V12に6速MTを組み合わせる「アストンマーティン ヴァラー」

今最も新しいアストンマーティン「ヴァラー」が日本初上陸「5.2リッターV12に6速MTの組み合わせ」

110周年記念イベント「ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023」のために、イギリスから持ち込まれた「アストンマーティン ヴァラー」。
110周年記念イベント「ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023」のために、イギリスから持ち込まれた「アストンマーティン ヴァラー」。
11月17〜19日に、東京・浅草寺と静岡県の富士スピードウェイで開催された「ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023」。その浅草寺会場で注目を集めたのが、このイベントのためにイギリスから持ち込まれた今最も新しいアストンマーティンの「ヴァラー」だ。

Aston Martin Valour

浅草寺史上初めての試み

ロバート・バムフォードとライオネル・マーティンという2人の青年が1台のスポーツカーを作ってから110年。アストン・マーティン・ジャパンはそれを祝い、11月17日から19日にかけ、東京・浅草寺と静岡県の富士スピードウェイを舞台にスペシャルイベント「ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023」を開催した。

中でも浅草寺では敷地の一部を貸し切り、1930年の「インターナショナル」から最新の「DBS770アルティメイト」まで70台以上の歴代モデルを展示したコンクール・デレガンスを開催したほか、宝蔵門の前に特製のショーケースを設置し2024年F1レプリカとDB5コンティニュエーションを展示するという、浅草寺史上初めての試みも行われている。

その会場で一際目をひいたのが、ASTON MARTIN ARCADIA TOKYO 2023のためにイギリスから持ち込まれた今最も新しいアストンマーティンである「ヴァラー」だ。

別格のオーラと存在感を放つヴァラー

ワールドプレミアと同日に実車が公開されたDB12に続き、7月に発表されたばかりの世界110台の限定車であるヴァラーが、110周年の記念イベントのために来日したのは、戦前から続く日本とアストンマーティンとの長い歴史へのリスペクト、そしてアジア・パシフィックを牽引する日本市場を重要視している証拠に他ならない。

今回日本に持ち込まれたヴァラーは、グリーンメタリックのボディにメタリックレッドのフロントグリル、サイドのゼッケンサークルと、往年のDB3Sを彷彿とさせるカラーリングで現れた。またそのデザイン・モチーフになったのは、1970年代のV8ヴァンテージ、そして1977年と79年のル・マン24時間にロビン・ハミルトンが持ち込んだDBS V8 RHAM/1とアナウンスされている。

確かに大きな2灯LEDヘッドライト、逆スラントのノーズ、ルーバーの付いたリヤウインドウ、テールスポイラーなどにその面影を見つけることができるが、もうひとつ、よりヴァラーに近いデザインモチーフとして挙げられるのが、2021年にあるオーナーがOne-77をベースにワンオフで作らせた(その価格は400万ポンドと言われる)ヴィクターだ。

いずれにしろロードカーからレーシングカーまで様々なアストン・マーティンが集った会場にあって、ヴァラーの放つオーラ、存在感は格別。好天に恵まれた土曜の展示では、終始人だかりができるほどであった。

このご時世にマニュアル?

オール・カーボンファイバー製のボディは、フロント・スプリッター、リヤ・ボルテックスジェネレーター、大型のリヤディフューザーなどで高いダウンフォースを発生する。

そんなヴァラーのもう1つの特徴が、最高出力715PS、最大トルク753Nmにチューンされた5.2リッターV12DOHCツインターボエンジンと組み合わされる専用設計の3ペダル式6速MTである。

「このご時世にマニュアル?」と驚かれるかもしれないが、専用にキャリブレーションされたエレクトリック・トラクション&スタビリティコントロール、機械式LSD、3つのドライビングモードを介して最適化されたスロットル・レスポンスやトルク特性により大排気量ハイパワーMTという、今や唯一無二と言っていいパワートレインを存分に堪能できるよう、セットアップがなされている。

そのほかシアーパネルと呼ばれる補強板を前後フロアに追加し、リヤ・サスペンションのストラットタワーバー、燃料タンクなどを補強してシャシーのねじり剛性、横剛性を強化。さらに専用にセッティングされたアダプティブダンパー、スプリング、アンチロールバーを装着したサスペンションと、精度を高めたステアリング、ミシュラン・パイロットスポーツS5を装着する専用の21インチ軽量鍛造合金製ハニカムホイール、フロント410mm×38mmのディスク&6ポットキャリパー、リヤ360mm×32mmのディスク&4ポットキャリパーのカーボンセラミックブレーキを装備して、シャープなハンドリング、高いロードホールディング性を実現。

1台として同じヴァラーは生まれない

またオール・カーボンファイバー製のボディは、フロント・スプリッター、リヤ・ボルテックスジェネレーター、大型のリヤディフューザーなどで高いダウンフォースを発生するだけでなく、ボンネット中央のU字型エアベント、2つのNACAダクトにより大きな熱量を発生するV12エンジンの吸気、冷却にも十分対応できる高い空力特性を誇っている。

これだけでも十分スペシャルな内容だが、1959年のル・マン・ウィナーカーDBR1からインスピレーションを受けたツイード生地のトリム、軽量パフォーマンスシート、特注のドアカード、フェイシア・エアベント、アッパー・センターコンソール、ハイテク織りカーボンファイバーによるトランスミッショントンネルといったオプション装備、様々なグラフィックも可能な21色のボディカラーを設定。それでも満足できないオーナーのために、あらゆるパーソナライゼーションに対応するQ by Aston Martinによるフルビスポークも用意されており、1台として同じヴァラーは生まれない予定だという。

……と聞いてお察しの通り、110台の生産枠はすでに完売。ただし日本にもデリバリーされる予定らしいので、2年後に行われるASTON MARTIN ARCADIAの会場でまた、その姿を見ることができるかもしれない。

110台のみが製造されるスペシャルエディション「アストンマーティン ヴァラー」のエクステリア。

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藤原よしお

クルマに関しては、ヒストリックカー、海外プレミアム・ブランド、そしてモータースポーツ(特に戦後から1…