世界に誇る匠の共演 [ 2024自動車アート7人展 ]開催中!!

第13回 2024自動車アート7人展が有楽町の東京交通会館ギャラリー・パールルームで開催されている。青戸 務氏、畔蒜 幸雄氏、稲垣 利治氏、大内 誠氏、岡本 三紀夫氏、児玉 英雄氏、佐原 輝夫氏(五十音順)の7人が世界を魅了し続けている卓越の作品を披露。長年の活躍と軌跡を見ることのできる素晴らしい展示会である。是非足をお運びいただきたい。
TEXT & PHOTO : 難波 治

第13回 2024 自動車アート7人展

以下、同展の推進役である佐原氏よりお聞きした沿革をご紹介する。

その歴史は1970年に遡る。その年の後半日本の自動車、モーターサイクルほか輸送機器の分野を活動の場とするするイラストレーター、デザイナーの交流の場として日本自動車アーチスト協会が誕生。展覧会開催や自動車関連のイベントへの出展などを主な活動の場としていたが、2000年台に一旦活動を停止している。

その後、協会のリーダー役だった故寿福隆志氏(三栄書房美術部出身)と盟友の大内誠氏が、児玉英雄氏(オペルデザイン)、青戸務氏(オペル、ホンダ・デザイナー)が出品していた展覧会で出会い、自動車関係のアーチストが集まってまた活動しようという構想がもちあがり、構造画ジャンルからは寿福氏、大内氏、カーデザイン界から児玉氏、青戸氏。イラストレーター業界から岡本三紀夫氏、佐原輝夫氏。そして立体を作る人もいてほしいということでモデルフィニッシャーの畔蒜幸雄氏、というメンバーが選ばれた。寿福氏が亡くなられたあとには、切り絵の技法で車の美しさ、光沢を表現するアーチスト、稲垣利治氏が加わり、現在もその固定メンバー7人で活動を持続されている。

2009年、第1回の七人展を交通会館パールルームで開催。同会場でかつてこんなにたくさんのお客さんが入る展示は見たことがない、というほどの大盛況、大成功を収め、以後毎年9月最終週の開催が決められ、15年間、13回(コロナで2年間休止)続いている。
2018年には10周年記念として、日本の自動車メーカーのデザイナー、イラストレーター、メディアをはじめ、画材、学校関係など広い分野の皆さんを招いて祝賀パーティを開催。
コロナ明けの2022年より復活し、ふたたび多くのファンの来場を仰ぎ、自動車ファン、アートやモデルカーファンの語らいの場として一層の賑わいを見せている。

第13回のテーマは「日本車」7人衆がそれぞれ日本車をテーマに作品を展示している。
会期 : 2024年9月22日(日)〜28日(土) 11:30〜19:00 (最終日 〜18:00 )
会場 : ギャラリー・パールルーム
東京交通会館1階
千代田区有楽町2-10-1 電話(会場直通) 03-3212-3772

ギャラリー・パールルーム エントランス
ギャラリー・パールルーム  奥中二階

青戸 務氏

青戸 務(あおとつとむ):1966年多摩美術大学卒業。本田技術研究所に入社。その後1969年ドイツ・オペル。1977年より本田技術研究所2輪デザイン室、1986年ヨーロッパホンダ4輪研究所マネージャー。帰国後ホンダデザインセンター東京デザインスタジオマネージャーを経てヒュンダイ日本研究所デザイン取締役ディレクター。2000年シバックス・ヨーロッパスタジオディレクター。2009年日本にてアオト・デザインを設立。

畔蒜 幸雄氏

畔蒜幸雄(あびるゆきお):プロモデラー。プラモデル好きがこうじてプロモデラーへ。学生時代から模型雑誌の作例製作や執筆活動を開始。自動車メーカーやミニカーショップの完成品製作。玩具や日用雑貨などの試作品の塗装試作、組み立て。ネコパブリッシング刊モデルカーズ誌“アメリカン・モデルカーズ”への連載など。現在はディアゴスティーニの監修を手がけている。AAF(オートモビル・アート連盟)会員。
週間ディアゴスティーニ スプリンタートレノ AE86 1/8モデル監修/組立監修
隔週刊ディアゴスティーニ 日本の名車コレクション1/64 のモデル監修
隔週刊ディアゴスティーニ アメリカンカーコレクション1/43のモデル監修

稲垣 利治氏

稲垣利治(いながきとしはる)切り絵カーアート:1972年トヨタ車体入社。乗用車・商用車・ミニヴァン・CMF先行開発などのデザイン業務に携わる傍らで、独自の手法による切り絵アートの作成を開始。2011年より自動車アート7人展に参加。AAF(オートモービルアート連盟)会員。

大内 誠

大内 誠(おおうちまこと) テクニカルイラストレーター:大学卒業後モータージャーナリスト星島浩氏に師事。モーターマガジン『オートスコープ』に自動車透視図を連載。1977年ドイツ・ミュンヘン在住のイラストレーター、H.シュレンツイッヒ氏(Herbert Schlenzig)にテクニカルイラスト(透視図)の書き方を学ぶために渡独。帰国後に自動車メーカーや雑誌等に多くの作品を提供。日本におけるテクニカルイラストレーターの第一人者。世界的に高い評価を得ている。AAF(オートモビル・アート連盟)会員。

岡本 三紀夫

岡本三紀夫(おかもとみきお)イラストレーター:桑沢デザイン研究所卒、日本デザインセンターを経て1977年フリーへ。カーアンドドライバー誌の表紙はあまりにも有名。スーパーリアル画法を得意とする。オートサウンドの表紙、その他自動車メーカーのカタログ、新聞、出版物への装丁などのイラストを手がけている。AAF(オートモービルアート連盟)理事長.
https://www.ajidesign.co.jp/okamoto/

児玉 英雄

児玉英雄(こだまひでお):カーデザイナー。 1966年多摩美術大学卒業後にオペル入社。2004年退社するまで約40年間オペル社一筋でデザイン開発に携わる。2002年にはアドバンス部門カラー・トリムおよびクロスカーライン部門デザインディレクター。退社後はフリーランス。1962年多摩美術大学に入学したがカーデザインを学ぶ機会がなく全て独学(カーデザインを教えられる教授などいない時代)。在籍中にGMにデッサンを送ったところ内定。卒業と同時に当時のVISAの関係でドイツ・オペル社に入社。日本人カーデザイナーの草分け。
ドイツ在住。

佐原 輝夫

佐原輝夫(さはらてるお)イラストレーター:1971武蔵野美術大学入学。デザイン会社へ勤務したのち1974年フリーに。クルマ・バイク・アウトドア・カルチャーなど幅広い分野のイラストとエッセー。自動車専門誌やホットドッグプレスなどでファッションやスポーツのイラストも手がける。乗りものとともに人物の描写には定評がある。
AAF(オートモービル・アート連盟)会員。
佐原氏自身が旅した”ルート66”全行程3800kmで自ら心に留めてきた「ふつうのアメリカ」を描いたイラスト集。どのイラストも必ず「道路」が描かれている。大地や空、アメリカのダイナミックな空間性などが素晴らしい表現力で描かれ、このイラストを見ているだけでその場・その時刻に引き込まれる。是非お手に取ってご覧いただきたい1冊。
佐原輝夫(Telly Sahara) Instagram
https://instagram.com/art_tellys

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著者プロフィール

難波 治 / Osamu NAMBA 近影

難波 治 / Osamu NAMBA

筑波大学芸術専門学群生産デザイン専攻卒業後、スズキ株式会社入社。軽自動車量産車、小型車先行開発車輌…