向上している(WLTC)。
エンジンはジーリーとルノー、ボルボのエンジン部門が統合した「ホース・パワートレイン」社から調達するという形を採る。B5 AWDの燃費は12.2km/Lから12.8km/Lに向上している(WLTC)。

ハンドリングはスッキリとしてナチュラル。タイヤは太めだが大入力にボディが負けるようなことはなく、しっかり履きこなしている印象だ。静粛性も高く、北欧インテリアに包まれての平穏なドライブは、正直、近年では得難い価値。周りがキリキリ尖ってきただけに、改めてボルボの魅力が浮き彫りになってきた形だ。

変えること、変わることだけが正義じゃない。磨くことで変えるよりも価値が高まることだってあるのだ。

REPORT/市原直英(Naohide ICHIHARA)
PHOTO/郡 大二郎(Daijiro KORI)
MAGAZINE/GENROQ 2025年9月号 

SPECIFICATIONS

ボルボXC60ウルトラB5 AWD

ボディサイズ:全長4710 全幅1900 全高1660mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:1900kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1968cc
最高出力:184kW(250PS)/5400-5700rpm
最大トルク:360Nm(36.7kgm)/2000-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後235/55R19
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:6.9秒
車両本体価格:879万円

【問い合わせ】
ボルボお客様相談室
TEL 0120-922-662
https://www.volvocars.com

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