エンジン、車体、足まわり。見どころの多い新型125ccスクーター、スズキ アヴェニス125。107kgの軽量ボディも自慢!

2022年10月21日より国内発売されるスズキのNEWスクーター「アヴェニス125」。新型アヴェニス125 はスポーツバイクのイメージをモチーフとしたディテールを盛り込み、先進的かつシャープなデザインと軽快な走りを実現。日本を始め欧州などでも販売される、“2代目”の魅力を探ってみよう。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)

スズキ アヴェニス125……28万4900円(消費税10%を含む)

パールミラージュホワイト/マットフィブロイングレーメタリック

スズキがリリースする二輪のアヴェニスという名称は、都市の「AVENUE(アヴェニュー)=南北の通り」と、「STREET(ストリート)=東西の通り」を自在に移動できるパーソナルコミューターとして命名。

初代のアヴェニス(写真下)は1998年12月(1999年モデル)、流麗かつスポーティで個性的な外観デザインを備え、軽快で上質感のある走りを追求したスクーターとして誕生した。

1999年モデルの初代アヴェニス。大柄な車体に、超パワフルな水冷4スト単気筒SOHC 2バルブエンジンを搭載。124cc版(14馬力)と152cc版(16馬力)の2種類の排気量が用意された。正式名称は124cc版が「アヴェニス」、152cc版が「アヴェニス150」。写真は月刊モト・チャンプより(1999年3月号)。

初代のアヴェニスは全長1990mm、ホイールベース1350mm、車体重量135kgで、ゆったりと乗車できるビッグサイズの車体に、前後12インチホイールを採用。

大柄でヘビーな車体に、超パワフルな水冷4スト単気筒SOHC 2バルブエンジンを搭載し、124cc版(14馬力)と152cc版(16馬力)の2種類の排気量をスタンバイ。当時のアヴェニスはミドルスクーターながら、ブームの兆しを見せていたビッグスクーター的な性格が与えられていた。

初代とは異なるコンセプト。新型は「キビキビ」と走るスポーツスクーター

20数年の時を経て蘇った新型のアヴェニス125は、初代とは大きく異なる、全長1895mm、ホイールベース1265mm、車体重量107kgという軽量でコンパクトなフォルムに変貌。

※初代のアヴェニスは全長1990mm、ホイールベース1350mm、車体重量135kgのビッグサイズ

開発コンセプトは、「キビキビ」と走る軽快かつスポーティなスクーター。初代のスタイルを継承しつつ、優れた燃費性能とスタートから力強く加速する走行性能を両立。毎日が楽しくなる、遊び心に満ち溢れた、まったく新しいアヴェニス125に仕上げている。

軽快かつシャープでスポーティなフォルムにデザイン

テールへと跳ね上がるウェッジシェイプは、機敏な走りのイメージにデザイン。パネルを合わせたような部品構成は、面質にこだわることで上質感を演出。広いフラットなフロアボードにより、足元に窮屈さを感じることなく、自由度の高いライディングポジションを実現しているのもポイント。

軽快感を生み出すモトクロッサーのシュラウドのようなデザインは、サイドからインナーにカラーパーツが入り込むツートーンとすることで、コントラストのあるスポーティな伸びやかさを印象付けているのが特徴。また、スポーティ感を演出するグラフィックデカールも貼付。

シャープでスポーティな外装類

顎を引いて構えたような凛々しい表情を演出するボディマウントのヘッドランプは、スズキスポーツ車のアイデンティティである縦型2 灯に見えるようにデザイン。5つの独立したLED ランプは、照射面積が大きく照射範囲内の明暗が少なくなるよう効率的に配置し、全体的な明るさに貢献している。

リアはウェッジフォルムのテールと2灯式のリヤコンビネーションランプの組み合わせにより、走り去る姿を強く印象付けるリヤビューを演出。一目で分かる個性的なLED テール&ストップランプを導入し、スポーティな外観と視認性を獲得。

モトクロッサーのゼッケンをイメージしたメーターバイザーは、ハンドルカバーとは別に取り付けることで、立体的に浮き上がるのがポイント。空力性能を向上させると同時に、フロントにもスポーティな印象を与えている。

マフラーのサイレンサー部には、エッジの効いたマフラーカバーを採用。ボディとの一体感を高め、スポーティなリヤデザインを作り上げている。タンデムシート下に配置されたエンブレムは、立体感を出すために逆曲面を採用。グロスブラック塗装を採用し、存在感をアピール。

