ホンダといえば、世界初の自動運転レベル3の量産が広く知れらています。2023年2月時点で、日本で量産車でレベル3走行しているのは、ホンダ「レジェンド」のみです。商品名は、Honda SENSING Elite(ホンダセンシングエリート)と言います。渋滞時には、ハンズオフだけではなく、車内モニターで映画やテレビなどを視聴することも可能。レベル3は、運転の主体がクルマのシステムに移るため、ドライバーは運転以外をすることが可能となります。これを、セカンダリータスク、またはセカンダリーアクティビティと言います。
では、ホンダはレジェンドで採用したレベル3機能を、ホンダの各モデルに段階的に実装していくのでしょうか?
その答えは、NOです。
ホンダが現在公表しているADAS関連の事業計画では、これからホンダが注力するのはホンダセンシング360(サンロクマル)と呼ばれる方式になります。これは、現時点で軽自動車から乗用車まで広く採用しているホンダセンシングで使用しているフロントカメラの他に、フロントにひとつ、また各コーナーそれぞれひとつ、合計5個のレーダーを装備することで、自車周辺360度の情報を把握するものです。
ホンダセンシング360は当面、レベル2での運用を考えており、そこにホンダセンシングエリートでのレベル3開発で培った知見を盛り込むとしています。
ホンダとしては国が主導する産学官連携の大型プロジェクトの一環で、世界初の乗用車レベル3を実現したのですが、ビジネスの観点では成功したとは言えません。新車価格としても通常のレジェンドよりも高額な1100万円となり、そのリース販売台数は限定的でした。
こうした現実を踏まえた上で、ホンダとしてはレベル3の拡大時期については、ホンダセンシング360の普及の動向を見据えてじっくりと考えていくことになるでしょう。
著者PROFILE 桃田健史
1962年8月、東京生まれ。日米を拠点に、世界自動車産業をメインに取材執筆活動を行う。インディカー、NASCARなどレーシングドライバーとしての経歴を活かし、レース番組の解説及び海外モーターショーなどのテレビ解説も務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員
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[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]