雨天時は事故率は晴天時の◯%!?

ゲリラ豪雨や台風、秋雨などにより、夏から秋にかけては、雨の日に運転する機会も少なくない。道路が濡れることで路面は滑りやすくなり、さらに視界も悪化するため、雨天時は晴天時と同じ感覚で走れば、交通事故に直結する危険が増す。
岐阜県の統計によれば、梅雨期の6月から7月に発生した雨天事故が全体の17%を占めており、季節の影響とともに事故件数が増加する傾向が示されている。
さらに、首都高速道路の調査では、雨天時の死傷事故件数は晴天時の約4倍にのぼり、施設接触事故に限っても、非雨天時の約1割から3割へと大きく増加した。

中でも目立つのが、スリップ事故である。スリップ事故は、カーブに速度を落とさず進入した場合や追い越し時の急加速、轍の水たまりに入ったときなど、さまざまな場面で発生する。
たとえば、横断歩道のペイントやマンホールの蓋も、濡れると滑りやすくなるとされている。実際、車線変更の際にヒヤリとした経験を持つドライバーも少なくないだろう。
加えて、JAFのテストでは、摩耗が進んだタイヤでは新品に比べウェット路面での制動距離が約1.5倍に伸びることが確認された。

また、視界不良も雨天時の交通事故増加の要因と言える。雨粒でフロントガラスがにじむほか、夜間や夕暮れ時にはヘッドライトの乱反射で歩行者や自転車の発見が遅れやすい。
さらに、歩行者も傘によって視野が狭まるため、交通事故のリスクはさらに高まることはいうまでもない。首都高速道路のデータでは、雨天時の施設接触事故は速度が60km/hを超える状況で発生しやすいとされ、視界不良とスピード超過が重なることで事故が増える構図が浮かび上がっている。
では、雨天時の交通事故のリスクを防ぐには、どのような点を意識すればよいのだろうか。

まず、速度を控えることが基本とされている。たとえば、高速道路を100km/hで走行する場合、晴天時に安全とされる車間距離はおよそ100mだ。
しかし、雨天時は制動距離が2倍近くに伸びるため、200mほどの車間を確保することが望ましいとされている。さらに、急ブレーキや急ハンドルは避け、ワイパーやライトを正しく使用して視界を保kたり、タイヤの残り溝や空気圧を定期的に点検し、摩耗が進んでいる場合は早めに交換することも重要だ。
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雨天時は、路面が滑りやすくなったり視界不良が重なったりすることで、晴天時に比べて交通事故のリスクが格段に上昇する。雨天時でも安全に運転するためには、速度を抑えて車間距離を十分に確保し、整備を怠らないこと。こうした基本の積み重ねこそが、雨の日の事故を防ぐ確実な手段といえるだろう。