モダンクラシックでありながらパフォーマンスを追求したモデルがトライアンフ スピードツイン1200RSだ。強烈な低中速トルクを発揮するエンジンとスポーティなハンドリングでライダーを魅了する1台である。
トライアンフ・スピードツイン1200RS……2,269,000円

トライアンフ スピードツイン1200RSは、トライアンフのモダンクラシックカテゴリーに属するバイクだ。ベースとなっているスピードツイン1200は2025年モデルで大幅に改良が加えられて完成度を高めた。1200スピードツインRSは、そのスポーティバージョンに相当するモデルである。

フロンフォークはマルゾッキの倒立。リアサスはオーリンズのピギーバックでどちらもフルアジャスタブル。フロントキャリパーはブレンボのStylema M4.30を採用しており、クイックシフターを装備。タイヤはハイグリップなメッツラー・レーステックRR K3を履く。

モダンクラシックモデルは、ノンビリと走ることを想定したマシンが多いのだが、スピードツイン1200RSはバリバリのスポーティモデル。そのギャップがこのマシンの個性であり、魅力なのである。




驚愕の中速トルク

走ってみて驚いたのはエンジンの力強さだ。何しろ112Nmというトルクをわずか4250rpmで発生する中速重視の特性。マルチと違って回転が上がるまで待っている必要はない。普通に走っている状態からスロットルを開けるだけでほぼ最大トルクに近い状態でぶっ飛んでいく。レブリミットの7000rpmまではアッという間。ストリートを走っているときは、スロットル操作だけで自由自在に加速するような感じだ。それでいて過敏さがないのは大きなフライホイールマスのおかげだろう。
1200ccのビックツインとは思えないくらいスムーズで振動がないのもこのエンジンの素晴らしいところ。3000rpmまでは270度クランクの鼓動を感じるけれど、そこから上では驚くほどに滑らか。ツインの鼓動感を期待していた人は肩透かしを食らう。振動で不利なビッグツインをよくここまで対策したものだと思う。
モードセレクターをスポーツにしてみると中速のレスポンスが更に向上して暴力的なまでの加速をするようになる。ただ、スロットル開けはじめのレスポンスは穏やかに調教されているから扱いやすい。このマシンには数日間乗っていたが、結局ずっとスポーツモードを使っていたくらいだ。

ハンドリングは基本的に素直だけれど、19インチフロントホイールのモダンクラシックのようにバイク任せで穏やかに旋回していくような性格ではない。ちょっとペースを上げてコーナーを攻めようとしたら、ライダーがステアリングを操作して舵角を自ら決めていくような乗り方が求められる。ただし、その度合が激しすぎないのがこのマシンの良いところ。過激なスポーツネイキッドとモダンクラッシックの中間的な性格だ。

これはハンドリングだけでなく、サスペンション、ブレーキ、エンジンの特性全てにおいて言えること。穏やかさとスポーティさのバランスがとっても良い感じにまとまっている。初心者でも乗りやすいと感じるはずだし、ベテランライダーが攻め込めばそれなりに応えてくれることだろう。サーキットでタイムを追求するのならともかく、ワインディングを楽しむのならこれくらいの性格が良いと個人的には思う。
全体的にとても気に入ったバイクなのだが、馴染めなかったのがアイドリングからスロットル開けはじめのレスポンスがかなりマイルドになっていることとスタート時のアシスト機能だった。スピードツイン1200RSにはスタートアシスト機能がついていて、アイドリングでギアを入れてクラッチを少し離すと回転が1500rpmくらいまで自動的に上がる。スロットル操作をしなくてもクラッチ操作だけで発進できてしまうので、のんびり走っている時であればとてもイージーで坂道発進も簡単。スロットルに触れずシフトアップしていっても3速くらいまでならギクシャクせずに走ってしまう。ライダーをサポートするありがたい機構である。
ただ自分で積極的な操作しようとした場合は話が別だ。クラッチを離すと勝手に回転が上がってくるのに、アクセル開度1/8位くらいまではエンジンの反応が極端にマイルドなセッティングされているので、少し開けただけだと思うようにスロットルについてこず、そこから開けていくと急に回転が上がってしまう。だから回転が低めの状態で勢い良く飛び出そうとするとクラッチとスロットルを同調させることがなかなかできない。
このあたりはライダーの乗り方によって感じ方がずいぶん違うはずで、とても便利だと感じる人もいることだろう。だがテスターの場合はかなり違和感がある。できることであればスポーツモードにしたときはスタートアシスト機能をオフ、低回転でスロットルレスポンスももう少しダイレクトにしてくれたらと思う。
ポジション&足つき(身長178cm 体重75kg)

