ホンダ・ゴールドウィング50th ANNIVERSARY……3,850,000

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1975年に誕生した初代ゴールドウイングGL1000は、快適なクルージング性能と高いスポーツ性を両立した意欲作だった。その後は本格的ツーリングモデルへと変化を遂げ、世界中で多くのファンを獲得するまでになっている。
今回は発売から50年を迎えたゴールドウイング50th アニバーサリーをあらためて試乗し、その魅力を説明していくことにしよう。

最新の装備を搭載したフラッグシップ

ゴールドウィングは、ホンダの最新技術を詰め込んだフラッグシップモデルである。ライダーだけではなくパッセンジャーの快適性も考慮されていて、高いスポーツ性も兼ね備えている。

フラッグシップらしく常に先進の装備が奢られ、1988年からは水平対向6気筒エンジンを採用。2007年には量産車世界初となる二輪用エアバッグを搭載したことで話題となった。

フロントフォークは二輪初となるダブルウィッシュボーン。トランスミッションは7速DCTが採用されている。

今回紹介するゴールドウイング・ツアー50th アニバーサリーは特別仕様のカラーリングとなるボルドーレッドメタリックにペイント。サドルバッグロゴをゴールドとし、スマートキーには50周年記念のロゴマークがあしらわれている。

重さを感じないバランス

ゴールドウイングは1800ccというホンダの量産車最大排気量のエンジンを搭載している。大型のカウルとパニアケースとフル装備だから、こういうバイクに不慣れなライダーが初めて乗るときは緊張するかもしれない。
しかし、跨って車体を起こすと拍子抜けするくらいに軽く感じる。低い位置に搭載された水平6気筒エンジンなどによって低重心化を実現しているからだ。エンジンを中心に色々なパーツが軽量コンパクト化されたことで理想的なバランスを追求することが出来ているのである。

6気筒のエンジンはジェントルかつスムーズ。4気筒とは別次元の滑らかさだ。走り出してみると太い低速トルクで大きな車体を苦も無く押し出していく。クルージングしているときはシルキーなフィーリングでほとんど振動を感じないが、スロットルを大きく開けると水平対向6気筒独特の迫力ある排気量と共に鋭く加速していく。ペースを上げて走るときは、とてもスポーティーな雰囲気になる。

最初に走りだしたときはパワーモードをツアーにしていたが、スロットルを開けたときのツキが意外にダイレクトだった。初めて乗るとちょっと尖すぎるかな、というような感じもしたのだが、これがゴールドウイングの性格を表しているのだと思う。

ビックバイクを自在にコントロールしようとしたらスロットルワークが重要になる。バンクさせて「ここぞ」と思うタイミングでパワーをかけて車体を安定させる必要があるからだ。ツアーモードの特性は、大きな車体をキビキビ走らせることも考えたものなのだろう。

スポーツモードにすると更に元気。ワインディングなどでスポーティーに走らせたいときはスポーツモード一択だ。6気筒エンジンのエグゾーストノートを聞きながら走らせていると、まるでスポーツバイクを走らせているような感じだ。大型クルーザーはノンビリ走るだけの乗り物だと考えている人が乗ったら衝撃を受けるのではないかと思うくらいに楽しく走ることができる。

エコモードにするとスロットを開けたときのツキはかなりマイルドになるのことに加え、サスペンションの減衰もソフトになるため渋滞路などゴーストップが多いシチュエーションではエコモードを中心に使用した。レインモードはかなりおとなしめ。モードによって性格がずいぶん変化するし走行中でも簡単にモードを変えることができるので、走行しながらシチュエーションによって細かくモードを選択するのがゴールドウイングを上手に操るポイントになるだろう。

7速のDCTは緻密な制御が行われていて作動はスムーズ。変速のショックもほとんど感じない。パワーモードによってDCT変速のタイミングも変化し、キックダウンのタイミングを含め、ほぼ文句のつけようがないレベルで絶妙な回転数をキープする。オートマチックモードで走っているとき、必要ならマニュアルのボタンでシフトアップダウンできるが、1日乗っていてマニュアルのボタンには一度も触れることがなかった。エンジンブレーキの利きもモードによって変化するということだが、パワーの変化に比べてエンジンブレーキの変化は少ない。個人的にはエコモードのときにもう少しエンジンブレーキの利きが弱いほうがゆったり走れるのではないかと思う。

