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Mercedes-AMG E 53 HYBRID 4MATIC+(PHEV)
普通のEクラスとは別次元



ラグジュアリーサルーン「メルセデス・ベンツ Eクラス」をベースに、メルセデスAMGが手掛けた「Mercedes-AMG E 53 HYBRID 4MATIC+(PHEV)」(以下、E 53)が日本に導入された。早速、その最新ハイパフォーマンスサルーンを冬の北海道に持ち込み、走行テストを敢行した。試乗するのはレーシングドライバー、谷口信輝だ。
雪上での走行は電子制御の正確性だけでなく、そのクルマの本質を垣間見ることができる。そこでクルマの本質をプロのレーシングドライバーに見破ってもらうのが、このテストの狙いである。まだ暗い冬の北海道の朝、封鎖された林道でE 53と対面した谷口は、第一印象としてスタイリングなどデザインの良さを挙げた。
「まず、カッコいいと思いました。最近SUVに興味がありましたが、久々にいいサルーンに出会いました。次にドアを開けて乗り込んだら、インパネ周りが最新で洗練されていると感じました」
ノーマルのEクラス比で20mmワイド化されたフロントフェンダー、専用デザインの大開口フロントエプロン、そしてAMG専用デザインの縦型ルーバーにイルミネーテッドラジエーターグリルを備えたフロントデザインが、E 53が普通のEクラスとは別次元であることを主張している。一方のインテリアは、サイドサポートが張り出し、高いホールド性を発揮するスポーツシートが、ただならぬパフォーマンスを予感させる。当然、最新の第3世代MBUX Gen20xを搭載しており、助手席ダッシュボードにまで広がるスーパースクリーン(オプション装備)と相まって、性能と美しさを両立する次世代の空間を醸し出している。
圧倒的性能を実感




谷口は颯爽と林道へと走り出した。除雪はされているものの、圧雪路面の両脇には雪の壁が迫り、道幅は狭い。しかし、その厳しいコンディションの中でも、E 53は華麗な走りを見せた。約3kmのコースを数回走り、谷口はその印象を語る。
「雪道で乗ってみて、3.0リッター直列6気筒ツインターボエンジンの最高出力と最大トルクの圧倒的性能を実感しました。それでいて、その高性能が使いやすく、快適であることに驚きました。踏み込めばエンジンは心地よいサウンドを奏でますが、モーター走行時は静かで、キャビンの静粛性も高いです。サスペンションもロードインフォメーションを適度に伝えつつ、不快な振動を遮断してくれるので、非常に快適です。長時間の運転でも疲れにくいでしょうね」
E 53は、M256M 3.0リッター直列6気筒ターボエンジンと高出力モーターおよび大容量リチウムイオンバッテリーからなるプラグインハイブリッドモデルだ。エンジン単体で最高出力449PS(330kW)、最大トルク560Nmを発揮し、変速機(AMGスピードシフトTCT 9Gトランスミッション)に内蔵された高出力モーターを組み合わせることで、システム最高出力585PS(430kW)、同最大トルク750Nmを誇る。
単に環境性能向上のためではない



雪上走行で重要な要素は駆動方式である。今回雪上テストに挑むE 53は、その高性能をフルに発揮するべく4輪を駆動するAMG 4MATIC+だが、プロドライバーの手でその性能を十二分に発揮した。
「E 53が雪道でも力強く加速できるのは、トラクションのかかり方が優秀だからです。AMG 4MATIC+が前後のトルクを瞬時に調整してくれるので、スタックする心配がなく安心感がありました。さらに加速時にはモーターが低速域を繊細に制御してくれる印象です。特にスノーモードでは、制御の緻密さが際立っていました」
優れたドライバーほどそういった違和感を素早く察知するものだ。メルセデスAMGが用意したプラグインハイブリッドシステムが、単に環境性能向上のためではないことを谷口は見抜いていた。さらにE 53ならではの走行性能を高める装備にも言及した。
「AWDとともに重要なのがリア・アクスルステアリングです。運転していて違和感がなく、ドライバーのイメージ通りに機能してくれます。曲がりすぎたり、曲がらなかったりすることがなく、ちょうどいいバランスでした。さらに、リヤに備わる電子制御LSDのおかげでトラクションがより効果的にかかりました」
リア・アクスルステアリングは100km/h以下で前輪と逆方向に後輪が2.5度きれることで小回りがきき、100km/h超で同方向に0.7度きれることで安定性を増す。今回のテストでも、高い安定性を維持しつつ、ハンドリング性能を向上し、E 53が本来持つ高出力をしっかりと路面に伝える機能を持っていることが確認できた。
使いやすい高性能と快適さを両立

