ホンダの軽自動車用エンジン、10年前のラインアップはどうだったか[内燃機関超基礎講座]

E07Z-turbo(2000)
「エンジンのホンダ」とも呼び称されている本田技研工業。たとえ660ccの軽自動車用としても抜かりはなく、それは現行NシリーズのS07型を眺めても明らかだ。では10年前、S07が登場する前はどうだったか。

E07:0.66ℓ 直列3気筒SOHC

E07Z(1990)

E07Zの原型は1988年2月に登場したJA2型(初代)トゥデイに搭載されたE05A型で、1990年の軽自動車規格改正に伴い排気量を拡大してE07Z型となる。E07Z型は1998年10月の軽自動車規格改定を機に環境性能と燃費向上を焦点に改良したもので、ライフやZに搭載された。エンジンコード末尾の開発記号が「B」ではなく「Z」であることからわかる通り内容は別物。ダイレクトイグニッションなどによる燃焼改善、各所のフリクション低減、ノッキング制御による低回転トルクの向上などが図られている。

なお、J型エンジンよりも以前に設計されているため、ホンダの他のエンジンとは逆の、時計回り(出力取出軸端から見て)の回転方向が採用されている。ターボ版は低速トルク増大を狙ったもの。ちなみに、ZE1型(初代)インサイトに搭載されたECAエンジンは、このE07Zがベースとなっていた。

E07Z(2000)

■ E07Z
形式:直列3気筒SOHC
総排気量:656cc
ボア×ストローク:66.0×64.0mm
圧縮比:10.5
最高出力:38kW/7000rpm
最大トルク:62Nm/4000rpm
過給の種類:×
(バモス/バモスホビオ)

■ E07ZT/C
形式:直列3気筒SOHC
総排気量:656cc
ボア×ストローク:66.0×64.0mm
圧縮比:8.5
最高出力:47kW/6000rpm
最大トルク:93Nm/3700rpm
過給の種類:ターボチャージャー
(バモス/バモスホビオ)

P07:0.66ℓ 直列3気筒SOHC

P07(2006)。左はターボ仕様、右は自然吸気仕様。

上述しているE07型エンジンの後継に位置づけられる。P07登場当時は既にJ型が登場した後だったため、エンジンの回転方向は他のホンダエンジンと同様、反時計回りが採用されている。

燃焼室内には点火プラグが2本配置されていて、点火タイミングの位相をずらして点火させることで急速燃焼を狙うi-DSI(Dual & Sequential Ignition=2点位相差点火制御)を搭載している。また、軽自動車用のエンジンは高回転域で使用することが多いため、あえてショートストロークを選択。また、排気ポートをシリンダーヘッドのなかで集合させるという形式を採用している。L型やR型なども同様の形式を採用しているが、ヘッドとエキゾーストマニフォールドを一体化させることにより三元触媒をエンジン直下に配置することができるというメリットが得られる。2003年の(4代目)ライフから搭載を開始。

■ P07A
形式:直列3気筒SOHC
総排気量:658cc
ボア×ストローク:71.0×55.4mm
圧縮比:11.2
最高出力:38kW/6700rpm
最大トルク:61Nm/3800rpm
過給の種類:×
(ライフ/ゼスト/ゼストスパーク)

■ P07AT/C
形式:直列3気筒SOHC
総排気量:658cc
ボア×ストローク:71.0×55.4mm
圧縮比:8.5
最高出力:47kW/6000rpm
最大トルク:93Nm/4000rpm
過給の種類:ターボチャージャー
(ライフターボ/ゼストスパークターボ)

キーワードで検索する

著者プロフィール

Motor Fan illustrated編集部 近影

Motor Fan illustrated編集部