CAOFEN・F80STREET……67万8000円

 

二輪でも電動のメリットを活かしたモデルが登場してきている。今回紹介するCAOFEN F80は原付二種登録のオフロードバイク。気軽にオフロードを楽しむことができるモデルとして世界各国で人気になっている。

人気の電動オフローダーが日本上陸

CAOFEN  F80は中国重慶にあるChongqing Huanghe Groupが作っている電動オフロードバイクだ。アメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アジア圏で販売されると同時に人気となり、最初の1年間で15000台の販売を記録している。

今回試乗したのは原付二種登録できるストリート仕様(競技専用仕様のモデルもある)。
実走行距離の目安は70〜100kmということなので通勤通学や近所への買い物など、日常での使用に十分な航続距離を確保している。

遠隔地のオフロードを走る場合はトランスポーターに搭載していくことになるかもしれないが、スリムで軽量だから積み降ろしも簡単だ。

公表されているデータによれば最高速度は85km/h。後輪トルクは250Nm。登坂能力は40度となっている。車重は78kgと軽量だ。

この軽さとスリムな車体、電動のスムースなパワーデリバリー、そしてクラッチやミッションの操作を必要としない気軽さがCAOFEN  F80の魅力だ。

軽さと電動の気軽さが光る

車体は非常にスリムで軽量。バイクというよりも電動アシストのマウンテンバイクを少し大きくしたような感覚である。スタートするにはまず本体のバッテリースイッチを作動音がするまで押し続ける必要がある。その後にリモコンキーをオンにするとメーターが点灯する。この状態でN/DボタンでDを選択すれば走行が可能になる。

パワーモードは三種類あるが、ストリートを走るのであれば最もパワーの出るモード3で問題ない。モード1やモード2は電池の消費をおさえたいときやオフロードで極端に滑りやすい場所を走る場合、あるいは初めてオフロード走行に挑戦するときなどに使用するくらいだろう。

モーターによる発進加速は非常に力強い。ストリートをキビキビ走ることができる。発進加速は同クラスのエンジン車よりも明らかに力強いのだが、車速が20km/hくらいに到達するとパワーが体感で80%くらいまで低下するので、スピードが乗ってからの追い越し加速などではエンジン車の方が勝っている印象だ。低速のときだけ強いトルクが出る設定になっているのだろう。

回生ブレーキはスイッチで切り替えができ、作動させると減速力が強くなることが分かる。ただし、回生ブレーキを強くしておくと(オフ、弱、強の切り替えが可能)ジェネレーターから作動音が聞こえて微振動を感じる。

タイヤが細くて。車体が軽いからハンドリングは軽快で動きも俊敏。ストリートを気持ちよく走ることができる。ブレーキは特にタッチや制動力が優れているわけではないが、この車体と能力性能に対しては十分なストッピングパワーを備えている。

オフロードの自由自在感

軽くて操作が簡単だからオフロードは非常に楽しかった。しかも速度域が低くなるから、モーターの一番美味しいところを使って走ることができる。スロットルを全閉から開けていくと8分の1開度くらいまでの反応が鈍く、そこから急にトルクが出てくるので、走る場所によってはリアブレーキを併用する必要がある。このときに気を付けておかなければならないのは羽のマークをオンにしておくこと。オフにしたままだとリアブレーキ握った状態でパワーがかからないからである。

サスペンションの動きは特に上質というわけではないけれど、この車体の軽さと電動の扱いやすさがすべてをカバーしてくれる感じだ。これならオフロードビキナーでも臆することなく走り出すことができるだろうし、ベテランならこの軽さと特性を活かして新しいライディングにもトライすることができる。ハードな酷道などでは無敵の走破性を見せてくれることだろう。

半日試乗してみてとてもおもしろい乗り物だと思った。手軽さも手伝って、オモチャ的な雰囲気がプンプンする。これまでの二輪とは違ったライフスタイルが広がりそうだ。

昔、海外のエンジニアのを取材した時に「モトクロスバイクとMTBが融合した乗り物が登場してくるだろう」という話を聞いたが、彼の脳裏にはCAOFEN  F80のような二輪車が浮かんでいたのかもしれない。このカテゴリーは少しずつマシンが増えてきているから、今後の盛り上がりが楽しみなところである。

ポジション&足つき(身長178cm 体重76kg)

テスターの体重だと跨ったときに前後サスペンションの沈みこみが多め。車体はスリムだからオフロードなどでマシンをコントロールしやすい。リアブレーキは左レバーなので両足をついた状態でリアブレーキのコントロールができるのもありがたいところ。

足つきは非常に良い。車体が軽いこともあって小柄な人やビキナーがオフロードを楽しむ場合も不安は大幅に低減されるはずだ。

ディテール解説

フロントタイヤは225-19のオフロードタイヤ。フロントフォークのストロークは200mm。前後連動ブレーキを採用。
最大8kWのモーター。後輪トルク260Nmで最高速85km/h。軽量かつ高剛性なフレームはマグナリウム(マグネシウム5%、アルミニウム95%の合金)をギガプレスで整形したモノコック構造。
リアショックはモノサス。別体タンク付きで減衰力とプリロード調整ができる。

 

ブラックレザーに赤のストライプが入ったシート。前後に長くフラットなので体重移動がしやすい。
72V60Ahリチウムバッテリーは温度管理システムで安定した作動を確保している。

 

一体成型されたスイングアーム。リアタイヤは275-18。
オフロードで滑りにくいステップ。シフトペダルは存在しない。
左スイッチボックスにはライトのアップダウン、ウインカー、ホーンボタンを装備。
右スイッチボックスに配置されているのは上から回生ブレーキ、ニュートラルとドライブの切り替え、パワーモードのセレクター。
左側のフロントフォークはノブを回すことでプリロードの変更が可能。
右のフォークにある赤いノブはリバウンドのダンピング調整。

 

デュアル式のライトは十分な光量が確保されていて夜間の走行も安心。
マシンのコントロールがしやすい幅広のハンドル。メーターにはバッテリー残量、速度、トリップ、各種モード、警告灯が表示される。
車体左側にバッテリーの充電ソケットが配置されている。
専用充電器は家庭用コンセントに接続し、約3時間で満充電にすることができる。

主要諸元