台湾で支持されるドラレコ「Mio」──現地で実感した“高品質”の本質とは?

バイク用ドライブレコーダーに求められるものは何か。画質、堅牢性、操作性、サイズ感、そして“録り逃さないこと”。どれかひとつでも欠ければ、本当に信頼できる道具とは言えない。

台湾を訪れてまず驚かされたのは、スクーターを中心とする圧倒的なバイク人口の多さだ。朝夕の通勤時間帯では、車道のほとんどを二輪車が占める場面すら珍しくない。そしてもうひとつ驚かされたのは、そうしたバイクのほとんどに、何らかのドライブレコーダーが装着されていたことだ。

帰宅時間帯の台北市内は、車道を埋め尽くすほど多くのバイクが走っている。

「Mio」のドライブレコーダーって知ってる?

なかでも、「Mio(ミオ)」ブランドのドライブレコーダーは高い性能で人気となっていて、国内シェアNo.1といわれるほど、台湾のライダーから絶大な信頼を得ている。

「Mio(ミオ)」は、台湾に本社を置くカーエレクトロニクス企業「マイタック(MiTAC)デジタルテクノロジー」が展開するグローバルブランドである。もともとは2000年代にポータブルカーナビゲーションを主力製品としてアジア各国に進出し、その実績と技術を背景に、2010年代からはドライブレコーダー市場に本格的に参入した。特に台湾市場においては、高性能・高品質な製品群が支持を集め、現在ではトップクラスのシェアを獲得している。近年ではアジア諸国や北米市場を中心に販売網を拡大しており、2024年秋からは日本国内でも正式に展開をスタート。グローバルブランドとしての存在感を着実に高めつつある。

Mioのバイク用ドライブレコーダーは、様々なタイプがラインナップしている。
台湾のカー用品量販店では、Mio専用コーナーが目を引く存在感を放っていた。現地ではドラレコの人気ブランドとして強い支持を得ている。

台湾では、なぜバイク用ドラレコが“当たり前”なのか?

台湾でドラレコが普及している理由として、台湾の道路は、日本よりも圧倒的に“攻めた”交通状況にある。割り込みや信号無視、無理な追い越しなどが日常茶飯事で、ちょっとした接触事故程度であれば、口頭のやりとりだけでは責任の所在が曖昧になるケースが多いという。

信号待ちの最前列はバイク用のスペースとなっていて、隙間を見つけてはどんどんバイクが割り込んでくる。

だからこそ、「映像で証明できるか」が非常に重要になる。実際、現地ライダーの多くが「事故は必ず起きるものだ。自分は悪くなくても、事故に巻き込まれたときの証拠」としてドラレコは“必須装備”となっているのだという。

なかでもMioのバイク用ドラレコ「MiVue™ M820WD」は人気機種で、そうした“録画の確実性”に対して妥協がない。前後2カメラ構成を採用し、リア側も1080pのフルHD画質で記録可能。夜間補正やWDR(ワイドダイナミックレンジ)処理によって、街灯の少ない道でもナンバーが明瞭に映る。事故の瞬間を録るだけではなく、「誰が何をしたか」がはっきりわかるクオリティが担保されている。

MiVue™ M820WDは、前後フルHD・60fps録画に対応したバイク専用ドライブレコーダー。STARVISセンサーとHDRで夜間も鮮明に記録し、IP67防水設計で悪天候にも強い。GPSやWi-Fi連携、駐車監視機能も備え、走行の安心を支える高機能モデルである。

Mioドライブレコーダーのラインナップや詳しい商品情報は、下記の公式WEBサイトを御覧いただきたい。

「Mio」が支持される理由 ──操作不要、エンジン連動、自動録画

もうひとつ、Mioが現地で高く評価されている理由に“とにかく簡単”という点がある。基本的にはエンジン連動で自動録画が始まり、停止すれば録画も終了。余計な操作は一切必要なく、電源の取り回しも付属ユニットで完結する。

「MiVue™ M820WD」は、本体(65.8×64×22.6mm)と他の製品より10%~15%コンパクトな設計なので、取り付ける場所の自由度が高い。(画像:MiTAC)

さらに、Wi-Fi連携機能を備えたモデルであれば、スマホアプリで走行映像をすぐ確認・保存できる。事故発生時や通報時に、わざわざ本体からSDカードを抜いてPCに差し込む必要はない。この「映像確認の早さ」は、警察や保険会社に提出する際の大きな武器となる。

専用アプリをインストールすれば、スマートフォンから各種機能設定や録画映像の確認が可能になる。(画像:MiTAC)

現地のライダーの話では、「事故のあと、アプリですぐ映像を見せれば、自分の非じゃないってその場で証明することができる。安心感がある」とのこと。事故現場では相手と冷静に話ができるとも限らない、正確な記録があれば理不尽な扱いを受けずに済む。

Sony製STARVISセンサーとHDR/WDRにより、夜間や明暗差の大きいシーンでも鮮明な映像を記録。録画品質は国内上位メーカーと並び、一部では凌駕するレベルにある。(画像:MiTAC)

また、バイク用ドラレコにとって、「壊れないこと」は絶対条件だ。振動、雨、熱、紫外線など、四輪車とは比較にならない過酷な環境である。Mioのバイク用モデルは、IP67相当の防水防塵性能を備えたユニット構造を採用。加えて、カメラユニットは金属製ボディを採用しており、安価な製品によくあるプラスチック製カバーのように“ひび割れ”や“熱変形”を起こしにくい。

また、取り付け自由度の高さも特筆すべき点だ。標準で複数のマウントが付属しており、ハンドル、ミラー、フェンダー下など、車種に応じて柔軟に設置できる。配線がシンプルで収まりが良く、余分なハーネスが露出しにくいのも、整備性と盗難防止の両面でメリットがある。

カメラ回転角度は最大125°~135°で、他の製品1.5~2倍と広範囲。複数の付属マウントにより、取付自由度が高い。配線もすっきりと収まり、見た目や整備性、盗難対策にも優れる設計となっている。(画像:MiTAC)

日本のライダーにも求められる“証拠力”

Mioのドライブレコーダーは、2024年秋に日本市場に参入したばかりであり、国内での展開はまだ始まったばかりの段階だ。しかし、台湾での実績を見る限り、その品質と信頼性は一級品といえる。特に、通勤・通学、配達員やツーリングライダーなど、日常的にバイクに乗るユーザーにとっては、Mioのような“録れる・壊れない・操作いらず”のドラレコは大きな安心材料になる。

Mioは自動車用のドライブレコーダーもランナップしている。こちらの「MiVue ER58」は前後3カメラを備えるデジタルミラー型タイプの最新モデル。

最近では、日本でも二輪事故の記録映像が裁判で決定的な証拠として採用されるケースが増えており、ライダー自身が身を守るためにドラレコを導入する意義は年々高まっている。

台湾の道路を走るライダーたちは、「事故は必ず起こるもの、他人事ではない」と考え、もしもの時に備えた最適な装備を選んでいる。Mioが選ばれる背景には、彼らの現実的な目線と、製品側の技術力が完璧に噛み合っているという事実があることは確かだ。

台湾探訪こぼれネタ

台湾でみつけたヤマハFZR150は、台湾ヤマハが1990年代に展開した150cc空冷Vツインエンジン搭載のスポーツモデル。デルタボックスフレームと17インチホイールを備え、高回転域の伸びやかな加速が魅力。かなりヤル気を感じるスタイリング。