ベントレーが遂にW型12気筒エンジンの生産を終了を決定

「現代ベントレーの象徴」6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンが2024年4月に生産終了

ベントレーのハイパフォーマンス仕様に搭載されてきた6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンが、いよいよその使命を終えることになった。
ベントレーのハイパフォーマンス仕様に搭載されてきた6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンが、いよいよその使命を終えることになった。
2023年2月22日、ベントレーモーターズは6.0リッターW型12気筒ガソリンターボエンジンの生産を、2024年4月をもって終了すると発表した。生産終了時点で、英国・クルーの本社工場におけるアイコニックなW12エンジンの生産機数は、10万台を超える予定だ。ベントレーは、W12エンジンの生産終了をドラマチックに見送るプランも計画している。

電動化の推進に伴いW12の生産終了を決定

2030年までに全モデルの電動化を目標に掲げるベントレーは、2024年4月までにベントレーを象徴する6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンの生産終了を決定した。
2030年までに全モデルの電動化を目標に掲げるベントレーは、2024年4月までにベントレーを象徴する6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンの生産終了を決定した。

W12エンジンの生産終了の決定は、「ビヨンド100」戦略を掲げるベントレーが、持続可能な未来に向けて加速している事の証だと言えるだろう。ベントレーは2030年までに全モデルラインを完全に電動化し、車両平均排出量を0g/km CO2にまで削減することを目指している。

「ビヨンド100」戦略の一環としてベンテイガとフライングスパーにハイブリッドモデルが導入され、当初の予想を上回る支持を受けている。2024年にW12エンジンの生産が終了した時点で、ベントレーの全モデルにハイブリッド・パワートレインがラインナップされる予定だ。同時に、この20年間、ベントレーを代表してきた歴史的名機の歴史に幕が下ろされることになる。

もっともパワフルな6.0リッターW12は750PSを発揮

2024年の生産終了を前に、W12気筒エンジンは、コンチネンタルGT スピードやコンチネンタルGT マリナーに搭載され販売される。希少性の高いW12搭載モデルは、高い人気を集めることが予想されている。
今回、バトゥールに搭載されるパワフルな6.0リッターW12気筒エンジンの開発が完了したことを受けて、ベントレーはW12エンジンの生産終了のアナウンスを行った。

今回、W12史上最もパワフルな仕様の開発作業が完了した。18台のバトゥールに搭載されるパワフルなW12エンジンは、最高出力750PS、最大トルク1000Nmを発生する。ベントレーの会長兼CEOを務めるエイドリアン・ホールマークは、W12エンジンの生産終了決定について次のようにコメントした。

「私たちは持続可能なラグジュアリー・モビリティを目指しており、これはベントレーモーターズのあらゆる分野に変化をもたらすことを意味します。2003年に初めてW型12気筒エンジンを発表した時、私たちはクルマだけでなくブランドの進化にもスピードアップをもたらす強力なエンジンを手に入れたと確信しました」

「20年の歳月と10万台以上のW12を生産し、私たちは電動化に向けてさらに前進するため、このアイコニックなパワートレインを引退させることを決めました。しかし、ベントレー史上最もパワフルなエンジンに対して、最高の“お見送り”をすることも忘れてはいません」

「マリナーがバトゥールのために作り上げた最高出力750PSのW12エンジン、その開発や製造に携わる者にとって、心から誇りに感じてきた開発の旅の終わりを意味します。2024年4月の生産終了後、我々はハンドメイドでエンジンを製作している全熟練工の再教育と再配置を行う予定です」

最後のW12搭載モデルは高い人気を予想

2030年までに全モデルの電動化を目標に掲げるベントレーは、2024年4月までにベントレーを象徴する6.0リッターW型12気筒ガソリンエンジンの生産終了を決定した。
2024年の生産終了を前に、W12気筒エンジンは、コンチネンタルGT スピードやコンチネンタルGT マリナーに搭載され販売される。希少性の高いW12搭載モデルは、高い人気を集めることが予想されている。

750PS仕様のW12エンジンを搭載するバトゥールは、すべてソールドアウトしたが、コンチネンタルGT スピード、ベンテイガ スピード、フライングスパー スピード、コンチネンタルGT マリナー、フライングスパー マリナーに搭載される最高出力659PS仕様のW12エンジン搭載モデルは、引き続きオーダーすることが可能だ。最後のW12エンジン搭載モデルは、世界市場で高い人気を集めることが予想されており、もし、W12エンジン搭載車の購入を考えているなら、できるだけ早くオーダーした方がいいだろう。

現在、クルーの本社工場でW12エンジンを製造している22名の熟練工は、W12エンジン製造終了後に全員が再教育され、新たな部署に再配置される予定。一方、W12エンジンの生産施設は、プラグインハイブリッド・パワートレインのための生産ラインとして再活用されるという。

2003年の発表以来、ベントレーはエンジンやシャシー性能を継続的に向上させてきた。この20年間で、W12エンジンは最大出力が37%、トルクは54%も向上し、排気ガスは25%削減。制御システムの進化と最適化、オイルや冷却設計の改善、ターボチャージャー技術の進化、より効果的な噴射・燃焼プロセスによって、これらの進を実現した。2015年のベンテイガの発売にあたり、W12エンジンは完全に再設計され、気筒休止、直噴とポート噴射、ツインスクロールターボを導入。現在もこのバージョンが生産されている。

W12エンジンは、職人の手によって6.5時間かけて組み立てられ、その後、3台の専門診断機によって1時間以上にわたる高度なテストが行われている。毎週、1台のエンジンが長時間のテストサイクルで運転され、検査のために完全に分解。W12エンジン工場は、2023年に20周年を迎えるころには、10万5000基以上のエンジンをデリバリーしてきたことになる。

バトゥールに搭載された究極のW12エンジン

18台のみが限定製造されるバトゥールに搭載されるW12エンジンは、様々な改良が施され、最高出力750PS、最大トルク1000Nmという記録的なスペックを実現している。
18台のみが限定製造されるバトゥールに搭載されるW12エンジンは、様々な改良が施され、最高出力750PS、最大トルク1000Nmという記録的なスペックを実現している。

W12の最終バージョンとして、マリナーのエンジニアリングチームは吸気、排気、冷却システムを改良。これまで以上のパワーとトルクを獲得することに成功した。マリナーのチーフテクニカルオフィサーを務めるポール・ウィリアムズ(第2世代W12の開発を指揮)の監督のもと、エンジンは最高出力750PS、最大トルク1000Nmという記録的なスペックを実現した。

ターボチャージャーのコンプレッサーは効率を高めるべく新設計され、フレッシュエアを送るダクトも33%拡大された。新型W12エンジンは、ピーク出力時に1時間あたり1t以上(1050kg)のエアを取り込む。大型のチャージエアクーラーは、深さが10mm増加し、加圧された吸気から35%多く熱を取り除き、吸気温度をより低くすることで、より高密度な充電による出力向上を実現している。

真夜中のShort Story:第7話 「ベントレー コンチネンタル GTC」

Photographer 小林邦寿「真夜中のShort Story」/第7話「ベントレー コンチネンタル GTC」

いつの時代も人々を魅了してやまないスーパーカーがある。真夜中にその姿を浮き上がらせることで、名車たちは新たな物語性を帯びだす。写真家・小林邦寿が紡ぎあげる、ひとつのストーリー。

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著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…