『すみっコぐらし』のキャラクターを全面に描いて人気だった超いやし系バスを再現! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.112 いすゞ エルガ すみっコぐらし×臨港バス

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.112 いすゞ エルガ すみっコぐらし×臨港バス (希望小売価格550円・税込)※「すみっコぐらし」はサンエックス㈱の登録商標です。

『トミカ』のNo.112は『いすゞ エルガ すみっコぐらし×臨港バス』です。これは2019年11月18日から2022年11月中旬まで、神奈川県の臨港バスで走っていたラッピング装飾車両をモデルとしたものです。

『すみっコぐらし×臨港バス』コラボラッピングバス 実車フロントビュー(PHOTO:川崎鶴見臨港バス)※「すみっコぐらし」はサンエックス㈱の登録商標です。
『すみっコぐらし×臨港バス』コラボラッピングバス 実車車内。車内も『すみっコぐらし』のキャラクターで彩られていた。(PHOTO:川崎鶴見臨港バス)※「すみっコぐらし」はサンエックス㈱の登録商標です。

臨港バスは正式名を川崎鶴見臨港バス株式会社と言い、神奈川県川崎市川崎区に本社を置くバス会社です。同社の沿革によると、もともとは1924年(大正13年)に創立された、現在のJR鶴見線の前身にあたる鉄道路線や海岸電気軌道から継承した総持寺駅から大師駅を結ぶ路面電車を運営していた鶴見臨港鉄道のバス事業部門が独立、1937年に設立された子会社の鶴見川崎臨港バスを母体とします。その翌年には有力なバス会社であった川崎乗合自動車を合併して事業拡大し、社名の鶴見と川崎を入れ替えて、現在と同じ会社名となりました。

創立80周年を迎えた2017年から4営業所で1台ずつ運行されている、公式キャラクターを描いた『りんたん号』も人気だ。(PHOTO:川崎鶴見臨港バス)

戦後すぐの1948年(昭和23年)に経営に参加したうちの1社である京浜急行電鉄のグループ会社となり、1954年(昭和29年)に同社の子会社となりました。2006年(平成18年)には京浜急行電鉄の完全子会社となって、現在に至っています。また、不動産賃貸業の臨港エステート、自動車教習所の鴨居自動車学校、旅行・商事・施設工事・不動産仲介業の臨港コミュニティの3社を加えた4社で臨港バスグループを構成しています。なお、「臨港バス」は会社創立時から公式に使用されている略称なのだそうです。ちなみに現在、2017年の創立80周年の際に採用された『りんたん』が同社の公式キャラクターとなっています。

臨港バスは川崎鶴見臨港バスという正式名の通り、川崎駅と鶴見駅を発着する路線を中心に、川崎市東部や横浜市北東部を基盤として、地元の住民生活に密着しつつ路線を展開しています。また、その営業地域に京浜工業地帯や大規模物流拠点を抱えるため、それらへの通勤輸送を担う重要な役割を果たしていることが特色として挙げられます。さらに、学生応援パスや夏休みちびっ子フリーパス、通勤定期の環境定期制度といった様々なサービスや創立周年記念、運賃無料デーや事業所のバス撮影会などイベント開催に積極的な点も利用客やファンから幅広く支持されています。

『すみっコぐらし×臨港バス』コラボラッピングバスは2019年に登場し、好評を重ねて2022年11月まで運行された。画像は実車ラッピングデザイン(PHOTO:川崎鶴見臨港バス)※「すみっコぐらし」はサンエックス㈱の登録商標です。

ちなみに2019年11月18日~2020年1月26日まで京急グループが展開した『すみっコぐらし×けいきゅう』キャンペーンに合わせて臨港バスに登場したのが、大人気キャラクターの『すみっコぐらし』で車内・車外が装飾された『すみっコぐらし×臨港バス』コラボラッピングバスで、鶴見営業所所属の「1T625」号車が用いられました。当初は1年間の予定でしたが、好評を博したことと新型コロナウイルスの影響で各種イベントの中止や外出自粛など、バスを利用した外出の機会が減ってしまった人たちへ楽しく明るい気持ちで外出して欲しいという応援の意を込めて2021年11月まで延長が決定。その後もさらに継続が決定し、結局、2022年11月中旬までの長きにわたって運行されて親しまれ、海老名駅西口で開催された『バス利用感謝デー2022』のイベントでのさよなら展示で有終の美を飾りました。先述のように、この車両が『トミカ』の『No.112 いすゞ エルガ すみっコぐらし×臨港バス』のモデルです。

