【なつかしスクーター、チョイノリの話】開拓社スズキの突破劇 2003年、誰もがその価格を二度見した、え?ゴーキュッパ!?

鈴木修前会長の持論(暴論?)「排気量1ccあたり、二輪も四輪も販売価格は1000円」。その目標に肉迫したチョイノリは技術陣の挑戦の結晶であり、2000年代の名車なのだ!

必要なもの“だけ”を搭載した 標準車!

チョイノリ:5万9800円

2003年2月発売。50ccの原付バイクとしてもありえない超低価格を国内生産で実現。装備の簡素化が徹底され、最も安い5万9800円(税別)のモデルにはオドメーターすら存在しない。その結果、乾燥重量はなんと39kgを達成し、2psのエンジンでも最高速45km/hを記録したという。2003年のグッドデザイン賞も受賞した。

【SPECIFICATIONS】

全長×全幅×全高::1500×620×975mm/重量39kg(乾燥)/エンジン: 空冷4スト/排気量:49cc /馬力/トルク:2.0ps/0.3kgm/タイヤ:80/90-10(前後)

台湾でも売ってた!チョイノリキティちゃん仕様


国内生産のみだったチョイノリだが、2005年には台湾でも生産と販売が開始され、2006年には限定500台でハローキティ仕様まで販売された。フロントカウルのキティちゃんがキュート!

ストリート仕様

チョイノリSS:6万9800円 

2003年12月に発売された、若い男性をターゲットにするストリート仕様。ネイキッド風になるようフロントカウルを外し、バーハンドルを採用。オドメーターが追加された。

前カゴの装着が可能に!

チョイノリⅡ:6万2800円

2004年5月発売。荷物スペースがまったくないチョイノリの弱点を解消するため、フロントウインカーをハンドルに移設して、別売りの前カゴを装着能能にした。

車でも価格破壊! SUZUKIツイン

チョイノリ発売の約1か月前に発売された、排気量660ccの軽自動車。こちらも低価格化が進められ、最も廉価なグレードの税別価格はなんと49万円!排気量1ccあたりの価格は約742円と、元会長の目標値を大幅クリア

バイクの価格を下げるため、生産工場を中国などアジア諸国へ移管する動きが活発になった2000年代。そんな中スズキは国産にこだわって超低価格なチョイノリの開発に乗り出した。

主用途を「近距離の移動」に絞り、必要最低限のエンジン出力、車体構造、機能などをイチから見直した。その上で着色樹脂を用いた無塗装のフロントカウル、軽量なメッキシリンダーを低コストで処理する「高速メッキシリンダー」の技術、樹脂製カムシャフトなども開発。部品点数の削減、各部の軽量化、生産の合理化などの努力も積み重ねられ、5万9800円の価格を実現したのだ。

2psと非力で、リヤサスもないスクーターだけれど、チョイノリには「なせば成る」チャレンジングスピリットが詰まっている。

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