冬の北海道の日没は早い。テスト終了の時間が迫ってきた。最後に今回のような雪道を走る時の秘訣を聞いた。
「雪上走行が難しいのは、瞬時の状況判断が求められるからです。今回は特設コースということで、サーキットのように何度も走りましたが、普通は初めて通る道を圧雪なのかアイスバーンなのか一瞬で判断しなければなりません。その状況判断に瞬時に的確に応えてくれるのが、パワートレインのレスポンスの良さです」
まさにハイパフォーマンスハイブリッドサルーンの面目躍如といったところだろう。大型リチウムイオンバッテリーを搭載するプラグインハイブリッドであるため、車重は2.4tとヘビー級だが、その走りはそれを感じさせないものだったことも特筆すべき点だ。ホイールベースの長さと相まってむしろ挙動の安定感につながっているという。
「ダイナミックセレクトでELモードを選択するとモーター走行がメインとなり、タイヤが雪を踏む音しか聞こえない、静寂に包まれたのが新鮮でした。ELモードでもアクセルを踏み込めばエンジンがかかりますが、静かに走るぶんにはモーターだけで101km(WLTCモード※)も走れます。これは普段100kmしか走らない人なら、ガソリンを使わずに走れるということです。E 53は走りだけでなく利便性を兼ね備えていると言えますよね」
日が傾く雪道に佇むE 53を見つつ、谷口はそう締め括った。見た目の美しさ、高い走行性能と快適性、そしてEV走行という実用性を兼ね備え、さまざまなシチュエーションに対応する万能な1台。それが今回の雪上テストで見つけたE 53の結論である。
※ EV走行換算距離(等価EVレンジ / 国土交通省審査値)
※ EV走行換算距離(等価EVレンジ、WLTCモード)は、定められた試験条件での値です。WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて数値は大きく異なります。特に1日当たりの走行距離、バッテリーの充電状態、エアコン使用による影響を大きく受けます。
DRIVING/谷口信輝(Nobuteru TANIGUCHI)
PHOTO/平野陽(Akio HIRANO)
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SPECIFICATIONS
Mercedes-AMG E 53 HYBRID 4MATIC+(PHEV)
MP202501
ボディサイズ:全長4970 全幅1900 全高1475mm
ホイールベース:2960mm
車両重量:2390kg
エンジン:3.0リッター直列6気筒エンジン
総排気量:2996cc
エンジン最高出力:330kW(449PS)/5800〜6100rpm
エンジン最大トルク:560Nm/2200〜5000rpm
モーター:交流同期電動機
モーター最高出力:120kW/2400〜6800rpm
モーター最大トルク:480Nm/0-2400rpm
バッテリー:リチウムイオン電池
システム最高出力:430kW(585PS)
システム最大トルク:750Nm
トランスミッション:電子制御9速A/T
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前4リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前265/40R20 後295/35R20
環境性能:11.5km/L(WLTC)
車両本体価格:1698万円
※燃料消費率は定められた試験条件での値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なります。
「WITCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。市街地モードは、信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは、信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは、高速道路等での走行を想定しています。
【問い合わせ】
メルセデス・コール
TEL 0120-190-610
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