内燃機関超基礎講座 | HKSの遠心式スーパーチャージャー:トルク感応式トラクションドライブを採用
- 2021/01/28
- Motor Fan illustrated編集部

ベルトドライブでコンプレッサーホイールを高速で回転させる。増速に用いるのはユニークなトラクションドライブ。HKSのスーパーチャージャーの構造を眺めてみよう。
エッチ・ケー・エス(HKS)のGTS7040型は、ベルトドライブによる遠心式スーパーチャージャー。GTは同社の過給機製品に付加されるシリーズ愛称で、Sはスーパーチャージャー。70は増速装置(トラクションドライブ)の伝達容量70kW。40はコンプレッサーの能力(400ps級対応)を示す。
遠心式スーパーチャージャーは、吐出空気が連続流で脈動音がないので元々静粛性の面でも有利。動力伝達系にノーバックラッシュ機構も採用。入力トルクの変動に対する異音の発生もなくしているので、高級車への装着にも適している。

内部増速比は1:9.44、つまり駆動トルク入力プーリー1回転に対して、コンプレッサー(出力軸)が9.4倍の速さで回転、過給。高風量・高過給圧が可能である。システム本体の小型化にも貢献。本体の全長はわずか170mmなので、エンジンルームに空きスペースがないV型への装着も有利。また、クランクプーリーと駆動トルク入力プーリーを結ぶベルトが万一切れても、エンジンストップには至らないのもメリットのひとつ。
トルク感応式トラクションドライブとは、圧力粘度の高い特殊なトラクションオイルのせん断力(応力がかかると固体化する性質)を利用して対峙する転動体の接触面に発生する弾性流体油膜のねじり力を応用して増速する様式だが、常時高応力にさらされていることで耐久面で不利。そこでHKSでは、低負荷域で余分な応力を与えない構造にすることで耐久性と燃費性能の向上に配慮する。






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