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軽くて丈夫な水素タンクの素材を開発 DSM、水素貯蔵用高圧複合タンク向けの新しいポリアミド材料を開発

  • 2017/10/16
  • Motor Fan illustrated編集部
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ライフサイエンスとマテリアルサイエンスのグローバルカンパニーであるDSMでは、持続可能性への取り組みの一環として、DSMの高機能樹脂を用いた水素貯蔵用高圧複合タンク向けの新しいポリアミド材料を開発した。DSMは、水素燃料の普及で、安全性と発電量を両立する水素の貯蔵方法が課題となっており、軽くて丈夫な樹脂製の高圧複合タンクを実現する新素材の供給を通し、水素燃料の普及、ひいては、世界のCO2削減に貢献していく考えだ。

水素は、石油よりもCO2排出量が少ない資源として注目を集め、自動車や水素発電など多くの分野で活躍が期待されている。特に、FCV(燃料電池自動車)における課題のひとつが水素の貯蔵方法である。水素は、さまざまな燃料のなかでも質量当たりのエネルギーが最も高く、従来の燃料の3倍近く、1kgで33.3kWh相当のエネルギーを持っている。ただし、水素は常温環境下での密度が低く、通常のタンクに貯蔵するとタンクの体積あたりのエネルギー量が低くなってしまう。したがって、通常は水素を圧縮して詰め込む高圧タンクが使用される。
この高圧タンクの素材には、水素漏れや爆発を防ぐための耐圧強度が求められ、従来、金属やポリオレフィンが用いられている。しかし、金属は重量が重いことから、タンクを含めた質量当たりのエネルギーは低くなり、さらに、水素が金属を劣化させてしまいます。また、ポリオレフィンは、水素を比較的透過しやすい等の課題がある。

こうした課題の解決に向け、DSMでは金属よりも非常に軽く、ポリオレフィンよりも水素の保存性に優れたポリアミドをベースとする材料の開発に着手した。DSMではすでに圧縮天然ガス(CNG)用のタンク向け材料開発に成功しており、その際の素材、Akulon Fuel Lock(アクロン フューエルロック)とEcoPaXX(エコパックス)を採用した。
タンクのライナー(内張り材)は、炭化水素に対して高いバリア機能を発揮するAkulon Fuel Lockをブロー成形して製造しており、さらに、その外側を、一方向連続繊維補強材と熱可塑性樹脂のEcoPaXXで製造したテープで包み、補強している。
これにより、薄さを保ちながら金属と同等の耐圧強度を持ち、なおかつ、ポリオレフィンよりも水素の保存性に優れた高圧複合タンクの設計が可能になった。また、低い温度(-40°C)でも延性や強度を維持でき、さらに、素材のリサイクルが可能である。

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