高速道路を100km/hで巡航した場合、トップギアの回転数は2000rpmだから振動は皆無。追い越しではスロットルを開けるだけで素晴らしい加速を楽しませてくれる。スクリーンの効果も高く、巡航していても風はほとんど当たらない。一昔前のクルーザーは、スクリーンを高くすると負圧が発生して状態が後ろから押されるような状態になったが、ゴールドウイングではそんなこともない。大型のカウルは風を遮るだけでなく、心地良い走行風がライダーに当たることまで考えられている。

ダブルウィッシュボーンの乗り心地は素晴らしく、シートの座り心地も良いので1日走り回って疲れは皆無。バイクでこんなに快適に走ったのは初めてだった。

自由自在のハンドリング

たぶんゴールドウインを良く知らない人にとっては意外に感じられるかもしれないが、このマシンのコーナーリング性能は秀逸だ。倒し込みは軽快で、一度バンク角が決まれば車体がビタッと安定して旋回していく。キッカケさえ作ってやれば、あとはバイク任せでコーナーをクリアしていくような感じだ。スポーツバイクのクイックさとは違うが、まったく別な楽しさがある。

低速コーナーでも重さは感じず、キビキビと走ることができるのだが、タイトコーナーでクイックに切り返すときだけは重さを感じる。そんな場所を走るときは力任せに強引に振り回そうとするのではなく、スロットルとステアリングの操作でキッカケをつくってやることが重要だろう。

DCTはクラッチレバーがないのでUターンがやりにくいのではないかと考えている人もいるかと思う。しかしゴールドウイングはUターンも非常にやりやすい。アクセルを一定開度開けておき、リアブレーキを断続的に踏んでバンク角をコントロールするようにすれば、ハンドルをフルロックさせた状態でのUターンも簡単だ。撮影では何度もUターンをすることになるが、一度も難儀したことはなかった。ただし曲がりきれなかった時にバンクした状態でフロントブレーキを強く使うと傾いている車体を支えきれなくなる可能性があるので、もしも曲がりきれないと感じたら早めに車体を起こし、直立させてから停止することが肝心。あとはリバースギアを使って切り返せばいい。

渋滞していて超低速で走行しているときもどっしりと安定している。この安定感は独特。車体が過敏に反応しないから細かく操作しようとせず、ある程度バイクに任せて必要な時に少しだけステアリングを操作する。超低速走行では早いタイミングで少しだけ操舵するのがポイントなのだが、車体が大きなゴールドウイングではこの点が更に重要になるのである。

正直なことをいえば、テスターはツアラーがあまり好きではなかった。ツーリングに特化したモデルだとバイクライフが狭められてしまいそうな気がしていたからである。しかしゴールドウイングはツーリングに必要な性能だけでなく、高いスポーツ性を持ち、日常での使い勝手も悪くない。一台だけ所有するのであれば、この選択肢はありかもしれないと思ったのである。

ポジション&足つき(身長178cm 体重75kg)

ポジションはリラックスした姿勢で足の曲がりもきつくない。シートの座り心地も文句なし。1日走り続けても辛くならない。

シート高は745mm。両足をついた状態でかなり膝が曲がる。重心が低いのでバイクを支えたり取り回したりするのも予想外にやりやすい。乗り降りのとき、シートの後端の盛り上がっている部分などをブーツで擦りそうになることには注意が必要。

