125スポーツスクーター界を牽引する、ヤマハ原付二種の雄!2台のシグナスを徹底比較

ヤマハ シグナス グリファス……35万7500円(消費税10%込) 

NEWモデルのシグナス グリファス。外観は下記のシグナスXと似ているが、ホイールベースはシグナスXよりも35mmロング化するなど、車体は一回り大柄。

ヤマハ シグナスX……33万5500円(消費税10%込) 

5型となる現行のシグナスXは、2018年より発売。外観は似ているが、NEWモデルのシグナス グリファスに比べ、一回りコンパクトな車体が特徴。

 2003年に国内仕様がリリースされた、ヤマハの125ccスポーツスクーター・シグナスX。発売以来、二種スクーターのエースとして君臨してきた同モデルは、他メーカーモデルの追随を許さない、確固たる牙城を築いてきた。

 ストリートでの使用はもちろん、カスタムベースとしても人気(外装・足周り・エンジンのカスタムパーツやチューニングパーツも非常に豊富)のシグナスXは、ミニバイクレースでも大活躍。マイナーチェンジやフルモデルチェンジを繰り返して進化してきたシグナスXは、基本的に1型~5型として振り分けられるのが特徴だ。

 そして今回、6型として発展したモデルは、エンジンを空冷式から水冷式に変更されたが……。名称は、「シグナスX」から「シグナス グリファス」へとチェンジされた。

 スポーティな外観や前後12インチホイールは、1型~5型のシグナスXを踏襲したもの。しかしヤマハNMAXと同型の水冷式ブルーコアエンジン、全域でのハイパワーに貢献するVVA(可変バルブ)、新設計のアンダーボーンフレーム、新開発のワイドタイヤなどを備えたスポーティな足周りなどは、「既存のシグナスXとはまったくの別物」と言えるほど大きく進化・発展。“X”ではなく“グリファス”という別名称を与えたのは、シグナスシリーズの新たな出発点であることを伺わせる。

 もっとも驚くのが、両車の価格差。驚異的な進化を遂げつつも、価格差はわずか2万2000円。今回、シグナス グリファスがいかにバーゲンプライスでリリースされたのか? それは下記のスペックを見れば、容易に想像できるはず。なお、シグナス グリファス&シグナスXとも、生産国は台湾。ちなみに同社の125ccモデルであるNMAXはインドネシア、トリシティ125はタイで生産されている。

外観・サイズの違いをチェック

ヤマハ シグナス グリファス。生産国は台湾。
ヤマハ シグナスX。生産国は台湾。

【シグナス グリファス】
全長×全幅×全高:1,935mm×690mm×1,160mm
軸距:1,340mm
最低地上高:125mm
シート高:785mm
車両重量:125kg
フレーム:アンダーボーン
キャスター/トレール:26°30′/90mm

【シグナスX】
全長×全幅×全高:1,890mm×690mm×1,120mm
軸距:1,305mm
最低地上高:115mm
シート高:775mm
車両重量:119kg
フレーム:バックボーン
キャスター/トレール:27°00′/90mm

 前後12インチホイールを採用した両車は、外観デザインも酷似しているのが特徴。しかしシグナスXに比べ、シグナス グリファスの車体は一回り拡大されたのが大きな特徴。シグナス グリファスの全長・全高・ホイールベースは、前後13インチホイールを履く同社のNMAXと同値であり、さらにシート高はNMAXよりも20mmも高く、コンパクトスクーターというイメージからは遠ざかった印象。また、シグナス グリファスの車重は、シグナスXの119kgから125kgへと6kg増加。これも取り回しの際に、大柄さを感じさせる要因となった。

エンジンの違いをチェック

ヤマハ シグナス グリファス
ヤマハ シグナスX


【ヤマハ シグナス グリファス】
エンジン:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:52.0mm×58.7mm
圧縮比:11.2:1
最高出力:9.0kW(12PS)/8,000rpm
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量:6.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
エンジンオイル容量:1.00L
始動方式:セルフ式
燃料消費率(WMTCモード値):44.5km/L

【ヤマハ シグナスX】
エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:52.4mm×57.9mm
圧縮比:10.0:1
最高出力:7.2kW(9.8PS)/7,500rpm
最大トルク:9.9N・m(1.0kgf・m)/6,000rpm
燃料タンク容量:6.5L(無鉛レギュラーガソリン指定)
エンジンオイル容量:0.90L
始動方式:セルフ式
燃料消費率(WMTCモード値):37.3km/L

