公道走行可能なレーシングカー「KTM X-BOW GT-XR」

「まるでGT2マシンのよう」レーシングカー由来のスーパースポーツ「KTM X-BOW GT-XR」の最高出力は500ps【動画】

オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」のエクステリア。
バイクメーカーとしてお馴染み、オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」。
オーストリアを拠点とするKTMは、公道走行可能なスーパースポーツ「X-BOW GT-XR」を発表した。X-BOW GT-XRは、LMPプロトタイプを思わせるエクテリアに、レーシングカー由来のドライビングダイナミクス、パワフルなアウディ製直5ターボエンジンが組み合わせられている。

KTM X-BOW GT-XR

LMPプロトタイプからインスピレーション

オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」のエクステリア。
X-BOW GT-XRのレーシーなフォルムは、ル・マン24時間レースなどで活躍するLMPプロトタイプからイメージされている。

「X-BOW GT-XR」のベースとなったのは、世界中のレーストラックで活躍する「X-BOW GT2」。KTMの開発陣は、X-BOW GT2のユニークな機能を犠牲にすることなく、ジェット戦闘機を思わせるキャノピーなど、公道走行に必要不可欠な装備を導入した。すべてのボディパネルやディテールが、公道やサーキットで最高の走りを実現するために開発されたコンポーネントとなる。

そのエクステリアは、妥協を排したストリート用スーパースポーツであることを強烈に主張する。シルキーなカーボンファイバー製アウタースキンに包まれたボディカウルはクリアなライン、シャープなエッジ、滑らかなサーフェスが特徴となる。エキサイティングなデザインは、走るために必要なコンポーネントで占められており、無駄な要素はすべて排除された。

KTM X-BOW GT-XRの根底にあるアイデア、コンセプト、イノベーションはすべて、まずレーストラックで存在理由を証明しなければなかった。X-BOW GT-XRは、LMPプロトタイプやGTレーシングカーからインスピレーションを得ており、絶対的なパフォーマンスを実現するため、技術的なディテールを開発。軽量化とエアロダイナミクス効率を追求し、妥協を排したドライビングマシンが完成している。

500psを発揮するアウディ製2.5リッター直6ターボ

パワーユニットは提携関係にあるアウディ製2.5リッター直列5気筒TFSIターボエンジンを搭載。最高手直は500psオーバーを実現している。
パワーユニットは提携関係にあるアウディ製2.5リッター直列5気筒TFSIターボエンジンを搭載。最高出力は500psオーバーを実現している。その奥にはちょっとした旅行に重宝しそうな、ラゲッジスペースも用意された。

心臓部には、アウディ製の2.5リッター直列5気筒TFSIガソリンターボエンジンを搭載。同クラスのエンジンよりも軽くコンパクト、かつパワフルで効率的なパワーユニットとなっている。低回転域から盛り上がる強大なトルクとエンジンサウンドを特徴としており、最高出力368kW(500ps)、最大トルク581Nmを発揮する。このアウディ製直5エンジンは、9度も「エンジン・オブ・ザ・イヤー」の最優秀エンジン賞に輝いており、世界最強の市販5気筒エンジンという称号も持つ。

燃料タンク容量は 96リットルで、乾燥重量は1130kg。1回の給油で最大1000kmの走行が可能となっている。燃料タンクやバッテリーといった重量物は、カーボンモノコックとエンジンの間の低い位置に配置。レーシングカーのセオリーどおり、重心を可能な限り低くし、44対56という理想的な重量配分を実現した。

電子制御7速DCT(ダイレクト・シフト・ギヤボックス=DSG)とLSDを介して、リヤを駆動。この先進的なギヤボックスはトルクを落とすことなく、高速のギアチェンジが可能となっている。

最小ドラッグレベルで最大ダウンフォースを確保

オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」のキャノピー型カウル。
レースでの経験を活かしてデザインされたエクステリアは、エアロダイナミクスが徹底的に追求されている。キャノピー式ウインドウ&ルーフは、ジェット戦闘機を思わせるデザインだ。

未来的なエクステリアはX-BOW GT2からのフィードバックをベースに、KTMのデザイナーがエアロダイナミクス効率に細心の注意を払って開発された。

流線型のフロントフェイスから続くウェッジシェイプのボディ、グランドエフェクトを最大化するフロアセクション、リヤディフューザーと大型リヤウィングなど、最小のドラッグレベルで最大のダウンフォースを得るために、あらゆる工夫が凝らされている。

フルカーボンファイバー製モノコックは、2008年の「KTM X-BOW」で導入以来、絶えず完成度を高めてきた。ロードカーに使用されるシャシーの中で、最も軽量かつ最高レベルのねじれ剛性を確保。そのコアとなる重量89kgのセーフティセルは、レーストラックで何度もテストされ、優れた安全基準が保証されている。

エアコンを搭載し、スマホとの接続も可能

オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」のコクピット。
レーシングカーのような走行性能を持ちながらも、エアコンを標準装備し、スマホを介してナビゲーションシステムを利用することもできる。

レーシングカーと変わらない走行性能を持ちながら、日常のドライブもこなす快適性も確保されている。軽量なボディと経済的なエンジン、さらに大容量の燃料タンクにより、例えばアルプスを横断し、給油のために停車することなく、オーストリアへと戻ってくることも可能だという。ラゲッジ容量は160リットルと、ちょっとした小旅行であれば十分なスペースが用意された。

電動アシスト・プログレッシブ・パワーステアリングにより、ドライバーは曲がりくねったワインディングロードでも、GT-XRを自在に走らせることが可能。同時に高性能なエアコンも装備しており、快適な旅を楽しむことができる。

リヤカメラ付きバックミラーは、完璧な全方位視界を提供。ステアリングには高解像度LEDディスプレイを備えており、クワッド・ロックシステムとBluetoothペアリングにより、搭載するサウンドシステムやディスプレイにスマートフォンを簡単に接続することも可能。ナビゲーションシステムや、音楽を楽しむことができる。

ヨーロッパ全域で公道走行認定を取得

オーストリアのKTMが開発した公道走行可能なレーシングカー「X-BOW GT-XR」の走行シーン。
オーストリアのKTMグラーツ工場で製造が開始された「X-BOW GT-XR」。すでに欧州におけるホモロゲーションを取得しており、欧州全域の公道で走行を楽しむことができる。

KTM X-BOW GT-XRは、高度なロジスティックスを備えた、世界で最もハイテクな小規模自動車工場のひとつ、オーストリアの「KTMグラーツ工場」で製造。卓越した生産基準に基づき、これまで約100台のKTM X-BOWを製造してきた少人数のスペシャリストチームによって、組み立てられる。

X-BOW GT-XRの価格は28万4900ユーロから。すでに欧州において受注がスタートした。欧州における少量生産車両向けホモロゲーションを取得しており、欧州全域で公道走行が可能となっている。

KTM X-BOW GT-XRを動画でチェック!

現在開発が行われている「MC20 GT2」。2023年シーズンに間に合う形でプライベーターに供給される。

モータースポーツに覚醒したマセラティが「MC20 GT2」で2023年シーズンからファナテックGT2ヨーロピアンシリーズに参戦

フォーミュラEへのワークス参戦を表明しているマセラティは、もうひとつの柱となるGTスポーツカーシリーズへの復帰を発表した。2023年シーズンからスタートする「ファナテック GT2 ヨーロピアン・シリーズ選手権(Fanatec GT2 European Series Championship)」に、新たに開発したMC20 GT2を投入。マセラティは、2023年からカスタマーチームへのMC20 GT2供給を開始する。

キーワードで検索する

著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…