短いノーズを設けた新時代のワンボックス、日産セレナってどんなクルマ?【スタワゴ的 名車ヒストリー/日産セレナ 前編】

中身がまるで違った『バネットセレナ』、見た目はミニバンだけど構造はワンボックスカーに近かった!

1990年代に入ると、ワンボックスは衝突安全性を確保するため、クラッシャブルゾーンとなる短いノーズを備える
スタイルへと進化していった。いち早く対応したのが、1991年に登場する日産のバネットセレナである。

他社に先駆けたノーズ付きワンボックス

1980年代に室内が広く使い勝手のいいクルマとして人気が高まり、全盛期を迎えたのがワンボックスである。だが、1990年代に入ると、クルマの安全性を高めることが重要視され、ワンボックスはフロントに衝突時のクラッシャブルゾーンとなる短いノーズを備えるタイプへと進化していった。

それにいち早く対応したのが日産だった。ワンボックスのバネットを進化させ、バネットセレナとしてデビューを果たす。1991年のことだ。

スライドドアこそ片側だけだが、フォルムは現代のミニバンと大差はない。だが中身はワンボックスカーを踏襲していた。

多くのワンボックスは、1列目シート下にエンジンを搭載し後輪を駆動するキャブオーバーを採用していた。バネットセレナはそのメカニズムそのままに、キャビンを後方へとずらし、フロントに短いノーズを設けるという手法を採った。ミニバン然としたフォルムながら、中身はワンボックスカーのまま。よって多くのワンボックスカー同様、乗用ワゴンのほかにバネット・セレナ・カーゴという商用バン仕様も用意された。

日産らしかったのは最上級グレードのPXに設定されたツーリングパックで、このモデルはR32型スカイラインやZ32型フェアレディZに採用されていた電子制御四輪操舵システム「スーパーHICAS」を装備していた。それゆえ、PXツーリングパックはスポーツカーのようなハンドリングを実現していた。

1993年には基本コンポーネンツを共有した兄弟車の3代目ラルゴが登場。3ナンバーボディを採用し、2.4Lエンジンを搭載するなど、セレナより上級モデルに位置した。このラルゴに特別仕様車として1995年に登場したのがハイウェイスター。のちにライダーなどを手掛ける、オーテックジャパンの手によるエアロモデルだった。

当時、エアロパーツと言えばスポーツカーやスポーツセダンのためのもの、といった認識。ワンボックスカーにエアロパーツという考えすらなかった時代だ。だがハイウェイスターは専用のエアロパーツをまとい、派手なデカールで差別化されていた。しかもこれがヒットし翌年にはカタログモデル化。セレナにもハイウェイスターが設定される。ラルゴ・ハイウェイスターは、RV(レクリエーショナルビークル)にエアロパーツを装着したカタログモデル「エアロRV」の元祖と言える。当然、他メーカーにも飛び火した。

ご先祖、バネットとは?

大ヒット! ハイウェイスター

1代で消滅した兄貴分

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