Alfa Romeo Junior
待望のコンパクト・アルファ ロメオ

率直に言うと、現在のステランティスグループにおいて唯一迷走しているブランドがアルファロメオだと思っている。アルファロメオといえば2000年代にはDセグメントの「156」、Cセグメントの「147」が一世を風靡し、特に156に至っては「BMW 3シリーズ」を脅かすほど日本でも人気があったのをまざまざとおぼえている。あの時代のアルファにはブランドの確固たる「味」があった。
だがどうしたことか、最近のアルファロメオは元気がない。ミドルサイズSUV「ステルヴィオ」、Dセグメントセダン「ジュリア」、CセグメントSUV「トナーレ」をラインナップするが、かつての勢いはどこへやら、ブランドのアイデンティティさえ見失っているように見える。アルファというブランドは大衆迎合してはならないメーカーなのだ。自らの個性、スポーティさを突き進めることで、その魅力を誇示するブランドだと私は信じてやまない。
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そのアルファロメオが満を持して日本に送り込んできたのがBセグメントSUVの「ジュニア」だ。プラットフォームは「プジョー 208」でもお馴染みのステランティスグループのコンパクトカー用「eCMP」を採用する。パワートレインはMHEVモデルとBEVが用意されるが、今回はハイブリッドの発売記念限定車「ジュニア イブリダ スペチアーレ」に試乗してきた。
まず注目したいのは個性が炸裂したそのデザインだろう。鋭い眼光の三眼ヘッドライトや押し出しの強いトライローブ(三つ葉)形状のフロントグリル(今回試乗した限定車は「スクテッド(盾グリル)」を採用)、鋭利なナイフで切り落とされたようなリヤセクションなど、随所にアルファらしいモチーフを落とし込んでいる。
回すごとに悦びを感じる1.2リッターエンジン


MHEVのパワートレインは1.2リッター直列3気筒ターボ(136PS)に16kWのEモーターを内蔵した6速DCT、48Vシステムを組み合わせる。一方BEVは54kWのリチウムイオンバッテリーを搭載することでシステムアウトプット156PS/270Nmを発生し、最大494kmの航続距離を実現したという。
さて、肝心のMHEVの走りだが、ゴー&ストップを繰り返すシーンでDCTからの振動の大きさがやや気になった。低速域はやや足がバタつき、突き上げが強い傾向にあるが、ジュニアの真骨頂は中〜高速域にある。50km/hを超えたあたりから、ステアリングはしっかりとした手応えを感じさせる操舵フィールに変化し、足まわりはしっとりとした乗り味となる。今回、高速道路での試乗はできなかったが、中速域のコーナリングはとてもスポーティで“アルファ・ブランド”をしっかりと体現していると感心した。
斬新なスタイリングにも注目

燃費性能も23.0km/LとBセグメントSUVの中でも素晴らしい数値を実現したジュニア。アルファ・ブランド復活の狼煙となるか注目したい。
REPORT/石川亮平(Ryohei ISHIKAWA)
PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)
MAGAZINE/GENROQ 2025年9月号
SPECIFICATIONS
アルファロメオ・ジュニア イブリダ スペチアーレ
ボディサイズ:全長4195 全幅1780 全高1585mm
ホイールベース:2560mm
車両重量:1340kg
エンジン:直列3気筒DOHCターボ
総排気量:1199cc
最高出力:100kW(136PS)/5500rpm
最大トルク:230Nm(23.5kgm)/1750rpm
フロントモーター
最高出力:16kW(22PS)/4264rpm
最大トルク:51Nm(5.2kgm)/750-2499rpm
トランスミッション:6速DCT
駆動方式:FWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク
タイヤサイズ:前後215/55R18
燃料消費率(WLTC):23.0km/L
車両本体価格:533万円
【問い合わせ】
アルファ・コンタクト
TEL 0120-779-159
https://www.alfaromeo-jp.com/