ディテール解説

フロントタイヤサイズは130/70R18。ブレーキは対抗ピストンキャリパーをラジアルマウントしたダブルディスク。
Gold Wing Tourのミッションは7速DCTのみの設定。リバースモードを備えている。
エンジンは水冷OHC水平対向6気筒。バルブ駆動をユニカムトレインにするなどして従来モデルから大幅に小型軽量化されている。
強い存在感を漂わせるリアビュー。テールランプは多眼LED。
フレームは高強度軽量なアルミツインスパータイプ。
左のハンドルスイッチボックスにマルチファンクションスイッチを配置。ボタンの数は多いが、それぞれわかりやすい位置にあるので迷うことなく操作することができる
右スイッチボックスにはキルスイッチ、スターターに加えてDCTのモード切替とクルーズコントロール。
センターコンソールの操作系。様々な機能を直感的に操作することができる。
スピードとタコはアナログ表示。中央にある7インチTFT液晶画面にはオーディオの情報、トルクコントロール、プリロードのセッティングなど様々な情報が表示される。
Wifiに接続してiPhone内の電話帳や音楽、アプリケーションを利用できるApple CarPlayを搭載。Bluetoothでヘッドセットを接続すれば電話やパッセンジャーとの会話も行うことができる。
ライダーとパッセンジャーが独立したスペースでいられるようにシートは広々としている。
トランクの容量は61リットル。左右のサイドボックス合わせて121リットルの容量があり、2人で3泊四日のツーリングに行く荷物を収納することをイメージして設計されている。ソロキャンプの荷物だけならトランクにすべて収まってしまう。
トランクやサイドボックスはスマートキーで開閉が可能。トランクは非常に利便性が高く、フルフェイスのヘルメット2個を収納することが可能。
サイドバックの容量は片側30リットル。ダンパーが使用されているので開閉も滑らかだ。
パッセンジャーのシートヒーターはパッセンジャーが行うことができる。
音響にこだわったオーディオシステムを搭載。リアスピーカーやパッセンジャーオーティオスイッチなどのオプションを使用すれば、パッセンジャーもライダーと同様にオーディオの音楽を楽しむことができる。
ゴールドウイングは伝統的にライダーだけでなくパッセンジャーの快適性も考慮されてきた。柔らかなシートと快適な乗車姿勢で長距離のツーリングでも疲れは少ない。
高い空力性能を発揮するカウル。敢えて走行風を導入することによって心地よい風を感じるように作られている。電動ウインドスクリーンを装備。
下側にハイビーム。上側にはハイとローを兼ねたシグネチャーランプを配置。ロービーには左右それぞれ5個の光学レンズを使用したジェイエルアイLEDライトが採用されている。
フロントサスペンションにはホンダ独自の二輪用ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用。素晴らしい乗り心地と軽快なハンドリングを両立させている。

主要諸元

車名・型式 ホンダ・8BL-SC79
全長(mm) 2,615
全幅(mm) 905
全高(mm) 1,430(スクリーン最上位置1,555)
軸距(mm) 1,695
最低地上高(mm) 130
シート高(mm) 745
車両重量(kg) 391
乗車定員(人) 2
燃料消費率*1
(km/L)
国土交通省届出値:
定地燃費値*2
(km/h)
27.0 (60)〈2名乗車時〉
WMTCモード値
(クラス)*3
14.9(クラス 3-2)〈1名乗車時〉
※アイドリングストップ機能OFF時
最小回転半径(m) 3.4
エンジン型式 SC79E
エンジン種類 水冷4ストロークOHC(ユニカム)4バルブ水平対向6気筒
総排気量(cm3 1,833
内径×行程(mm) 73.0×73.0
圧縮比 10.5
最高出力(kW[PS]/rpm) 93[126]/5,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 170[17.3]/4,500
燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式 セルフ式
点火装置形式 フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式 圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L) 21
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング式
変速機形式 電子式7段変速(DCT)
変速比 1速 2.166
2速 1.695
3速 1.304
4速 1.038
5速 0.827
6速 0.666
7速 0.521
後退 4.373
減速比(1次/2次) 1.795/0.972×2.615
キャスター角(度) 30 ゜30′
トレール量(mm) 109
タイヤ 130/70R18M/C 63H
200/55R16M/C 77H
ブレーキ形式 油圧式ダブルディスク
油圧式ディスク
懸架方式 リンク式
スイングアーム式(プロリンク、プロアーム)
フレーム形式 ダイヤモンド
  • 道路運送車両法による型式指定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)
  • 製造事業者/本田技研工業株式会社
  • *1燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。
  • *2定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
  • *3WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。WMTCモード値については、日本自動車工業会ホームページもご参照ください。
  • 本仕様は予告なく変更する場合があります。
  • Gold Wing、Honda Smart Key System、PRO-LINK、PGM-FIは本田技研工業株式会社の登録商標です。
  • この主要諸元は2025年4月現在のものです。