アヴェニス125は専用のECUを採用し、スポーティな走りを獲得

カムチェーンはサイレントチェーンを採用。

アヴェニス125に搭載されたSEP (SUZUKI ECO PERFORMANCE)エンジンは、平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に適合。最高出力&最大トルクとも、2022年10月18日に発売されたNEWモデル「アドレス125(27万3900円)」と同等のエンジン出力数値だが、燃料供給するインジェクション等を制御するコンピューターシステム「ECU」に、アヴェニス125専用品を導入。

セッティングは加速性能にこだわり、街中を軽快に駆け抜けるスポーティな走りを実現。リニアなスロットルレスポンスを追求し、高い燃費性能だけではなく、優れた加速力を持ったバランスの良い特性に仕上げている。

また、カムチェーンはサイレントチェーンを採用。低剛性のカムチェーンテンショナーを採用することで、カムチェーンの摺動抵抗を低減。

※SEP:燃焼効率を上げ、フリクションロスを低減することにより、パワーを落とすことなく、低燃費を実現したスズキ製エンジンの総称。

マフラーの透視図

マフラーは排気効率向上を図るために、エキゾーストパイプサイズを見直し低速トルクの発生に寄与。エキゾーストパイプ内蔵のキャタライザーを2段構造にすることで、排出ガスをスムーズに排出し、効率的な浄化を実現。

またタイヤ交換などの際、マフラーを取り外すことなくリアホイールが脱着できるようにレイアウトするなど、メンテナンス性に配慮している。

エアクリーナーの透視図
スクーターの変速の要となる駆動系の透視図

外気を吸引するエアクリーナーは、形状、エアインテークを見直し、より低い回転から発生するトルクに貢献。駆動系は力強い発進加速と優れた燃費性能の両立を実現するため、スロットルを開けた時には大きな駆動力を生み出し、実用速度域ではエンジン回転数をできるだけ低く設定。

新設計のフレーム&スポーティな足周り

フレームは新型のアドレス125用フレームをベースに、スポーティなデザインに合わせたアヴェニス125の専用設計。コンピューター解析によるシミュレーションと走行実験を重ねることで、最適なフレーム剛性を実現し、高い安定性とコーナリング性能を発揮。

フロントには高い走行安定性を発揮する12インチのホイール&タイヤを採用。フロント12インチ・リア10インチの異径ホイールは、軽量&高剛性なアルミ製。デザインは5本スポークとし、スポーティな外観にも貢献。

フロントフォークにはテレスコピックサスペンションを選択。前後サスペンションのセッティングを最適化することで、高い路面追従性を実現している。

フロントブレーキは優れた制動性を発揮する油圧式ディスクを導入。左ブレーキレバーを握ると、フロントブレーキとリヤブレーキが同時に作動し、安定した制動をサポートする「コンバインドブレーキ」も搭載。

左ブレーキレバーには、停車時に左ブレーキを掛けた状態を維持できる「リヤブレーキロックシステム」を導入。

※左ブレーキレバーを使用するとリアブレーキと一緒にフロントブレーキも作動しますが、ブレーキ操作を補助するためのシステムであり、フロントブレーキレバー(右ブレーキレバー)も同時に使用することをおすすめします。

フル液晶ディスプレイを用いた軽量な「インストルメントパネル」を採用

メーターはフル液晶ディスプレイを用いた、軽量なインストルメントパネルを採用。ハンドルカバーに浮かせたように見えるフローティング
デザインとし、軽快感を演出。スピードメーター、オイルチェンジインジケーター、燃料計、時計とオドメーター、トリップメーターなどを表示。

ディスプレイの左右には、ターンシグナルインジケーター、ハイビームインジケーター、マスタウォーニングインジケーター、エンジン警告灯を配置。さらに、燃費の良い運転をひと目で確認することができる「エコドライブインジケーター」を装備。

※エコドライブインジケーターは燃費の良い運転をしているときに点灯することで燃費の向上を補助するものであり、燃費を向上させるものではありません。
※写真は撮影用に、すべてのライトとインジケーターを点灯させたものです。

