プロの鑑定士がオススメする高級腕時計の「値頃なセミヴィンテージ」とは

プロの鑑定士に聞く高級腕時計の「買い時」と「今オススメのモデル」

いまおすすめのモデルは、やはりヴィンテージモデルや1990年代のセミヴィンテージと呼ばれるモデルだという。
いまおすすめのモデルは、やはりヴィンテージモデルや1990年代のセミヴィンテージと呼ばれるモデルだという。
“欲しいときが、買い時”という言葉があるが、果たしてそれは高級時計にもあてはまるのか。いま時計が欲しいとしたら、どんなモデルを選べばいいのか。プロの鑑定士に買い時と、オススメのモデルについて話を聞いてみた。

COMMIT GINZA

高級時計の相場が再び上がる可能性

【ロレックス サブマリーナー Ref.5513M】 1967年まで生産された初期モデルにのみ見られるミラーダイヤル文字盤を搭載する希少モデル。販売価格 418万円(税別)

2020年初頭からのコロナ禍による経済活動の停滞の反動により、実物資産の価値が上がるという現象が起きた。高級腕時計もグローバル資産のひとつと認知されるようになり、人気モデルは軒並み値上がり。マーケットはいわばバブルの様相を呈していた。しかし、コロナ禍が収束したいま、少しずつ落ち着きをみせはじめているという。

鑑定士の金子 剛氏は、まず近年の相場の流れについてこのように話す。

「2022年2月が相場のピークで、そこから急激な下落が起こりました。これはアメリカのインフレ対策の利上げやロシアの侵攻等が影響していると思われます。そうした世界的な流れをうけ、例えば一部のパテックフィリップやオーデマピゲの数千万円もするようなモデルが一気に半値くらいになるものもありました。一方で、いまインバウンド需要が回復傾向にあります。当店も海外からの来客数が明らかに増えました。モデルによる差はありますが、再び相場が上がる可能性があります。そういう点ではいまが買い時と言えると思います」

デイトナ新作発表が相場に与える影響

今年3月には、世界最大級の腕時計の見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」が開催された。さまざまな新作が発表される中、注目を集めたのが、ロレックスのデイトナの新世代モデルだ。新作の発表は、相場にどのような影響を与えるのか。

「新作が発表されると、もう買えなくなるということで生産終了モデルが売れるという傾向があります。例えば無垢系のデイトナに関しては、ムーブメントの変更がメインで外観上の違いはそれほど大きくはないのですが、やはりそうした流れが起きています。少しずつ相場が上がり、その一方で生産終了モデルは手放す方が増えてくると、相場が落ち着くことが予想されます」

最後に金子氏にいまおすすめのモデルの傾向と、以下に実際の商品をピックアップしてもらった。

「やはりヴィンテージモデルや、1990年代のセミヴィンテージと呼ばれるモデルです。ケースやダイヤルの状態がいい個体というものは希少です。相場も安定しており、昨年2月以降もこれらのモデルに関しては、相場の変動はほとんどありません。基本的に生産が終了しているモデルですから、一期一会なんです。タイミングを逃してしまうと、もういつ出会えるかわからない。そういう意味で、ヴィンテージやまだ比較的値頃なセミヴィンテージがおすすめですし、“出会ったときが買い時”なんです」

REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

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市川右團次歌舞伎役者 1963年生まれ。大阪府出身。慶應義塾大学法学部卒業。日本舞踊の家元の長男として誕生。1972年6月、京都南座で初舞台、1975年、三代目市川猿之助の部屋子となり市川右近を名乗る。2017年1月、三代目市川右團次を襲名。NHK大河ドラマ『どうする家康』やバラエティ番組などでも幅広く活躍する

「思い出のヴィンテージロレックスをふたたび」コミット銀座が支える時計趣味と継承

クルマ愛好家は、時計愛好家でもあることが多い。歌舞伎役者の市川右團次さんもそんな愛好家のひとり。なぜ時計に惹かれるのか。モデルや店選びはどうしているのか。普段はあまり聞くことがない、プライベートな時計選びについて話を聞いてみた。

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藤野太一