 シグナス グリファスに搭載されたグリファスブルーコア(BLUE CORE)は、シグナスXとはまったく別物の、ヤマハNMAXと同型のエンジン。グリファスブルーコアとは、走りの楽しさと燃費・環境性能を高次元で両立するエンジン設計思想のこと。シグナス グリファスに搭載の水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ124ccエンジンは、可変バルブ「VVA」を始め、始動モーターとジェネレーターを一体化したSMG(スマートモータージェネレーター)など、最新の機構を採用。

 空冷から水冷になったシグナス グリファスは、最大出力&最大トルクとも、シグナスXに比べて大幅に引き上げ。また、燃料消費率(WMTCモード値)も、37.3km/Lから44.5km/Lに伸びるなど(パワーは従来比で20%以上、燃費は約20%向上)、エンジン性能は、パワー&エコの両面において驚異的な進化を遂げている。

 シグナス グリファスのボア×ストロークは52.0mm×58.7mmとし、シグナスXよりもややロングストロークに設定。ただし圧縮比は11.2まで引き上げている。

足周りの違いをチェック

ヤマハ シグナス グリファス。前後ホイールはシグナスXと共通の12インチだが、スポークのデザインを変更。フロントディスクブレーキは右側に装着。
ヤマハ シグナスX。フロントディスクブレーキは左側に装着。

【ヤマハ シグナス グリファス】
懸架方式:前 Φ33.0mmテレスコピック 後 ユニットスイング式2本ショック
ブレーキ:前 Φ245mm油圧式シングルディスク+片押し2POTキャリパー 後 Φ230mm油圧式ディスク+1POTキャリパー
タイヤ:前120/70-12 51L(チューブレス) 後130/70-12 56L(チューブレス)

【ヤマハ シグナスX】
懸架方式:前 テレスコピック 後 ユニットスイング式2本ショック
ブレーキ:前 Φ245mm油圧式シングルディスク+片押し2POTキャリパー 後 Φ200mm油圧式ディスク+1POTキャリパー
タイヤ:前110/70-12 47L(チューブレス) 後120/70-12 51L(チューブレス)

 シグナス グリファスの前後ホイールは、アルミキャストの新作。これに新開発のDURO(デューロ)製ワイドタイヤを組み合わせ。タイヤサイズは前後とも、サイズアップしているのが特徴だ。

 前後ブレーキは両車とも、制動性に優れた油圧式ディスクを採用。両車ともフロントディスクはシングル式のΦ245mmをチョイスしているが(取付位置は左右異なる)、シグナス グリファスのリアディスクローターはΦ230mmに大径化され、制動力をアップ。なお、シグナス グリファスは生産国の台湾ではABS仕様も選べるが、国内仕様はABS仕様の設定はなく、左レバー(リアブレーキ)で前後ブレーキが連動するUBS(ユニファイドブレーキシステム ※注1)が標準装備されている。

※注1:UBS(ユニファイドブレーキシステム)=左レバーの操作で前後ブレーキが連動するUSBは、左レバー(リアブレーキ)を操作すると、フロントブレーキにも程よく制動力を分配する前後連動ブレーキシステム。

ヘッドライト周りの違い

シグナス グリファスのフロント周り。LEDヘッドライトは250ccのXMAXを彷彿させる、逆スラントの2灯式。ロービームで右側が点灯、ハイビームで両側が点灯するシステム。フロントウインカーはシグナスXの1型から5型までハンドルマウント装着式だったが、シグナス グリファスはフロントマスクに移動。
シグナスXのフロント周り(5型)。ヘッドランプは3灯のLED式。左右のロービームと中央のハイビームは、それぞれに独立した反射鏡を採用。フロントウインカーは1型から5型までボディ装着式ではなく、ハンドルマウント装着式を採用。

テール周りの違い

シグナス グリファスのテール周り。テールランプはLEDの面発光で、ブレーキを握ると中央のLEDストップランプが点灯。前後のウインカーとナンバー灯はフィラメント球を採用。
シグナスXのテール周り。細くワイドに光るLED式のテールランプが特徴。センターに集約されたLEDストップランプを装備し、先進的かつアグレッシブな印象にアレンジ。

