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SHOWA オンロードレース向け冷却アクスルホルダー&ツインチャンバーフロントフォーク
近年、スーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦するSHOWA製フロントフォーク装着マシンにおいて、旋回性とブレーキ温度上昇による抗力低下が課題として取り上げられている。
それらに対処するため、SHOWAではアクスルホルダー部をベンチレイテッド式(走行風による冷却式)に改良。また、フロントフォークのデザインを変更した製品の開発を推進。これにより、フロントフォーク本体の軽量化に加え、ばね下重量の軽減によるコーナリング性能の向上を目指している。
ブレーキ部は10%以上の温度低下、ホルダー部はBFF用よりも8%軽量化
現在、ワークスマシンが採用するバランスフリーフロントフォーク(BFF)は、フォークのボトム部に減衰力発生バルブや、その調整機構を備える構造のため、キャリパーに走行風が直接当たらず、ブレーキ部の冷却性を阻害しがち。
そこでSHOWAでは現在、アクスルホルダーをベンチレイテッド化するとともに、フロントフォークをBFFからツインチャンバータイプへの変更を推進中。
ベンチレイテッド式アクスルホルダーは、ブレーキ部の冷却性を向上させる作用あり。SHOWAによるテストでも、10%以上の温度低下を実現した。
同ベンチレイテッド式アクスルホルダーは、条件によって冷却過剰とならないよう、樹脂プレートなどで温度を最適化することも可能。このアクスルホルダーはBFF用に対し、8%も軽量なので、バネ下重量軽減によるコーナリング性能向上も期待できる。
バネ下重量約10%低減で、コーナリング性能アップ
ツインチャンバーフロントフォークは、すでに市販モトクロッサーやワークスモトクロッサーにも採用実績があり、今回発表されたフロントフォークは、それをオンロード向きに転用したもの。BFFは加圧構造により、減衰力応答性が高い優れた機構だが、このツインチャンバータイプも加圧ダンパー構造によって高い減衰力応答性を獲得。
さらにシリンダーや加圧機構がバネ上に配置されているため、バネ下重量が軽量になるというメリットを獲得。現在開発中のタイプも、バネ下重量を約10%、フロントフォーク全体でも2%以上の軽量化を実現した。
日立Astemoの強み=サスペンションのSHOWAと、ブレーキのNISSINをトータルで開発できること
写真のフロントフォークは2023年、全日本ロードレース選手権にて、ブレーキ等とのトータルバランスを含めた実戦テストを経て、2024年には各レースの世界選手権に投入される予定。
SHOWA製サスペンションとNISSIN製ブレーキの連携開発=足周りをトータルで開発できる環境は、日立Astemoならではの大きな強みといえよう。