いすゞ エルガ実車フロントビュー。都市型(中乗)ホイールベースN(5300mm)LV290N3型カタログ用特別仕様車。(『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)
いすゞ エルガ実車リヤビュー。都市型(中乗)ホイールベースN(5300mm)LV290N3型カタログ用特別仕様車。(『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)

このバス車両そのものは、2023年3月現在、『トミカ』では3種がラインアップされているいすゞエルガです。いすゞ エルガは、いすゞの代表的な大型路線・送迎バスで、様々な路線バスや企業の送迎用に幅広く使われています。新世代にふさわしい路線バスとして2000年にデビューし、2015年に現行モデルの2代目モデルのV290系にフルモデルチェンジしました。

この2代目モデルは、開発に際して“次世代ノンステップ・バスの対応”を大きなテーマに掲げていました。そのため、初代モデルよりもノンステップエリアを拡大するために、長さ、通路幅、室内高、および後方段上部の室内高が拡大されています。また、ノンステップエリア拡大のために、ホイールベースの延長とあわせて、フロントタイヤハウス上部への燃料タンクの移設や中扉の後方移設などの様々な工夫や改良が施されています。

ノンステップエリアを拡大することで広々とした室内空間を実現する一方、優先席を前向きにし、伝い歩き棒を新設するなど優先席まわりの安全性も向上させており、これに加えて反転式スロープ板の採用による車いすの乗降性もさらに容易なものとしています。

いすゞエルガのエンジンには環境・燃費性能の向上を目指して、2ステージターボを搭載した4HK1-TCS型エンジンが採用されている。

また、エンジンには環境・燃費性能の向上を目指して、2ステージターボを搭載した4HK1-TCS型エンジンを採用しています。2ステージターボの搭載により、全回転域において高効率なターボ効果が発揮され、PMを大幅に低減させています。また、EGRクーラーの冷却性能向上と、超高圧噴射化による燃焼状態の均一化で燃費性能がさらに高められています。

さらに、AMT(自動クラッチマニュアルトランスミッション)とATの2種類を設定することで2代目モデルは一段と運転しやすい車両となっています。AMTではクラッチ操作を不要としたアクセルとブレーキの2ペダル方式を採用、ATのようにクリープを利用した微速走行も可能としています。尚、AT車には操作パネルにメンテナンス時期診断機能を追加し、オイルやフィルターの状態をモニターし、最適な交換時期をサービスインジケーターで知らせる機能があります。

現在でも運行中の人気のラッピングバス、『夢見ヶ崎動物公園応援バス』。2017年から5年間運行していた初代は引退、2022年から2代目となった。臨港バスのキャラクター『りんたん』がデザインされ、車内は動物たちのぬいぐるみや写真などで夢いっぱいに装飾されている。神明町営業所エリアの幸区、中原区を中心とした路線で運行中。(PHOTO:川崎鶴見臨港バス

また、2代目モデルはノンステップ仕様のみの車型設定となったため、前後オーバーハングを短縮することでアプローチ・アングルとデパーチャ・アングルを増大させ、ノンステップ車でありながらワンステップ車並の走行性を確保しています。

『トミカ』の『No.112 いすゞ エルガ すみっコぐらし×臨港バス』は、可愛いらしい『すみっコぐらし』のキャラクターたちが全面に描かれたこのエルガの姿を的確に再現しています。長く愛されたラッピングバスの思い出に1台いかがでしょうか?

■いすゞ エルガ 主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):10430~11130×2485×3045

ホイールベース(mm):5300~6000

トレッド(前/後・mm) :2065/1820

車両重量(kg):13565~14985

エンジン形式:4HK1-TCS型 水冷直列4気筒OHC 直噴2ステージターボ ディーゼル

排気量(cc):5193

最高出力:184kW(250ps)/2400rpm

最大トルク:735Nm(75kgm)/1600-2300rpm

トランスミッション:6速AMTまたは6速AT

サスペンション(前/後):車軸式エアサスペンション

ブレーキ(前後) :空気式&ドラム(主)/フットブレーキ連動式廃棄ブレーキ(補助)

タイヤ:(前後):275/70R22.5

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部