「あらためて展示の意味を知る」BMWブースを振り返り【東京オートサロン2023】

2023年の東京オートサロンでBMWが「伝えたかったこと」と「伝わったこと」【東京オートサロン2023】

東京オートサロン2023東ホールの映えスポットとなっていたBMWブース。
東京オートサロン2023東ホールの映えスポットとなっていたBMWブース。
カスタムカーの祭典として、今年も大きな盛り上がりを見せた東京オートサロン2023。多くの自動車メーカー、パーツメーカーが出展する中で、異彩を放った初出展のBMWブースを振り返る。

巨大キドニーグリル・ブースの発端

巨大なキドニーグリルをモチーフにしたBMWブースは、東京オートサロン2023東ホールの映えスポットとなっていた。もちろん、ブースの造作だけが多くの来場者の関心を誘う要素となったわけではなく、ブースに展示される車両も同様に強烈な魅力を放っていた。2023年の東京オートサロンにおけるBMWブースを総括しよう。

オートサロン来場者の期待に応えるべく、今回BMWブースに展示されたのは、BMW純正の「M パフォーマンス・パーツ」でカスタマイズされた最新モデル、あるいはスーパーGT参戦マシンや本邦初公開となる二輪モデルなど多彩なラインナップだ。BMWファンならずとも巨大キドニーグリルに驚き、つい足を踏み入れ、Mの世界にどっぷりと浸かった来場者が多かっただろう。

 この大胆なアイデアはどこから生まれたのか? それはオートサロン初日のプレスカンファレンスで明かされた。「二十数年前の初出張で訪れたドイツ・ミュンヘン空港のバゲージクレームの壁に、巨大なキドニーグリルの造作があったんです。東京オートサロン2023に出展するにあたり、初期の段階からそれを再現しようと決めていました」そう語ったのはBMWカスタマーサポート・ディビジョン・ビジネス・ディベロップメントの巻波浩之シニア・マネジャーだ。このBMWブースの仕掛け人である。

アフターセールスとカスタマイズの親和性

「私の担当は車を購入したお客様が長く深くBMWとお付き合いいただけるように、カーライフをサポートするアフターセールスです。近年BMW車の品質は高く、メンテナンスの必要性も減りつつあります。しかし、その性能を保つためには純正部品を使って車両をメンテナンスしていただきたいと考えています」

「そして日常のメンテナンスや事故時の対応など、ディーラーが提供する様々なサービスを強くアピールしたい気持ちもあります。ただ、その一方で、出展するにあたり“カスタムカーの祭典”というオートサロンのコンセプトを邪魔したくはありませんでした」と巻波氏は続けた。

だが、カスタマイズとアフターセールスが乖離しているかというと、そうでもない。実際ドレスアップは新車から数年経って行われることが多いという。今回のブースでも、車検や点検などのタイミングで、現状維持ではなくアップグレードしようという気にさせるMパフォーマンスパーツ装着を提案できるように、様々な仕掛けが用意された。普段は目にすることの無い純正パーツや、ずらりと並べられたオプションの大径ホイールを間近で見られたり、あるいは装着パーツを標本のように実車の脇に展示する「ジオラマ」などだ。もちろん遠くから見ても魅力的な巨大キドニーグリルも集客に貢献しただろう。

ドイツ経由でディーラーに伝わる車両コンディション

今回のオートサロンではスーパーGTの参戦体制発表と展示も行ったが、これは単なるイメージだけではないという。巻波氏は「モータースポーツとBMWの親和性もアピールしました。レースの世界は決して現実と別世界ではありません。ディーラーでもレース同様に高い精度でメンテナンスやサービスを行っていることを伝えたかったのです」とコメントした。

BMW車の消耗部品の状況は、車両からオンラインでドイツ本社に送られ、担当する正規ディーラーに転送されるという。この「BMWテレサービス」と呼ばれる仕組みは、まるでレース中のピットでテレメトリを見ながら作戦を考えるレースのようだ。正規ディーラーのカスタマーサービスなら、きめ細かなフォローと万全な整備が受けられるのだ。

初出展の手応えを感じたという巻波氏。「BMWサービスのトークショーでステージに立ちましたが、予想以上に大勢の方に熱心に話を聞いていただけました。われわれが伝えたいと思ったことに思いのほか興味を持っていただけたのかもしれません」と、あらためてカスタマイズをしてみたい人の多さと真剣さを感じたという。

2024年に向けた新たなる仕掛け

カスタマイズまでのめり込むクルマ好きは、そもそもクルマに対する熱量が高いとも言える。オートサロン2023の会期中、BMWブースでは美しいモデルコンパニオンと軽快なトークもあって、クルマとMパフォーマンスの魅力とともにBMWの性能を維持するための提案が伝わったのではないだろうか。

その一方で反省もあるという。巨大キドニーグリルを実際に建ててみたら黒が周囲に溶け込んでしまい、空港で見たようなインパクトにはならなかったのだ。「来年はライティングしたり、改良してもっとはっきり見えるようにしたいですね。次回以降の課題です」そう巻波氏は笑って締めくくった。

インパクトあるブースデザイン。かつてない大きさでBMWデザインの象徴であるキドニーグリルを模したインパクト抜群のブースだ。

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左から才川智子、朝比奈果歩、鈴木康昭監督、荒聖治選手、柳田正孝選手、新木みお、岡田夏芽。

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ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…