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ヤマハYZF-R15M……439,000円(インド仕様)
可変バルブVVA採用の水冷シングルはシームレスにパワーが伸び上がる
インド国内のワンメイクレースでも活躍しているというYZF-R15。最新の第4世代のラインナップを整理すると、まず標準仕様「R15 V4」のブラックとレッドは38万9000円。同じくR15 V4のレーシングブルーはクイックシフターが標準装備のため42万9000円。グレーメタリックの上位仕様「R15M」は、クイックシフター以外にゴールドのキャリパーや車名ロゴの入ったタンデムシート&フォークトップキャップなどを採用し、43万9000円のプライスタグを付ける。そして、R15MのWGP 60thアニバーサリーモデルであるホワイト×レッドは45万9000円だ。
まずはエンジンから。7,400rpmを境に吸気側のカムを低中回転用と高回転用に切り替える可変バルブVVAを採用した155cc水冷シングルは、最高出力18.4psを公称。これはEUのA1ライセンスにおける125ccの上限出力、15psをほんの少し上回る程度だが、ギヤをローに入れてクラッチをつないだ瞬間から原付二種とのトルクの違いを見せつけてくる。
15psを絞り出す125ccのスポーツモデルは高回転域重視の特性のため、低回転域からの発進加速では同排気量のスクーターに遅れを取ることも。そのため、流れの速い幹線道路では、常にスタート時に中回転域以上でのクラッチミートを余儀なくされる。これに対してYZF-R15Mは、排気量が30cc多い分だけ低中回転域のトルクが厚く、125cc勢よりも明らかに出足の元気がいいのだ。
そして、高回転側のカムに切り替わる7,400rpm以上では、パワーカーブの盛り上がりがしっかりと感じられ、いわゆる「カムに乗る」フィーリングが味わえるのだ。秀逸なのは、そのVVAの切り替わりが非常にスムーズであること。7,400rpmを境に急激に加速力が変化するわけでも、またエンブレが高まるわけでもないので、ビギナーを慌てさせることがない。また、今回は介入させられるまでのテストはできなかったが、トラクションコントロールが採用されているのも大きな安心材料と言っていいだろう。付け加えると、アシスト&スリッパークラッチによるレバー操作力の軽さも魅力の一つだ。
素早く舵角が付き、フロントからグングンと向きを変えるキレの良さ
YZFシリーズにおいてR15Mのすぐ上位にあたるYZF-R25は、2019年モデルでカートリッジ式の倒立フロントフォークを採用。作動性は正立フォーク時代よりも上質になり、旋回力と旋回速度が高まったが、軸足はあくまでストリートにある。これに対してR15Mは、車体の傾きに対する舵角の入り方が素早く、フロントタイヤにしっかり面圧を掛けながらグングン向きを変える様は、完全にスーパースポーツのそれだ。R25よりもフロントタイヤが1サイズ細く、ホイールベースが55mm短いことなどがその要因だろう。
こうしたキレの良いハンドリングは、スズキのGSX-R125に通じるものがある。海外では排気量を拡大したGSX-R150が販売されており、どうやらYZF-R15とはライバル関係にあるようだ。とはいえ、足回りを含むシャシー剛性はR15Mの方が明らかに高く、ブレーキングを残しながらコーナーへ進入する際の安心感はGSX-R125よりも上。付け加えると、旋回中にスロットルを開けていったときの良好なグリップ感は、リヤにラジアルタイヤを履いているおかげだろう。
ブレーキセットは、ブレンボの中小排気量モーターサイクル向けの専門ブランドであるバイブレ製だ。フロントは絶対制動力を、リヤは旋回中のコントロール性を重視した前後バランスとなっており、これもスーパースポーツのセオリーに則ったもの。シャシー剛性が高いので安心してブレーキングでき、リリース方向のスピードコントロールも優秀。試乗時間が短かったため、ABSの動作フィールに関しては未確認だが、前後とも介入するデュアルチャンネルを採用しているのはうれしい要素だ。
スポーティな走りとメカニズムにおいて、YZF-R25を超越する存在のYZF-R15M。スマホとの連携機能であるY-コネクトも魅力的であり、純粋にバイクとの対話を楽しみたい人や、ライディングテクニックを磨きたい人などにお勧めしたい秀作だ。
ライディングポジション&足着き性(175cm/68kg)
ディテール解説
ヤマハ YZF-R15M(インド仕様) 主要諸元
全長/全幅/全高 1,990mm/725mm/1,135mm シート高 815mm 軸間距離 1,325mm 最低地上高 170mm 車両重量 142kg 原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ 気筒数配列 単気筒 総排気量 155cc 内径×行程 58.0mm×58.7mm 圧縮比 11.6:1 最高出力 13.5kW(18.4PS)/10,000rpm 最大トルク 14.2N・m(1.4kgf・m)/7,500rpm 始動方式 セルフ式 燃料タンク容量 11L 吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション バッテリー容量/型式 12V, 4.0Ah クラッチ形式 湿式, 多板 変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式 フレーム形式 デルタボックス タイヤサイズ(前/後) 100/80-17M/C (52P)(チューブレス)/ 140/70R17M/C (66H)(ラジアルチューブレス) 制動装置形式(前/後) φ282mmディスクブレーキ/φ220mmディスクブレーキ ABS デュアルチャンネル 懸架方式(前/後) φ37.0mm倒立式テレスコピック/リンク式モノクロス ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED 生産国 インド