シートの前側がすごく細くなっているので、若干後ろに座った方が乗り心地は良いのだが、シートが前傾しているために走っていると着座位置が前のほうにずれてきてしまう。ポジションは軽い前傾でステップやハンドルの感じはとても自然。ツーリングからスポーツライディングまでこなせる。
ステップまわりではヒールプロテクターが外側に張り出している。土踏まずでステップワークをするライダーには気にならないだろうが、テスターはスポーツライディングする時、つま先でステップワークをするのでこの張り出している部分が気になった。

車体は1200 ccもあるバイクとは思えないくらいコンパクトでスリム。加えてシートの前側が細いので、前の方に座ると足つき性は良くなる。


ディテール解説














主要諸元
| Feature | Details |
|---|---|
| タイプ | 水冷SOHC並列2気筒 8バルブ270°クランク |
| 排気量 | 1200 cc |
| ボア | 97.6 mm |
| ストローク | 80 mm |
| 圧縮比 | 12.1:1 |
| 最高出力 | 105 PS / (77 kW) @ 7,750 rpm |
| 最大トルク | 112 Nm @ 4250 rpm |
| システム | マルチポイントインジェクション、電子制御スロットル。ライディングモード2種類。 |
| エグゾーストシステム | ブラッシュドステンレススチール2イン2エキゾーストシステム、ツインサイレンサー |
| 駆動方式 | Xリングチェーン |
| クラッチ | ウエット・マルチプレートアシストクラッチ |
| トランスミッション | 6速 |
| Feature | Details |
|---|---|
| フレーム | 鋼管、スチール製クレードル |
| スイングアーム | アルミニウム製両持ちタイプ |
| フロントホイール | 鋳造アルミ合金、17 x 3.5インチ |
| リアホイール | 鋳造アルミ合金、17 x 5.0インチ |
| フロントタイヤ | 120/70 R17 |
| リアタイヤ | 160/60 R17 |
| フロントサスペンション | Marzocchi製43mm径フォーク、トラベル量120 mm |
| リアサスペンション | ツイン オーリンズ製RSU、別体リザーバー、プリロード調整可能、コンプレッション&リバウンドダンピング. ホイールトラベル123mm |
| フロントブレーキ | 320mm経フローティングディスク、ブレンボ スタイルマ M4.30 ラジアル キャリパー、OCABS |
| リアブレーキ | 220mm径シングルディスク、Nissin製2ピストンフローティングキャリパー、OCABS |
| インストルメントディスプレイとファンクション | LCDマルチファンクションメーター、一体型TFTカラースクリーン |
| Feature | Details |
|---|---|
| ハンドルを含む横幅 | 792 mm |
| 全高(ミラーを含まない) | 1127 mm |
| シート高 | 810 mm |
| ホイールベース | 1414 mm |
| キャスターアングル | 22.6 º |
| トレール | 92 mm |
| 燃料タンク容量 | 14,5 L |
| 車体重量 | 216 kg |
| Feature | Details |
|---|---|
| CO2排出量 | ユーロ5+ CO2排出量と燃費は168/2013/ECに基づく計測値です。燃費の数値は特定のテスト条件から導き出されたものであり、比較のみを目的としています。実際の走行ではこの値にならない場合があります。 |
| Feature | Details |
|---|---|
| サービス間隔 | 16,000キロ点検/12ヶ月点検 |
| Feature | Details |
|---|---|
| オプティマイズド コーナリング ABS、オプティマイズド コーナリング トラクション コントロール | |
| DRL付きLEDヘッドライト | |
| ライディングモード3種類(ROAD、RAIN、SPORT) | |
| Sports suede seat with stitch detail |
| Feature | Details |
|---|---|
| ローハンドルバーキット | |
| グリップヒーター | |
| クルーズコントロールキット(DRL) | |
| TPMS(タイヤ空気圧モニタリングシステム) | |
| MY TRIUMPHコネクティビティモジュール | |
| LEDスクロールウインカー | |
| TRIUMPH PROTECT (日本国内導入なし) | |
| TRIUMPH TRACK (日本国内導入なし) |