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BMWのツインパワー・ターボ・エンジンとツインスクロールとツインターボとシーケンシャルターボの違い

  • 2019/04/27
  • Motor Fan illustrated編集部
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BMWの「ツインパワー・ターボ」とはどのようなシステムか、ご存じだろうか。ターボがふたつあるわけではないのがややこしいところ。

 ターボ全盛時代、とくに欧州ではエンジン本体よりも過給システムに重きを置かれている印象だ。モジュラー設計花盛りの昨今では、もはやエンジン本体は単なるトルクアクチュエータ、出力の多寡は過給圧でコントロールし、商品性に結びつけている。
 過給エンジンにおいてエンジニアたちは何に心血を注ぐかといえば、ラグの解消。ターボチャージャーが、排ガスをタービンに当てて回転させるという仕組みを取る限り、どうしても「タービンホイールが回り始め、同一軸反対側のコンプレッサホイールが吸入空気を圧縮して、吸気管に還流する」という結果を得るまでには時間がかかってしまう。その解決のためにさまざまな手段が取られているのはご存じのとおりである。

 あらためて、その「さまざまな手段」をご紹介しよう。

■ ツインスクロール
 4気筒エンジンにおける、タービンホイールを上手に回すための手段。一般的に直列4気筒エンジンでは1-3-4-2番気筒という点火順序をとる。これは1サイクルにおける等間隔点火の実現と振動の低減を図るため。詳しい解説はまたの機会に送るが、この点火順序とすると排気マニフォールドの中で排ガスの流れが干渉し、スムーズに流れなくなってしまう。1番気筒が排ガスを送り出した180度CA後に3番気筒、その180度CA後に2番……という具合である。そこで、排気マニフォールドを1/4番と2/3番というふたつのグループに分ける。すると、1番気筒が排ガスを送り出した後に次にその管を排ガスが通るのは360度CA後の4番気筒、2/3番グループでも同様の状態となり、管内の排ガスの渋滞が起きにくくなるのだ。
 ツインスクロールターボというとふたつの流路を持つタービンハウジングに目が向きがちだが、排気マニフォールドの分岐管こそに妙があると思う。なお、過給はともなわないものの、同様に排ガスの渋滞を起きにくくし、シリンダ内の掃気(排ガスをスムーズに抜くことで新気の流入も促されること)も狙ったのが、マツダのSKYACTIV-Gで有名になった4-2-1排気マニフォールドである。

ツインスクロールターボの排気マニフォールドの図解。1/4番と2/3番に分離することで排ガスの干渉を避ける構造にしている。(FIGURE:BMW)

■ ツインターボ
 これはシステムとか構造というより、勘定の仕方というべきか。「ターボがふたつある」という意味である。多くはV型エンジンでそれぞれのバンクにターボを備えているという状態を示すときに使われ、あっけないことを言ってしまえば「Vなんだからソリャそうだろ」となってしまう。
 しかしV型でもシングルターボ(ターボがひとつ)という場合もあるのがややこしい。バンク内を排気側とするレイアウトである。また、直列エンジンでもツインターボというのがあり、かつてのBMW6気筒は前側/後側の3気筒ずつでそれぞれターボを備えていた。
 じゃあツインスクロールじゃないふつうのターボがひとつの場合はなんて言うんだとなると、個人的にはシングルスクロールターボなどという苦しい呼称で逃げている。
 マセラティに昔あった「ビトゥルボ」というモデル名はBiTurbo、つまりツインターボのこと。ビターボなどという言い方もされる。三つならトリプルターボ、四つならクワドラプルターボだ。

直列エンジンにおけるツインターボの例。BMW・N54型直列6気筒は3気筒ずつのシングルスクロールターボ×2基としていた。
逆に、V型だけどシングルターボの例。アウディR18のTDIエンジン。さすがレースエンジン、6気筒でバンク角120度である。市販車では到底無理。
トリプルターボの例。BMW・N57Sは小径ふたつ(上)+大径ひとつ(下)を備える。厳密に言えば次に紹介するシーケンシャルターボの動きである。
ついでにクワドラプルターボの例。ブガッティ・ヴェイロンのエンジン。反対側にもふたつのターボチャージャーが備わる。

■ シーケンシャルターボ
 sequential=連続的な、続いて起こる、の意味からも想像できるように、複数のターボチャージャーを順に作動させていくシステムのこと。目的はやはりターボラグの解消。大きなタービンとすれば高過給が望めるがレスポンスが非常に悪い。小さければ立ち上がりには優れるが過給に限度がある。ならば大小を組み合わせてその都度使い分ければ——というのが目的のひとつである。2基のターボが大半だが、上に示したように3基の場合もある。
 ここ最近で有名なのはマツダのSKYACTIV-D 2.2だろう。出力追求のため(新気の過給)ではなく、大量EGR導入のために用いているというのが印象的だ。

マツダSKYACTIV-D 2.2のターボチャージャー。小径と大径ターボを走行シーンによって使い分ける。

■ BMWのツインパワー・ターボ
 やっと本題である。じゃあこのBMWツインパワー・ターボっていうのはどのシステムに相当するのか。結論から言えば、シングルターボ×可変バルブ機構のことで、ターボは基本的にひとつである。何が「ツイン」なのかといえば、「直噴」と「可変」の技術を組み合わせたところにあるとBMWは説明。ツインというには少々強引、明らかなミスリードを狙った気がしないでもない。

 とはいえ、載せている技術はさすがBMWというべきもの。その中でも「可変」のバルブリフト機構であるバルブトロニック@ガソリンエンジンは、世界中のエンジニアを驚かせたノンスロットル機構だった。バルブトロニック(+VANOS)に直噴、ツインスクロールという3種の神器を備えたエンジン・N55が登場したときは大いに沸いたものである(個人的に)。

 現在のラインアップでは3気筒ガソリンB38ではシングルスクロールターボが、4気筒B48と6気筒B58にはツインスクロールターボが備わる。じゃあディーゼルではどうかといえば、VG(可変ベーン)ターボを装着することで「可変」を満足させた。3気筒B47はVGTを1基、4気筒B47では1基あるいは2基、6気筒B57では最大4基ものターボチャージャーを搭載する。「直噴」はもはやそうじゃないディーゼルエンジンはないというところで全数クリアである。

ツインパワー・ターボを最初に実現したのは6気筒のN55型エンジンだった。画像はそれをリファインしたS55型。

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