ヤマハ・X FORCE……407,000

使い勝手の良いコンパクトボディ

Xフォースは150ccクラスに投入されたヤマハのスポーツスクーターだ。フロントマスクが個性的なイメージを作り出している。

搭載されているエンジンはヤマハお得意のBLUECORE。可変バルブ機構VVAによってあらゆる回転数で最適な吸気を可能にしている。

NMAX155と同じエンジンだがXフォースの場合は125ccクラスに匹敵するコンパクトなボディが特徴。
走りのフィーリングも若干異なっている。

125ccに匹敵するコンパクトボディによって取り回しの良さと高い動力性能を兼ね備えていることが特徴。

フラットフロアになっていて乗り降りがしやすく利便性にも優れている。

鋭い発進加速

車体が小さいものだから原付二種くらいの走りをイメージしてしまうのだが、実際に走ればその動力性能はとても高い。回転数によって吸気バルブの開閉タイミングを変化させるBLUECOREエンジンは全域でトルクフル。車体がコンパクトなこともあって発進加速がとても良い。高回転の伸びも良好で、高速走行時でも静かで振動が少ない。とても完成されているエンジンである。

スマートモータージェネレーターによって、始動時のセルモーター音も低くおさえられている。始動性が良いからスターターボタンを押した瞬間にエンジンが目覚めているようなイメージだ。

このエンジンにはトラクションコントロールシステムが装備されている。この排気量ではほとんど作動することはないだろうが、日常的に使用するスクーターだからこそ備えられた「転ばぬ先の杖」的な装備。極端に滑りやすい状況になったときは効果を発揮することになるだろう。

クイックなハンドリング

ホイールベースが短いためハンドリングは俊敏だが、タイヤ径が大きく十分な安定性も確保されているために多少ペースを上げてコーナーリングしても不安感はない。ストリートをキビキビと走ることができる性格だ。
サスペンションが硬めだと言われることがあるXフォースだが、試乗した場所の路面があまり荒れていなかったこともあって、今回の試乗では乗り心地が悪いという印象は受けなかった。

フルブレーキでABSを作動させてみると、リアブレーキに関しては短い周期でレバーが押し戻されるようなフィーリングがあったものの、マシンの姿勢が乱れるようなこともなく、急制動時の安定性は十分に確保されている。
フルブレーキングで若干フレームがしなる感覚はあるのはフラットフロアで車体中央付近の剛性に限界があるからだろう。もっとも通常の走行に関しては問題がないレベルだし、それと引き換えに乗り降りの容易さなどの利便性が高くなっているわけだ。一般ユーザーの使い方なら、Xフォースの使い勝手の良さを選ぶことだろう。

気になったのはポジションがタイトで、テスターの体格だとハンドルをフルに切ったときに膝にスロットルワイヤーが当たってしまうこと。小回りしたいときには少し気になった。

ポジション&足つき(身長178cm /体重75kg)

インプレでも書いたがポジションはタイト。ハンドル位置が手前にあり、フロアの位置も高いのでハンドルをフルに切ったときに膝にアクセルワイヤーが当たる。ただし、微妙なところなので体格や乗り方によって気になる人と気にならない人がいることだろう。

車体がコンパクトな割に足つきはあまり良くない。試乗車にはオプションのローシートが装着されていたにもかかわらずだ。片足をつくだけなら気にならないのだが、シートの前方が膨らんだ形状になっているので両足をつこうとした場合は足が開く感じになってしまう。

ディテール解説

フロントブレーキディスクはφ267mmのウェーブタイプで、片押し2ポットキャリパーの組み合わせ。前後独立したABSを装備。
水冷155cc BLUE COREエンジン。SMG(スマートモータージェネレーター)によって始動は静か。回転域に応じた最適な吸気を可能とする可変バルブシステムVVA(バリアブル・バルブ・アクチュエーション)を採用している。
リアブレーキディスクはφ230mmで片押し1ポットキャリバーを組み合わせている。
排気音は静か。厳しい排ガス規制もクリアしている。
フロントタイヤは120/70-13でチューブレス。Y字スポークのキャストホイールを使用する。
リアサスペンションはツインショックで4段階にプリロードを調整することができる。
オプションのローシート。純正のシートは一部にスウェード調のレザーを使用している。ノーマルシートを使った場合のシート高は810mm。
シート下スペース。ヘルメットは形状によっては1個収納することができる。
左スイッチボックスはライトのハイ・ロー。ウインカー、ホーンの各スイッチを装備。
右のスイッチボックスにはハザードとスターターのボタンが配置されている。
ハンドルは低めのパイプハン。
薄型でリアエンドに埋め込まれたLEDテールランプ。
個性的なデザインのフロントフォルム。ヘッドライトはロービームで右側、ハイビームで左側が点灯する。
キースイッチ横にはUSBの電源を取り出すソケットが装着されている。
メーターは5.1型液晶ディスプレイ。トラクションコントロールやVVAの作動を表示する。専用アプリをスマートフォンにインストールすれば車両情報やメンテナンスサイクルをスマホで確認が可能。また、SNSや電話着信などをメーターに表示することもできる。

主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 8BK-SG79J/G3S5E
全長/全幅/全高 1,920mm/760mm/1,120mm
シート高 815mm
軸間距離 1,340mm
最低地上高 125mm
車両重量 130kg
燃料消費率*1 国土交通省届出値
定地燃費値*2
48.1km/L(60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 *3 40.9km/L(クラス2 サブクラス2-1)1名乗車時
原動機種類 水冷, 4ストローク, SOHC, 4バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 155 cm3
内径×行程 58.0×58.7mm
圧縮比 11.6:1
最高出力 11kW(15PS)/8,000r/min
最大トルク 14N・m(1.4kgf・m)/6,500r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 1.00L
燃料タンク容量 6.1L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V,6.5Ah(10HR)/GT7B-4
1次減速比/2次減速比 1.000/10.208 (56/16 x 35/12)
クラッチ形式 乾式, 遠心, シュー
変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック
変速比 2.281~0.717:無段変速
フレーム形式 アンダーボーン
キャスター/トレール 26°30′/99mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70-13M/C 53P(チューブレス)/ 130/70-13M/C 57P(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式シングルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/ユニットスイング
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ ハロゲンバルブ(12V,55W×2)
乗車定員 2名