写真:エンジン形式:水平対向4気筒DOHCターボ エンジン型式:CB18 排気量:1795cc ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm 圧縮比:10.4 最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm 最大トルク:300Nm/1600-3600rpm 燃料供給:筒内燃料直接噴射(DI) 使用燃料:レギュラー
エンジンの骨格部分については前編で解説した。
このCB18DIT(過給エンジンのみだからあえてDITをつける必要はないが)型は、現行FB16DITの代替として開発された(FB16型は自然吸気とターボエンジンがある)。
FB16DITのパワースペックは
最高出力:170ps(125kW)/4800-5600rpm
最大トルク:250Nm/1800-4800rpm
対する新型CB18DITは
最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
と7ps/50Nmの向上だ。
排気量200cc(正確には196cc)アップでわずか7psしか最高出力を上げていないところに、新型CB18型のコンセプトが現れている。CB18は「下(低回転域のトルク)を削って、上(ピークパワー)を絞り出すことはしていません。下からしっかりトルクを出すというコンセプトです。1000rpm、2000rpmの領域のトルクはお客様に毎日使ってもらえる性能だからです」とエンジニアは説明する。
これを見てもわかるように、現行レヴォーグにある2.0ℓターボ(FA20DIT)の代替の役割はCB18型にはない。これは将来2.4ℓのFA24ターボの搭載の可能性は残すが、まずは新型レヴォーグはこのCB18DIT一本で勝負するという意思の表れだ。
リーンバーンは、空燃比いくつで燃やすのか?
CB18のハイライトは、なんといっても「リーン燃焼」だ。スバル開発陣が取り組んだリーン燃焼は、
・負荷率約40%かつ2400rpm以下の領域
・λ=2(つまりストイキ燃焼の2倍の空気量)で燃焼する
だという。
またドライバーにリーン燃焼を気づかせない、というのも開発コンセプトにある。
郊外路を一定速で走る、高速道路で80km/h巡航ならリーン燃焼。エンジンの暖機が終わっていたら、おとなしく走っているときはほぼリーン燃焼でいけるという。そこから先は通常のストイキ燃焼に切り替わるが、その切り替えをドライバーが気づくことはないほど自然に切り替わる。「λ=2から1への移行は、センサーを駆使してショックがでないように切り替えます」とのことだ。
リーン燃焼のポイントは、とにかく火が着きにくい、燃えにくいということだ。「燃料と空気と点火」がポイントになる。
「火を確実に着ける」ために、FB型ではサイドから噴いていた(サイドインジェクター)直噴インジェクターの位置を、点火プラグ近傍のトップの位置に変更している。
着いた火を消さないように制御するのは、基本的にシリンダー内の空気の流れ(タンブル流)を強化することで対応したという。S/B比(ストローク/ボア比)をロングストローク化することで吸気流速が高まったため、タンブル・ジェネレーターバルブは新型では廃止された。
また大型EGRクーラーを採用し、EGR(Exhaust Gas Recirculation=排ガス再循環)ガスをしっかり冷やしてその上で緻密にコントロールしてシリンダーへ入れる。