もはや絶滅危惧種のモンキーカスタマイズ! スーパーモンキー「NMR」を捕獲

東京サマーランドで開催されたモンキーミーティングで、来場者の注目を一際集めていたのがこの1台。知る人ぞ知るカスタムモンキー、NMRだ!

REPORT●佐賀山 敏行(SAGAYAMA Toshiyuki)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
フレディスペンサー仕様のホンダ・NS500レプリカ

GPレーサーをモンキーで再現したコダワリだらけの1台

約350台がエントリーし、大盛況だったモンキーミーティング。その中でも特に注目を集めていたのが、ここに紹介する1台だ。

オーナーはGarage Buzzさんで、手に入れたのは約10年前。以降、ほとんど走らせることはなく、飾っている状態だったというが、このまま日の目を見ないのはかわいそう……ということで、モンキーミーティングにエントリーすることにしたそうだ。

タイヤ以外は当時のままのスタイルとパーツを維持する

さて、このマシンがどうして会場で大きな注目を集めたのか? 知らない読者も多いだろう。

この1台は1984年にカスタムパーツメーカー「スーパーモンキー」がプロデュースしたコンプリートカスタムマシンで、名称を「NMR」という。「NMR」とは「ニュー・モンキー・レーシング」を略したもので、その名の通り、モンキーをベースにしたGPレーサーレプリカなのだ。

高い完成度によって、圧倒的な存在感を放つ

当時のコンプリート販売価格は49万8000円とのこと。これは同時期に発売されていた400ccクラスの新車とほぼ同じ。そう考えると高額だと思ってしまうが、実際には4miniファンをおおいに惹きつけたという。

カスタムメニューをあらめて確認すれば、それも納得である。

ステムやハンドルはスーパーモンキー製。メーターはゴリラ純正を流用する

まずはフレームから見てみよう。

NMRは純正のバックボーンフレームをそのまま使用しているが、カウルの間からフレームが見える……。じつはコレはサブフレームで、秀逸な設計によって違和感はゼロ。モンキーをみごとGPレーサーに仕立て上げている。

リヤサスペンションは、サブフレームにピボットを設けることでモノショック化。しかもプロリンク式である。さらにスイングアームは、車体に合わせてアルミ製ロング仕様となっている。

サブフレームを巧みに設計することによって、見た目はもちろん、リヤ周りの足周りの強化も果たしているのだ。

10インチホイールに換装し、フロントブレーキはディスク化されている

そして、そんなサブフレームにマウントされる外装も見逃せないポイントだ。

Garage Buzzさんの愛車はスペンサー仕様のNS500レプリカである。「NMRの中でも最も人気の高かった仕様」(Garage Buzzさん談)とのことで、このスーパーモンキーには他にロスマンズカラーのNSレプリカやNSRレプリカ、さらにヤマハYZRやスズキRG-γ、カワサキKRレプリカなどが作られていた。

これら外装パーツはマジカルレーシングによるFRP製で、各モデルごとの専用設計というから驚きだ。

ちなみにペイントはもちろん、デカールも当時のまま。保存状態はすこぶる良い!

排気量は88cc。スーパーモンキー製オイルクーラーとPC20キャブレターをセットする

ホイールは純正の8インチから10インチへ大径化を果たし、安定性のアップとともに、ルックスの向上も果たしている。

先述のとおり、このマシンはデカールを含めて、ほぼ全てが当時のオリジナルだそうだが、唯一、タイヤだけが新しくなっている。消耗品なので仕方がないとはいえ「タイヤも古めかしいパターンの方が似合うんだけどね」とGarage Buzzさん。

スーパーモンキーオリジナルダウンマフラーを装備

フロントブレーキはディスク化されていて、ディスクはスーパーモンキーオリジナル。キャリパーは「NS50あたりの流用ではないか」とのこと。他に、スピードメーターはゴリラ純正を流用している。

しかし、フロントフォークやステム周り、ハンドルなどはスーパーモンキーオリジナル。そのほとんどがオリジナルカスタムパーツで構成されていることに驚く。

サブフレームにバックステップを装着。リアサスペンションのマウントやそもそもの見せ方など、NMRはサブフレームの使い方が秀逸だ

エンジンは88ccにボアアップ。スーパーモンキー製オイルクーラーをセットし、キャブレターはPC20となっている。

Garage Buzzさん曰く「当時は50ccと88ccから選べた」とのこと。50cc版はオイルクーラーはつかず、キャブレターは純正だったそうだ。

テールランプやウインカーは、GPレーサーの雰囲気を損ねないように処理されている

実際にNMRが何台売れたかは不明だが、発売から約40年が経過していることもあり、現存台数がかなり少ないことは想像に難くない。

当然ながら、このマシンもこれからカスタムなどを進める予定は一切なく、現状維持が課題。Garage Buzzさんは「エンジンなどの錆びているところを磨いて、もっと綺麗にしたい」そうだ。

デカールは当時のまま。「スーパーモンキー」ステッカーのデザインが80年代を思わせる!

今や超希少なお宝モンキーである。その中でも人気のスペンサー仕様を所有するGarage Buzzさんには、ぜひこれからも大切に所有し続けていただきたい!

キーワードで検索する

著者プロフィール

佐賀山敏行 近影

佐賀山敏行

学生時代からのバイク好きが高じて、 雑誌『カスタムバーニング』やムック『ハーレー・バガースタイル』な…