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Porsche 963
赤旗後にエストレがトップタイムをマーク
フランスのサルト・サーキット舞台に開催されるWEC第4戦ル・マン24時間レース。6月13日に予選上位8台で争われるハイパーポールが行われ、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの「963」6号車がトップタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。ル・マンにおけるポルシェのポールポジションは、実に19回目となる。
今回のハイパーポールは、アクシデントとドラマの連続となった。サポートレースでのクラッシュにより、コースバリア修理のためハイパーポールのスケジュールが、35分間のディレイを余儀なくされた。さらにハイパーポール開始20分後、「BMW MハイブリッドV8」15号車がグラベル上にストップし、赤旗中断。その後、レースディレクターによって午後9時5分から、7分41秒のセッションが再開された。
ポルシェ936の6号車のアタックを任されたエストレに重圧がかかるなか、この短いアタック時間で抜群の集中力を発揮。最終アタックラップで渾身の走行を披露し、2018年のル・マンのクラスウイナーは、キャデラックの2台を僅差で上まわる、3分24秒634という最速ラップタイムを叩き出した。
最終盤に集中力を発揮したエストレ
アタックを終え、チームメイトに迎え入れられたエストレは、次のようにハイパーポールを振り返った。
「ル・マン24時間でポールポジションを獲得できるなんて本当に信じられません。チームは私のために最高のマシンをコースへと投入してくれました。ただ予選終盤、本当に凄まじいストレスにさらされました。わずかな時間しか残されていませんでしたし、クルマの燃料もほとんどなくなっていたのです」
「それでもタイヤが理想的なコンディションにある中で、ポルシェ 963をドライブするのは本当に楽しかったです。私はアクセルを踏み抜き、ラップを重ねました。ポールポジションはこの数ヵ月間のチーム全員によるハードワークの賜物です。これで世界最大のレースを先頭からスタートできます!」
ポルシェ・モータースポーツの副代表を務めるトーマス・ローデンバッハは、エストレのアタックに賞賛を送る。
「ポルシェがル・マン24時間で19回目のポールポジションを獲得するなんて、本当に信じられません。しかも2番手とはコンマ1秒も差がありませんでしたから。赤旗中断後にコースが再開されたとき、私たちには2周のアタックラップを行う時間しかありませんでした。ただ、すべてが完璧でした。タイヤは最適な状態にあり、ケビンはそれを最大限に活かしたのです。ポールポジションはチームの努力があったからこそ。あとは24時間のレースでコンスタントに速いペースを維持することが鍵になります」
また、LMGT3クラスに参戦するマンタイ・ピュアレクシングの「ポルシェ 911 GT3 R」92号車(アリアクサンドル・マリキン、ジョエル・シュトルム、クラウス・バチェラー)が、3分24秒782のタイムで2番手グリッドを確保。このクラスのポールポジションは、インセプション・レーシングのマクラーレン 720S LMGT3 エボ 70号車が獲得している。