目次
Lamborghini Huracan
EVO × EVO RWD
STO × Tecnica
パワースペックの差に見る“プライオリティ”
2022年4月、ランボルギーニのV10シリーズ・ウラカンに最新の「ウラカン テクニカ」が登場した。これにより、STO、EVO、EVO RWD、テクニカという“4兄弟”(EVOとEVO RWDにはスパイダーもあり)が揃い踏み。それぞれのウラカンにはどんな違いがあるのだろうか。各モデルのパワースペックや車重、加速性能などを比較検証し、その個性をあぶり出してみよう。
ウラカンは第一世代のLP 610-4がデビューしたのが2014年で、2019年には現行型である「ウラカン EVO」に進化している。現在ラインナップしているウラカンは、この全輪駆動の「ウラカン EVO」、後輪駆動の「ウラカン EVO RWD」、フラッグシップの「ウラカン STO」、STOとEVO RWDの間を埋める「ウラカン テクニカ」の4車種となっている。搭載する5.2リッターV10自然吸気ユニットのパワースペックを比較すると、
■エンジンスペック■
ウラカン EVO=640ps/8000rpm、600Nm/6500rpm
ウラカン EVO RWD=610ps/8000rpm、560Nm/6500rpm
ウラカン STO=640ps/8000rpm、565Nm/6500rpm
ウラカン テクニカ=640ps/8000rpm、565Nm/6500rpm
最高出力・最大トルクの両方でもっとも数字が大きいのが、スタンダードのEVO。3台の後輪駆動モデルは意図的に数値を抑え込み、コントロール性に重点を置いたチューニングとなっている。とりわけ、STO(とそれをベースとするテクニカ)に関しては「サーキットでのリニアリティ」を重視した結果、このバランスに行き着いたという。なお、最高速度もSTOのみ310km/h(それ以外は325kmh)でリミッター制御される。
パワーウェイトレシオは軽量なSTOが有利
乾燥重量では4輪駆動システムを搭載するEVOが最も重い。アウターパネルを75%以上カーボン製としたうえ、マグネシウムホイールや20%軽量フロントガラスも採用するなど徹底的な軽量化対策を施したSTOが最も軽い。
■乾燥車体重量■
ウラカン EVO=1422kg
ウラカン EVO RWD=1389kg
ウラカン STO=1339kg
ウラカン テクニカ=1379kg
上記重量からパワーウェイトレシオを算出すると、ウラカンSTOが最も優れた2.09kg/ps、続いてテクニカの2.15kg/ps、EVOが2.22kg/ps、EVO RWDは2.27kg/psという順番となる。
出足の速さはAWDのEVOが優勢
パワーウェイトレシオでは3番手のEVOだが、4輪駆動ならではのトラクションを活かし、100km/hまでの発進加速性能では他3モデルを凌駕している。
■0-100km/h加速■
ウラカン EVO=2.9秒
ウラカン EVO RWD=3.3秒
ウラカン STO=3.0秒
ウラカン テクニカ=3.2秒
しかし、“伸び”がモノ言う0-200km/h加速になると、STOとテクニカの軽量ボディとエアロダイナミクス性能が効いてくる。
■0-200km/h加速■
ウラカン EVO=9.0秒
ウラカン EVO RWD=9.3秒
ウラカン STO=9.0秒
ウラカン テクニカ=9.1秒
では、制動性能はどうだろうか。ブレーキディスク径はEVO=前380×38mm/後356×32mm、EVO RWD=前365×34mm/後356×32mm、STO=前390×34mm/後360×28mm、テクニカ=前380×38mm/後356×32mmで、ハイパフォーマンス仕様のSTOとテクニカはカーボンセラミックディスクが標準装備となっている。100km/h-0の制動距離をまとめると次のとおり。
■100km/h-0制動■
ウラカン EVO=31.9m
ウラカン EVO RWD=31.9m
ウラカン STO=30m
ウラカン テクニカ=31.5m
最もリーズナブルな1台は・・・
ことほど左様に、スクアドラ・コルセ謹製のサーキットスペシャルともいえるSTOは一頭地を抜くパフォーマンスを有している。当然車両価格も“別格”であり、
■車両本体価格(税込)■
ウラカン EVO=3282万7601円
ウラカン EVO RWD=2653万9635円
ウラカン STO=4125万円
ウラカン テクニカ=2999万2917円
と、1台だけ4千万円の大台を突破する。
サーキット走行を最重視するオーナーにはSTOが最適なのは間違いないが、安定志向の4輪駆動を求めるならEVO、ウラカンの素顔を楽しめるEVO RWDと、それぞれに持ち味が明確に分かれているのもウラカン兄弟の魅力だろう。とはいえ、STOに肉薄する性能をもちながら、公道とサーキットの両方を楽しめるセッティングと実用性を持ち合わせるという点では、テクニカは非常にリーズナブルな1台といえるのではないだろうか。
【SPECIFICATIONS】
ランボルギーニ ウラカン STO
ボディサイズ:全長4547 全幅1945 全高1220mm
ホイールベース:2620mm
乾燥重量:1339kg
エンジン:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7:1
最高出力:470kW(640ps)/8000rpm
最大トルク:565Nm(57.6kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
ディスク径:前390×34 後360×28mm
タイヤサイズ:前245/30R20 後305/30R20(ブリヂストン ポテンザ スポーツ)
ランボルギーニ ウラカン テクニカ
ボディサイズ:全長4567 全幅1933 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
乾燥重量:1379kg
エンジン:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7:1
最高出力:470kW(640ps)/8000rpm
最大トルク:565Nm(57.6kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク(カーボンセラミック)
ディスク径:前380×38 後356×32mm
タイヤサイズ:前245/30R20 後305/30R20(ブリヂストン ポテンザ スポーツ)
ランボルギーニ ウラカン EVO
ボディサイズ:全長4520 全幅1933 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
乾燥重量:1422kg
エンジン:90度V型10気筒DOHC40バルブ(自然吸気式)
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7:1
最高出力:470kW(640hp)/8000rpm
最大トルク:600Nm/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前380×38 後356×32mm
タイヤサイズ:前245/30R20 後305/30R20(ピレリ Pゼロ)
ランボルギーニ ウラカンEVO RWD
ボディスペック:全長4520 全幅1933 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
乾燥重量:1389kg
エンジンタイプ:V型10気筒DOHC
総排気量:5204cc
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7:1
最高出力:449kW(610ps)/8000rpm
最大トルク:560Nm(57.1kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前245/35ZR19 後305/35ZR19(ピレリ Pゼロ)