メーターの違い

シグナス グリファスのメーター。フルデジタルの液晶マルチファンクションメーターパネルは、シグナスXのものからデザインを一新し、左上にVVAのアイコンを追加。
シグナスXのメーター。フルデジタルで様々な情報を見やすく表示する、液晶マルチファンクションメーターパネルを装備。シャープなダイヤモンドカットデザインと、ブルーのバックライトによって先進的で高品質なイメージ。

シート下トランクを比較

シグナス グリファスのシート下トランクの容量は約28Lで、シグナスXの約29Lから1L微減。とはいえNMAXの約23Lよりも大きく、ヘルメット1個が余裕で収納可能。
シグナスXのシート下トランクは、ヘルメットを収納してもさらにゆとりがある容量約29Lを確保。

キーシリンダー周りを比較

シグナス グリファスのフロントの右側には、500mlのペットボトルが収納できるポケットやキーシャッター、コンビニフックを採用し、各レイアウトはシグナスXと変更なし。12VのDCジャックは時代のニーズに合わせ、USBソケットへと進化。
シグナスXはスマートフォンなどの充電に便利な、12VのDCジャックをフロントポケット上部に装備。USBアダプターを使えばスマホの充電も可能。膝前のインナーポケットには500mlのペットボトルが2本収納OK。キーシリンダーにはシャッター機能を装備。

足着き性を比較

シグナス グリファスのシート高は785mm。両足の踵は地面まで届くが、股が開いて膝も少し曲がるので、僅かながら踵が浮いた感覚となる。高さも扱いやすさも標準的。着座位置によって足つき性が左右される。●ライダーは身長168cm/体重52kg
シグナスXのシート高は775mm。両足はべったりと地面を捉えることができるが、車体が太めなので足は少々遠い所に着くことになる。●ライダーは身長168cm/体重52kg
発売ホヤホヤのシグナスグリファス、インプレ速報|「ウエット路面も安心でした」

前後12インチホイールのスポーティな原付二種スクーター、ヤマハのシグナスXがフルモデルチェンジし、車名を“シグナス グリファス”に一新して本日12月23日に発売! シリーズ初となる水冷エンジンを搭載し、最高出力は空冷だった前作の9.8psから12psへと大幅にアップした。まずは試乗速報をお届けしよう。 REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 取材協力●ヤマハ発動機販売

https://motor-fan.jp/bikes/article/20730/
シグナスX→グリファスで何が変わった ? 話題の新型125ccスクーターに乗った。|ヤマハ

ヤマハ最新の原付二種スクーター、シグナス グリファスは2021年5月に本誌が1番乗りでレポート済み。既報の試乗記は台湾仕様の平行輸入車だったが、今回は2021年12月23日に新発売された正規国内仕様に試乗した。 REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 取材協力●ヤマハ発動機株式会社

https://motor-fan.jp/bikes/article/21346/
水冷エンジンに進化したシグナス グリファス|さて、日常での使い勝手は?

ヤマハの新しい原付二種スクーターであるシグナス グリファス。発売当日にアップした試乗速報に続き、車両の詳細についてお届けしよう。大人気の125ccクラスにNMAXをはじめトリシティ125、アクシスZ、そして旧モデルのシグナスXを合わせて5機種ものスクーターをラインナップするヤマハ。果たしてシグナス グリファスの立ち位置とは? REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi) PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke) 取材協力●ヤマハ発動機販売

https://motor-fan.jp/bikes/article/22705/
”普通に良い”は褒め言葉。シグナスXは車体も装備も街に◎! しかもエンジンの素性もイイッ!【ヤマハ125ccスクーター試乗レポート 】|Motor-Fan Bikes[モータファンバイクス]

ヤマハのスクーターは原付二種だけで何と6機種ものバリエーションを持つ。3輪のトリシティを除外すると、226,800円のアクシスストリートから、351,000円のNMAXまで。その価格帯の中でシグナスXは中の上に位置する存在。コンパクトで廉価なアクシス系と比べると、いかにも125ccモデルらしい標準的サイズ感と不足の無い仕上がりを誇っている。REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

https://car.motor-fan.jp/article/10007073