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CHELSEA TRACK COMPANY by KAHN
足元にはタイプ60RSフォージドホイール
カーンデザインは、イギリス生まれのチューナーで独創的なデザインのパーツが特徴的だ。グループ企業のチェルシートラックカンパニーとともに、ディフェンダーをはじめとするSUVのラグジュアリードレスアップには定評がある。中でもホイールは、最もカーンデザインの魅力を伝えるアイテムかもしれない。それはいつだって私に「花」を連想させる。今年も春の気配がすぐそこまでやって来て、待っていましたとばかりに花々があちこちで咲き始めた。大小問わず、色や形問わず、花は私の心を魅了する。愛らしい自然界の賜物を大きな金属の塊で表現できるのだから驚く。創業者であるアフザル・カーン氏はかなりのクルマ好きとして知られているが、彼は何よりもクルマをデザインすることが好きなのだという。何かのデザインインスピレーションを花から受けたとは述べていないが、勝手ながら私は彼の愛するイギリスの湖水地方の美しい自然が、彼の審美眼を育てたのではないかと考えている。
パワフル、タフ、無骨、迫力。こんなイメージばかりが先立つディフェンダーだが、カーンのアイテムを持ってすると「柔和」というワードが加わると思う。究極の矛盾が共存した一台が、ここにある。ボディカラーはパンゲアグリーン。主張が強すぎないナチュラルカラーで、日本でも人気のカラーだ。その足元に、カーンデザインのタイプ60RSフォージドホイールを履く。骨太のブラックスポークは確かに頑丈そうで、ディフェンダーによく似合う。そこにクーパータイヤのディスカバーAT3 XLT 8という組み合わせはさらに強健だ。それなのに全体的には、どこか柔らかくて穏やかな雰囲気を纏う。ホイール天面に施された切削処理によってくっきりと力強い線が描かれているものの、遠目から見ると艶やかなブラックとのコントラストが曲線を伴った造形美を映し出している。凛々しく立ち、時に風にふわりと揺れる花を思わせるのはやはりこのデザインと切削技術の成せる妙技なのか。
柔らかな美しさを醸すカーンデザイン
実はこの個体にはランドマークボディキットが装着され、クワッドテールのエキゾーストシステムも織り込まれている。リップスポイラー、フォグ周りのフィン、フロントグリルといったパーツが、ディフェンダーの個性である、どんな障害物も跳ね除けて前進するような力強さをさらに引き立てる。それと同時に重心が少し下がったように見えることで、落ち着いた印象も加わったようだ。エキゾーストシステムからは、ややくぐもった唸り声が響く。山合いを駆け抜けていく姿は、けっして自らの存在を声高に訴えることはしないものの、ふと目を奪われてしまうオーラを放っていた。
こんなディフェンダーなら、女性が乗りこなすのにもってこいかもしれない。扱いやすいショートサイズのスクエアボディ、見晴らしの良い車高、それにカーンデザインが醸し出す柔らかな美しさを添えて、ディフェンダーライフの新たな魅力を発見できると思う。
REPORT/上之園真以(Mai AGENOSONO)
PHOTO/白谷 賢(Ken SHIRATANI)
MAGAZINE/GENROQ 2024年 5月号
PARTS LIST
Wheel:KAHN Type60(22×10.0J)
Tire:Cooper Discover AT3 XLT 275/45-22
Aero:KHAN by CHELSEA TRACK COMPANY Land mark body kit
Exhaust:KHAN by CHELSEA TRACK COMPANY Quad Exhaust System
【問い合わせ】
橋本コーポレーション
TEL 075-761-7351
https://www.h-c.co.jp