

今回のお話はエンジンオイルじゃありません。スクーターギヤオイルです。交換したこともなければ、その存在すら知らなかったという人もいるかもしれません。そんな忘れられがちな存在のメンテナンス項目に着手します。
クランクケースとリヤホイールの間にファイナルギヤが格納されています。このギヤはギヤオイルに浸されています。
ギヤオイルの主な役割
潤滑と摩耗防止:ギヤオイルは、ギヤの歯面同士の摩擦を減らし、金属同士の直接接触を防ぐことで、摩耗や焼き付きのリスクを軽減します。
冷却効果:ファイナルギヤが格納されているギヤボックスは密閉されており、冷却装置がないため、オイルがギヤやベアリングから発生する熱を吸収し、冷却する役割を持ちます。
交換目安は約1万kmごと(ヤマハの場合)と言われていますが、メンテナンス項目とあまり認知されていないのが実情だったりします。
ただし、放置しすぎるとトラブルの原因にもなるのでご注意を。まれにオイルが減っているのに気づかず、ギヤの焼き付きや破損ということも起こりうるので、楽観しすぎるのは禁物です。
今回はこのギヤオイルの交換作業をするために、埼玉県越谷市のバイクショップ、エムファクトリーさんにお伺いしました。
ギアオイルの抜き方、入れ方

アプリオのギアオイルの規定量は100cc、クランクケースに刻印されているので安心です。リヤショック付け部分のクランクケースにギヤオイルのフィラーキャップがある。ドレーンはケースの下部。

クランクケース下に受け皿を置き、ドレーンボルトを緩めてドレーンを抜く。

アプリオから抜き取ったオイルは適正量と同程度で、漏れなどのトラブルはなさそう。鉄粉も見当たらず、状態は良ささそうです。

ドレンボルトを取り付けたら、今度はオイルフィラー口から新しいギアオイルを注入。フィラーキャップを締めて、交換作業は完了。特別な工具も必要なく、簡単ですね!
バイオアーマーを添加してみた


ファイナルギヤの保護とフリクションの低減を狙い、ギアオイルに「バイオアーマー・オイル添加剤」を添加することに。目安の量はオイル全体に対して10%。なので、ギアオイルを10cc抜き取り、バイオアーマーを10cc注入した。
ギヤのフリクションが減るということは、リヤタイヤの周りが良くなり、ギヤ周りの音が小さくなるといった変化が現れるということ。程度が良いとは言えないアプリオではあるが、タイヤを手で回した際に抵抗が少し減ったように感じられた。
>商品紹介&キャプション

バイオアーマー・オイル添加剤
エムファクトリーが手がけた金属保護効果のある添加剤。今後ストックホルム条約の規制対象(残留性有機汚染物質に関する規制)となる成分を規制対象とならない植物由来成分に置き換えた環境性能にも優れた製品。優れた金属保護性能と極圧性能を発揮し、バイク、自動車のエンジンオイル(※)、ギアオイルに添加可能。
※湿式クラッチまたは湿式スタータークラッチを採用している車両には使用不可
ダイナモで馬力を計測

エムファクトリーはエンジンシャーシダイナモ「ダイノスター」の輸入販売元としても知られている。せっかくなので添加剤注入のBefore、Afterで後輪出力を計測してみました。

青が添加剤使用前、赤が使用後。最高出力こそ7.5馬力とかわらずだが、55km/hを超えたあたりでフリクション低減効果が表れているようです。