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ベンチレーションホールを1480個まで増やしたブレーキディスク、キャリパーの軽量化、ブレーキトルクの向上 F1 2019選手権に向けたブレンボの新技術

  • 2019/03/14
  • Motor Fan illustrated編集部
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ブレンボは今年もF1世界選手権に向けて準備万端である。開幕戦は例年どおりオーストラリアGP。今年は3月14日~17日の日程で開催される。

 ブレンボのF1への供給は過去43年の実績があり、その間ブレンボ製ブレーキ搭載マシンが獲得したワールドタイトルは25回、コンストラクターズチャンピオンは28回を数える。これら数々の経験を生かして、ブレンボは各チームに最適なブレーキシステムを作り上げてきた。

カーボンディスクは3種類

 すべてのシングルシートに新しいウイングを導入すると、シンプルな形を維持したまま、フロント負荷が少なくなると同時にブレーキトルクが下がる。さらにエネルギー消費が増加し、車が速くなることで結果的にブレーキの制動距離も長くなる。より良い安全性と最高のパフォーマンスを保証するため、ブレンボは空力的負荷が大きかったと思われる2018年のレベルと同じ静的及び動的ベンチに使用する限界トルク値の維持に成功した。

 にもかかわらず、エネルギーの増加は温度上昇に影響する。この問題を克服するため、ブレンボは次世代版において最高数1,500個のベンチレーションホールを特徴としたブレーキディスクの換気を最適化した。
 大半のマシンが厚さ32mmのフロントディスクおよび厚さ28mmのリアディスクを使用。レース時の予想気温や戦略に応じて各ドライバーはブレンボ製ディスクを3種類に使い分けている:フロントシステムを考慮したホール数800個の中程度冷却、1,250個の高冷却、そして1,480個の超高冷却から選ぶ事ができる。

 さらにポール・リカール・サーキットあるいはシルバーストンのようなブレーキをあまり使わないサーキットでは、カーボン性能を最適化するため、ブレンボのエンジニアは全てのチームに対してリアに小さい直径のディスクオプションを提供している。

さらなる軽量性の追求

 ブレンボは、ブレーキバイワイヤシステムの構成部品を極限まで小型化することに焦点を置いたブレーキシステムとアルミニウム・リチウム合金キャリパーの軽量化に長年取り組んできた。現在、ブレンボはレギュレーションで最大と規定されている従来の6ピストンキャリパーを10チーム中7チームに提供している。
 同時にシステムの対応速度とBBWユニットの反応性向上を試み、車への統合レベルは常に高いため、2019年には4チームがブレンボのBBWを使用する事になる。

カスタマイズ、テレメトリー、メンテナンス

 各チームは、マシンのニーズに合わせてブレンボのエンジニアと共にブレーキキャリパーの重量および剛性間のベストバランスを協議して決定する。ブレンボの技術者ならではの高度な設計ノウハウを駆使することで、チームごとの理想的な重量と剛性のバランスを実現するブレーキキャリパーモデルを設計することができる。幾つかのチームは剛性よりも軽量性を好む一方で、他のチームは重くても従来通りの高い剛性を確保したいチームもある。この繊細なバランスにより、ブレンボは完全にオンリーワンの方法でブレーキシステムを作り上げている。

 チームは常にディスクとキャリパーの温度とセンサーを使用してチェックしている。そうすることでディスクとパッドの摩耗を即座に算定することができる。データを読み込むことで、エンジニア達は異常が見つかった場合にドライバーへマシンのブレーキバランスを調節するための指示を送る。

 平均して、各チームは年間10から15セットのキャリパーをブレンボに発注する。これだけの数があれば、何らかの事故にも安全に対応でき、取り替え時に手持ちのキャリパーがないという事態も避けられる。一方で幾つかのチームは最初の発注を少なくし、シーズン間の開発状況を見込んだ上で最適化されたキャリパーの後続発注を行なう。

 ブレーキが目覚ましく活躍するサーキットでは、キャリパーの温度は200°Cに達する。F1用キャリパーの耐用寿命は10,000Kmを超えないため、その間に定期的な交換をブレンボの製造部門で実施。摩擦材については、ワンシーズンでブレンボから各チームに150~300枚のディスクと最大600個のブレーキパッドが供給される。

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