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キムコX-TOWN CT250……561,000円（消費税込み）
フラットフロアが快適な居住性を実現。スムーズな乗り味が大人のライダーにピッタリ
以前は550㏄並列2気筒エンジン搭載の大型スクーターAK550をラインナップしていたキムコ。日本国内で販売しているモデルは現在、今回試乗した250㏄のX-TOWN CT250が最大モデルとなっています。同じ軽二輪クラスのライバルとなるのは、ホンダ・フォルツァ(691,900円）とヤマハXMAX(654,500円）の2モデル。価格面では561,000円のCT250に軍配が上がります。
スポーティさとエレガントさを兼備したスタイリングだな、というのが目の前にしたときの第一印象です。車格はフォルツァやXMAXより少し大きめですが、まあ大同小異といった感じです。ライバルモデルとの最大のちがいは、ステップスルーのフラットフロアとしている点です。これはあくまでも個人的な見解なのですが、スクーターはフラットフロアのほうがいいと常々思っています。デザイン上ニーグリップできないのですから、せめて乗り降りがしやすいほうが利便性の高いスクーターらしいと考えているからです。それにフラットフロアでもスポーティな外観は構築できています。
フロントカウルにボリュームを持たせ、テール周りをスリムな形状としたボディは、スクーター版スポーツツアラーといった感じです。フロントカウルに装備されたスクリーンはショートタイプで、これもスポーティさを強調していますが、これまた個人的には、ロングタイプのスクリーンのほうが実用的じゃないかと考えています。とくに高速走行では疲労度に差が出てくるはずです。ツーリングユーザーにはぜひアクセサリーパーツで用意されているロングスクリーンへの換装をおすすめします。
足つきチェック（ライダー身長：178cm）
フラットフロアなのでとにかく乗り降りがラクです。ゆったりとした大きめのシートに腰を下ろすと、サスペンションの沈み込みも手伝って良好な足つき性を見せてくれます。シート高は790㎜と低めに抑えられているのもうれしいですね。そして大きく立ち上げられたハンドルにより、上体にもゆとりがもたらされます。足元が広くて足置き位置の自由度も大きいので、とにかくポジションは快適そのものです。194㎏とライバルモデルに比べて車重が重めなので、乗車するまでは少しばかり不安があったのですが、実際に乗ってみると重さは気にならないし、取り回し性が劣っているなんていうこともありませんでした。ショッピングの足としても十分に身近な存在になると思います。
スタートすると、水冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒エンジンはスムーズに回転を上昇させ、それに伴ってリニアにスピードを上げていきます。強いトルク感はありませんが、非常に使いやすいエンジン特性を発揮します。そうしたパワーフィーリングからコンフォータブルな乗り味が特色なのではないかと感じます。アクセル開閉に対する反応も穏やかで、不必要なピッチングを引き起こすこともありません。タンデム走行でパッセンジャーに不快な思いをさせない良さがあります。
今回は一般道での試乗だったのですが、スピードとエンジン回転から推測して、高速道路を120㎞/hでクルージングすることは十分に可能だと思いました。これからの時期なら、夏休みを利用したロングツーリングも楽しませてくれるはずです。さらに、シート下のラゲッジスペースにはたくさんの荷物が収納できるので、流行のキャンプツーリングに出かけてみるのもいいかもしれません。ハンドル中央のカバーに隠れた位置には、電子機器の充電に便利なUSB電源ソケットがありますから、スマートフォンなどの充電もバッチリです。
走行性についても安定性を前面に押し出した特性で、不安定な挙動はいっさい見せません。たしかな直進性と素直なハンドリングが、あらゆるシーンで快適な走行を約束してくれます。 ユニットスイングのスクーターの場合、後輪の重量が重く、リアサスペンションに負担が大きいために、路面状態の悪い場所ではバタバタと跳ねるような動きになってしまいがちです。しかしCT250のリアサスは思いのほか作動性が良くて、無茶な走り方さえしなければ衝撃をうまく吸収してくれました。フロントサスに関しても不満を覚えるような動きはなく、全体的に上質な乗り心地を提供してくれます。
ブレーキは前後ともにシングルディスクを採用していて、もちろんABSを標準装備しています。フロントブレーキは抜群に効くといった印象ではないのですが、レバー入力に対してジワリと効いていくタイプなので使いやすいと感じました。一方のリアブレーキは、レバー入力に対してリニアにしっかりと制動力が働きます。結果的に安定したブレーキングができます。
欧州市場では300㏄エンジン仕様が展開されているX-TOWN CT250は、やや大きめのボディがひとつの特徴ですが、都市部の走行でネガなところはあまり感じられませんでした。たしかに狭い路地を走るような場合には気を遣う部分もありますが、シティランナーとしての利便性は十分にあると思います。しかし、ゆったりと快適に走ることができるのが身上なので、ツーリングの相棒として乗ってあげるほうが合っていると思いました。いずれにしても、50万円台で買える唯一の250㏄スクーターは、身近な存在であることはまちがいありません。
ディテール解説
主要諸元
エンジンタイプ：水冷4ストロークSOHC 2バルブ単気筒 総排気量：249cc 内径 × 行程 (mm)：φ72.7 × 60.0 圧縮比：10.08:1 最高出力：14.94kw / 7500rpm 最大トルク：21.1Nm / 6500rpm 変速機型式 CVT 始動方式：セルフ式 燃料装置：フューエルインジェクション 車両重量：194kg 全長 × 全幅 × 全高：2,200 × 810 × 1,320mm シート高：790mm 軸距：1,500mm 燃料タンク容量：10.5 リットル タイヤ(前)：120/70-13 タイヤ(後)：150/70-13 ホイール：アルミニウム サスペンション形式(前)：Ø37 mmテレスコピック式 サスペンション形式(後)：ダブルスイング ブレーキ形式(前)：Ø260 mmシングルディスク +ABS ブレーキ形式(後)：Ø240 mmシングルディスク +ABS カラーラインナップ： ブルー PB326PA マットブラック CH294FA パーリーホワイト NH193PA メーカー保証：3年保証 生産国：中国