容量21.5L、最大積載許容重量3kgのシート下収納スペースを確保

シート下には収納に便利なトランクスペースを確保(容量:21.5L/最大積載許容重量:3kg)。また、ヘルメットホルダーを左右に1個ずつ装備。

※形状や大きさにより、トランクスペースに収納できないヘルメットもあります。ご購入の際は必ずご確認ください。

防犯性に優れたシャッター付キーシリンダー

鍵穴へのいたずらや盗難を抑止する、シャッター付きのキーシリンダーを装備。キーシリンダーは、シートオープンと一体になった集中ロック式を採用。また、ワンプッシュでシャッターを閉め、鍵穴をしっかりガードする新しい機構も導入済み。

USBソケット/フロントボックス/フロントインナーラック/フロントフック/ストッパー付き折り畳み式ホルダー

USBソケット/フロントボックス
フロントインナーラック
フロントフック
ストッパー付き折り畳み式ホルダー

足下には左側にふた付きのフロントインナーボックス(最大積載許容重量:0.5kg)、フロントインナーボックス内にはスマートフォンの充電などに便利なUSB ソケット(定格5V/2A)を設置。

また、右側には使いやすいオープンタイプのフロントインナーラック(最大積載許容重量:0.5kg)、センター部にはちょっとした買い物袋を掛けるのに便利なフロントフック(最大積載許容重量:1.5kg)を採用。

シート下部には折り畳み式でコンパクトに収納できるホルダーを導入。かばん等荷物の落下を抑止するストッパー付き。最大積載許容重量は1.5kg。

その他の便利な機能をチェック

広々としたフラットなフロアボードは、足元に窮屈さを感じることなく、自由度の高いライディングポジションを実現。また、ライダーが足を地面に降ろしやすいよう、左右の足元付近を絞り込んだカットフロアボードを採用することで、快適な足着き性を実現。

ツートーンカラーに赤いステッチ仕上げのアクセントが効いているシートを採用。滑りにくく安定した形状で、タンデムライダーにも十分な広さと快適な乗り心地を確保。また、アドレス125よりもポジションを前方へ移動し、スポーティな走りを実現。

シート後端部には、デザイン性と実用性を兼ね揃えたアルミ製グラブバーを標準装備。軽量化と握りやすい形状を実現するため、薄肉化したセパレートグラブバーとしている。

使用しない時は格納できる、自然な乗車姿勢に貢献するタンデムライダー用のピリオンフットレストバー(タンデムステップ)も装備済み。

給油口
インナーフェンダー付きリヤフェンダー
スタータスイッチ
サイドスタンド

燃料タンクは5.2リットルの容量を確保。給油口はシート後方に設置し、シートを開けることなく給油できる。給油キャップには、「エアプレーンタイプ」を採用。

リヤフェンダーに加え、インナーフェンダーを装備することにより、雨水等の跳ね上がりの低減に貢献。また、ワンプッシュで始動可能なスズキイージースタートシステムを採用。転倒などの非常時に、ただちにエンジンを停止できるエンジンストップスイッチも装備済み。

手軽に使える便利なサイドスタンドも標準装備。インターロック機構付なので、スタンドを格納し忘れた状態での走行を抑止してくれるのがポイントだ。

マットフィブロイングレーメタリック/ラッシュグリーンメタリック

グラススパークルブラック/マットブラックメタリックNo.2

イメージ

スズキ アヴェニス125 主要諸元

型式:8BJ-EA12J
全長 / 全幅 / 全高:1,895 mm / 710 mm /1,175 mm
軸間距離 / 最低地上高:1,265 mm / 160 mm
シート高:780 mm
装備重量:107 kg
燃料消費率:
国土交通省届出値
定地燃費値 55.9 km/L (60km/h) 2名乗車時
WMTCモード値 54.3 km/L (クラス1) 1名乗車時
最小回転半径:2.0 m
エンジン型式:AF21・強制空冷・4サイクル・単気筒
弁方式:SOHC ・ 2バルブ
総排気量:124cc
最高出力:6.4 kW 〈8.7 PS〉 / 6,750 rpm
最大トルク:10.0 N・m 〈1.0 kgf・m〉 / 5,500 rpm
燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム
始動方式:キック・セルフ併用式
潤滑油容量:0.8 L
燃料タンク容量:5.2 L
クラッチ形式:乾式自動遠心シュータイプ
変速機形式:Vベルト無段変速
フレーム形式:アンダーボーン
ブレーキ形式 (前 / 後):油圧式シングルディスク /機械式リーディング・トレーリング
タイヤサイズ (前): 90/90-12 44J
タイヤサイズ (後): 90/100-10 53J
乗車定員:2名
※平成32年(令和2年)国内排出ガス規制に対応

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