フェラーリのカスタマーレーシング部門「コルセ・クリエンティとは?」

フェラーリの魅力はロードゴーイングカーにあらず?「核心はやっぱりF1とレーシングカー」

26台のフェラーリ488チャレンジEVOが集まったフェラーリチャレンジ。最速のジェントルマンレースである。
26台のフェラーリ488チャレンジEVOが集まったフェラーリチャレンジ。最速のジェントルマンレースである。
富士スピードウェイで7月1〜2日に開催された「フェラーリ・レーシング・デイズ2023」。コロナ禍を経た昨年は鈴鹿サーキットで、そして今年は5年ぶりに富士スピードウェイでの開催となったが、そこで実際に見た様々な展示を報告する。

FERRARI RACING DAYS 2023

“レーシング・デイズ”と銘打つとおり

富士スピードウェイでフェラーリ・ジャパン主催の一大イベント、フェラーリ・レーシング・デイズ2023が開催された。我々が取材したのは7月2日の日曜。フェラーリチャレンジのレース1が開催できないほどの悪天候となった土曜と打って変わり晴天に恵まれた。

5年ぶりに富士スピードウェイで開催されたイベントには、全国から650台以上のフェラーリと、約1300人のフェラーリ・オーナーが参加した。“レーシング・デイズ”と銘打つとおりにフェラーリによるワンメイクレースシリーズ「フェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・ジャパン」(以下、フェラーリチャレンジ)の第3戦やサーキット専用のXXモデルを思う存分に走らせる「XXプログラム」、究極のフェラーリであるF1マシンを自ら走らせる「F1クリエンティ」など、富士スピードウェイをフルに使い切るコンテンツが凝縮されていた。

ガチでレースに出るフェラリスタに刺さるのは

特にフェラーリチャレンジは、今年から日本単独開催でスタートした新しいシリーズで、今回、26台ものフェラーリ488チャレンジEVOがエントリーした。XXプログラムには普段目にすることのない、希少な最初のXXモデルとなるFXX(エンツォフェラーリ・ベース)、599XX(599GTBフィオラノ・ベース)、最新のFXX EVO K(ラ フェラーリ・ベース)の3世代が揃い踏みし、F1クリエンティでもフェラーリF10、F2008、F399などのマシンが走行した。

それらの迫力のレーシング走行にオーナー以外の来場者も大いに盛り上がったが、自らレースに参戦するような玄人筋に最も刺さったのはカスタマー向け最新GT3マシン、296GT3のお披露目だろう。すでに今年のニュルブルクリンク24時間レースで総合優勝を飾っており、その実力は折り紙つきだ。

何しろ先代の488GT3(含むEVO2020)は、優勝回数470回、選手権獲得回数108回を誇り、レーシングフェラーリ史上最も成功したマシンなのだ。この296GT3も、それを超える活躍が期待される。そして、そういったGT3マシンを思い切り走らせるのが「クラブ・コンペツィオーニGT」だ。最新GT3マシンも楽しめるのがこのレーシング・デイズの醍醐味である。

日本が大切なマーケットである理由

フェラーリチャレンジとコルソ・ピロータを担当するアンドレア・ムラドジチ(右)とXXプログラムとF1クリエンティを担当するフェデリカ・サントロ。

今回のイベントには、そういったフェラーリのカスタマーレーシングを司る、コルセ・クリエンティの担当者が来日していた。フェラーリチャレンジのリーダーを務めるアンドレア・ムラドジチ氏に話を聞いた。

「パンデミックの規制が国ごとに異なることもあり、今年からフェラーリチャレンジは日本単独開催としました。今回26台の参加をいただき、モータースポーツへの造詣も深い日本は大切なマーケットです」

「フェラーリチャレンジなどのカスタマーレーシング活動はフェラーリとしても非常に力を入れているので、ぜひ興味を持って参加していただきたい」と展望を語った。

XXプログラムよりもF1の方が……

XXプログラムとF1クリエンティのリーダーを務めるフェデリカ・サントロ氏も来日し、「XXプログラムもF1クリエンティも、サーキットに来てくれれば、走る用意はすべてコルセクリエンティがいたします。ホテルもラウンジも夜のイベントも用意して皆さんのご参加をお待ちしております」と述べた。

聞けば日本ではF1クリエンティの方がXXプログラムよりも多いそうで、かなりF1に対する思いが強い市場という印象を持っているそうだ。

コルセ・クリエンティでは、今年9つのイベントを開催予定で、日本におけるイベントの後は、7月エストリル、9月シルバーストーン、そしてムジェロで開催予定だという。やはりフェラーリにはサーキットが似合う。レーシングこそ核心なのだ。

PHOTO/Ferrari S.p.A、GENROQ

488チャレンジEVO最大のトピックはエアロダイナミクスの大幅改良だ。装着されるエアロパーツが増え、特にフロントのダウンフォースが効いている印象がある。

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数あるワンメイクレースの中でも、フェラーリチャレンジには夢がある。モータースポーツの最高峰、F1につながるイメージがあるからだろう。その最新マシンを実際に走らせてみて、その真の魅力がどこあるのか富士スピードウェイで確かめた。(この記事はGENROQ2021年2月号の連載「サーキットのススメ」を加筆、再編集したものです)

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著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…