Ferrari Amalfi

さらにエレガントに

マラネッロ本社から来日したヘッド オブ プロダクト マーケティングのエマヌエレ・カランド氏(左)とフェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ代表取締役社長。
マラネッロ本社から来日したヘッド オブ プロダクト マーケティングのエマヌエレ・カランド氏(左)とフェラーリ・ジャパンのドナート・ロマニエッロ代表取締役社長。

今回、東京・竹芝で発表された新型「フェラーリ アマルフィ」は、「彫り込まれたフォルムとクリーンなサーフェイス」と謳う2+ベルリネッタだ。「ローマ」の後継車にあたる。つい7月2日にイタリアでワールドプレミアされたばかりだが、早くも日本に上陸したのは日本市場の実績と将来性の証でもある。7月29日の発表会は、車名の由来に即した海沿いの特設会場で開催された。

「12チリンドリ」以降の最新デザイン要素が与えられたエクステリアは、フェラーリらしいミニマルな美的基準を追求したという。具体的には人間の目や鼻、口といった擬人化要素を排除したという。実際、先代にあたるローマと見比べると、その方針が大きく変更されたことがわかる。例えばフロントセクションは、特徴的なグリルを持っていたローマに対して、グリルレスとなった。3.9リッターV型8気筒ツインターボエンジンが搭載される長いフロントボンネットの下には、フロントから見て上下を分割するダークカラーのバンドがデザインされ、そこにセンサー類やヘッドライトが目立たないよう内蔵されている。

サイドセクションはローマよりもリヤフェンダーの張り出しがはっきりとドアパネル前方まで続くことで、ワイド感が強調される。テールライトはフロントとの連続性を感じさせるダークカラーのベルトに収まるが、これはクラシック・フェラーリへのオマージュと同時にモダンなビジュアル要素だという。リヤ下部には、高い機能性とスポーティなデザインの大型リヤディフューザーを備える。リヤスクリーンと一体化したアクティブウイングは3段階調整可能で、もっともダウンフォースを高めた場合は250km/h走行時に110kgに達するという。なおボディサイズはローマと較べて全長が4mm延びた以外は同値となっており、取り回しの良さに変化はないだろう。

F154型V8エンジンの最新進化型

フロントミッドに搭載される3855ccV型8気筒ツインターボは、実績豊富なF154型エンジンの進化型で、最高出力640PS、最大トルク760Nmを誇る。ローマと較べると最高出力が20PS向上した。トランスミッションは先代同様の8速DCTが組み合わされたが、制御ユニットのパワーアップと、エンジンソフトウェアとの統合を進めて、変速の滑らかさと変速スピード向上を果たし、0-100km/h加速は3.3秒と0.1秒短縮した。最高速は320km/hで変更はない。

「296 GTB」「プロサングエ」「12チリンドリ」などにも導入された最新のエンジン制御により、ポテンシャルを最大限発揮。同時に軽量化も追求され、新型軽量カムシャフトにより1.3kg、再設計されたエンジンブロックに精密機械加工を施したことで約1kgの重量削減を実現した。フェラーリ製エンジンとしては初の低粘度オイルを採用。低温時抵抗が従来比30%低減し、ウォームアップ時の効率性が大幅に向上。エキゾーストシステムは、3種類の金属コーティング(ロジウム、プラチナ、バラジウム)を施し、セラミック母材の触媒コンバーターを装備。さらに熱慣性の低減により、始動時間を大幅短縮したという。

ブレーキシステムには、非ハイブリッドでありながら296GTBなどと同様にバイワイヤー式を採用した。ペダルストロークが短縮され、マネッティーノでの調整もしやすく、よりスポーティな走りを実現できるという。関係者によるとブレーキバイワイヤは、今後のニューモデルには順次採用されるという。

助手席とのコミュニケーションが容易

インテリアは、ドライバーとパッセンジャーを2つの空間で包みこむ「デュアルコクピット・レイアウト」を標榜する。先代のローマでは、センターに8.4インチ縦型ディスプレイやギヤセレクターが配置され、高い壁を作り、運転席と助手席がシンメトリーに分割されたレイアウトだった。それに対して、ディスプレイが10.25インチ横型となってギヤセレクターが低くなり、アシンメトリーとなって助手席とのコミュニケーションが容易になった印象だ。パッセンジャー用8.8インチディスプレイには、今回もGフォースやエンジン回転といったデータが表示され、ラリーのコ・ドライバーのような体験を提供するという。

ステアリングホイールには使い勝手の良い物理的ボタンを配置。スタートボタンも物理型となった。インフォテインメントシステムは、最新のコネクテッド機能を完備しており、「Apple CarPlay」と「Android Auto」に対応するほか、スマートフォンのワイヤレス充電機能も備える。

車両本体価格は3418万円で、欧州での価格24万ユーロを考えるとかなりのバーゲンプライスだが、その顧客リストにはすでに当然のことながら長蛇の列ができている。「まずは認定中古車のローマを」というのがフェラーリ・ジャパンの推奨する現実的な選択肢のようだ。

PHOTO/GENROQ

SPECIFICATIONS

フェラーリ アマルフィ

ボディサイズ:全長4660×全幅1974×全高1301mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1470kg(Dry)
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3855cc
最高出力:640PS/7500rpm
最大トルク:760Nm/3000〜5750rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:RWD
タイヤサイズ:245/35R20(前) 285/35R20(後)
最高速度:320km/h
0-100km/h:3.3秒
0-200km/h:9.0秒
100-0km/h:30.8m
200-0km/h:119.5m
燃料タンク:80L
車両本体価格:3418万円

Ferrari Amalfi × Ferrari Roma

大幅進化したフェラーリのフロントV8の2+2スポーツ「アマルフィ」と「ローマ」の違いはどこにあるかスペックを眺める

2025年7月、フェラーリは新型GTカー「アマルフィ」をワールドプレミアした。エクステリアや内装がブラッシュアップされたアマルフィと、先代モデル「ローマ」とスペックを比較し、その違いを確認してみよう。